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出版者情報
左翼の逆襲 社会破壊に屈しないための経済学
発行:講談社
新書判
288ページ
定価
1,000円+税
- 書店発売日
- 2020年11月18日
- 登録日
- 2020年10月23日
- 最終更新日
- 2020年11月25日
書評掲載情報
2021-04-24 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 矢部史郎(ライター) |
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紹介
コロナ禍が日本社会に与えた影響は計り知れない。特に経済では消費税増税と重なり大不況となっている。日本の支配エリートはコロナでもたない企業は潰れて良いと思っている現実。「高プロ」も愛国教育も、支配エリートの新「帝国主義」への布石だと喝破する松尾匡氏は日本のマルクス経済学者の白眉である。
松尾氏はこの悲惨な現実を読み解くにはマルクスの「疎外論」が重要だと説く。
本書では「生きているだけで価値がある」生身の具体的人間を主人公にして、制度や決まり事などの社会的なことが、その主人公からコントロールできなくなって一人歩きする事態を批判する。
ツールであったはずの制度や決まり事などの社会的なことが自己目的化し、生身の個人を手段化して踏みにじる、こうした事態を「疎外」と呼んで批判したのがマルクスの「疎外論」というわけです。
「支配階級」や「搾取」も「疎外論」から読み直すことを従来提唱してきた松尾氏は、生身の個々人のもとに経済のコントロールを取り戻すことが大切であり、社会全体で生身の個々人みんなの事情にマッチするように、社会全体の設備投資もコントロールする必要があると述べる。
まさにブレグジットの「コントロールを取り戻せ」です。
本書は、この考えのもと、レフト1・0、レフト2・0の思想を乗り越えレフト3・0の経済学の真髄を示す全く新しい社会変革の書である。
目次
第1章 「人は生きているだけで価値がある」のポピュリズムを!
第2章 日本支配層の将来ビジョン―コロナショックドクトリンが示す円高帝国への道
第3章 レフト3・0の到達点と課題―欧米での失速の教訓
第4章 体制変革としての反緊縮
第5章 庶民がコントロールを取り戻すために
上記内容は本書刊行時のものです。