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創造の星 天才の人類史 渡辺 哲夫(著/文) - 講談社
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創造の星 天才の人類史 (ソウゾウノホシ テンサイノジンルイシ)

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発行:講談社
四六判
328ページ
定価 1,850円+税
ISBN
978-4-06-512668-4   COPY
ISBN 13
9784065126684   COPY
ISBN 10h
4-06-512668-1   COPY
ISBN 10
4065126681   COPY
出版者記号
06   COPY
Cコード
C0310  
0:一般 3:全集・双書 10:哲学
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2018年6月25日
最終更新日
2024年1月9日
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紹介

魔女狩りの嵐が吹き荒れる15世紀から、「魔術」と「科学」が分岐する17世紀、その結果として「非理性」が噴出を始める18世紀を経て、ベートーヴェンの《第九》で開始され、ヴァーグナーの《ニーベルングの指環》を生み出す19世紀、そして「非理性」を特異な形で先鋭化させたナチスを登場させた20世紀へ──。第一級の精神科医が放つ、500年間に及ぶヨーロッパ精神史!


レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519年)が《モナ・リザ》を描き、デジデリウス・エラスムス(1466-1536年)が『痴愚神礼讃』を世に問うた16世紀初頭、ヨーロッパには「魔女狩り」の嵐が吹き荒れていた。「ルネサンス」と呼ばれる時代は、決して「文芸復興」という言葉で表しきれるものではない。そこには理性を完璧なまでに超越してしまうものを夢見る「非理性的創造者」が生み出され、のちの世界を翻弄していくことになる──。
本書は、『魔女の槌』なる書物が出現して「魔女狩り」の焔が点火される15世紀から、ナチスの狂乱が演じられる20世紀まで、500年に及ぶ精神史を描き出そうとする前人未到の試みである。
ヨハネス・ケプラー(1571-1630年)とルネ・デカルト(1596-1650年)が活躍した17世紀を経て、混沌としていた「魔術」と「科学」の境界が確定されていく。その結果として起きたのは、皮肉にも「科学」から排除された「非理性」の噴出だった。そうして18世紀には、イマヌエル・カント(1724-1804年)をも魅了したエマヌエル・スウェーデンボルグ(1688-1772年)が現れ、やがてヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-91年)という天才が生まれた。
噴出した非理性は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827年)の《第九》(1824年初演)とともに19世紀を迎え、ついにリヒャルト・ヴァーグナー(1813-83年)を出現させる。その流れは、やがてアドルフ・ヒトラー(1889-1945年)という存在をもたらしたが、その傍らでは、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-90年)が、フョードル・ドストエフスキー(1821-81年)が、そしてフリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年)が火花を散らせていた──。
幾多の天才たちを生み出した「創造の星」たる地球は、その後、どんな道をたどったのか? そして、21世紀を迎えた今、これからどこに向かおうとしているのか? 停滞期に入ったとさえ感じられる今、人類の来し方と行く末を考えるために。第一級の精神科医が放つ、誰も目にしたことのないヨーロッパ精神史。

目次

はじめに
第一章 魔術と科学のあいだの揺動:15~17世紀
1 ルネサンスの創造的非理性
2 魔女狩り
3 魔女狩りと闘う医師ヴァイヤー
4 ケプラーの神秘天文学
5 魔術と科学のあいだ
第二章 非理性の噴出:18世紀
 1 スウェーデンボルグ問題
 2 無意識の発見
 3 モーツァルトという陰翳
 4 反復するラプトゥス (1):ベートーヴェンの場合
 5 反復するラプトゥス (2):ヘルダーリンの場合
 6 ラプトゥス、その病理性と生命性
第三章 アポロンとディオニュソスの相剋:19世紀
 1 《第九》以後に創造すること
 2 ロマン主義芸術のラプトゥスに襲われた世代
 3 夢幻恍惚と痙攣発作と
 4 癲癇/ヒステリー/緊張病
 5 ボードレールにとってのドラクロワ
 6 ヴァーグナーとボードレール
 7 『罪と罰』出現以降の創造
 8 印象派絵画の悪夢
 9 ゴッホはモネをどう見ていたか
 10 《ニーベルングの指環》全曲初演
 11 ヴァーグナー問題と〈ヒステリー〉問題
 12 『カラマーゾフの兄弟』の出現
第四章 非理性の稲妻:20世紀への架橋
 1 ニーチェの場合
 2 いかなる「病気」がニーチェを創造者にし、そして破壊したのか
 3 ゴッホの場合
 4 『夢解釈』の出現
 5 シュレーバーは妄想者か、夢幻者か
 6 ニジンスキーという現象
 7 超人の舞踏と〈緊張病〉
第五章 人類のゆくえ:20世紀以降
 1 『自我とエス』
 2 創造する連帯の舞台としての〈エス〉
 3 ナチズム
 4 ヤスパースの歴史眼
 5 来たるべき「枢軸時代」の兆候?
 6 「カラマーゾフシチナ」の現代性
 7 「枢軸時代」と「反-枢軸時代」
 8 「反ー枢軸時代」の不透明性を生きる
書 誌
あとがき
人名・作品名索引

著者プロフィール

渡辺 哲夫  (ワタナベ テツオ)  (著/文

1949年、茨城県生まれ。東北大学医学部卒業(医学博士)。都立松沢病院、東京医科歯科大学、栗田病院、稲城台病院などを経て、現在、いずみ病院(沖縄県うるま市)勤務。専門は、精神病理学。
主な著書に、『シュレーバー』(筑摩書房)、『死と狂気』(ちくま学芸文庫)、『〈わたし〉という危機』(平凡社)、『20世紀精神病理学史』(ちくま学芸文庫)、『祝祭性と狂気』、『フロイトとベルクソン』(以上、岩波書店)など。
主な訳書に、ジークムント・フロイト『モーセと一神教』(ちくま学芸文庫)、ダニエル・パウル・シュレーバー『ある神経病者の回想録』(講談社学術文庫)など。

上記内容は本書刊行時のものです。