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もう「東大話法」にはだまされない 「立場主義」エリートの欺瞞を見抜く 安冨 歩(著/文) - 講談社
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もう「東大話法」にはだまされない 「立場主義」エリートの欺瞞を見抜く (モウトウダイワホウニハダマサレナイタチバシュギエリートノギマンヲミヌク)

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発行:講談社
新書判
208ページ
定価 838円+税
ISBN
978-4-06-272774-7   COPY
ISBN 13
9784062727747   COPY
ISBN 10h
4-06-272774-9   COPY
ISBN 10
4062727749   COPY
出版者記号
06   COPY
Cコード
C0230  
0:一般 2:新書 30:社会科学総記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2012年9月
書店発売日
登録日
2015年8月20日
最終更新日
2015年8月20日
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書評掲載情報

2012-11-11 読売新聞
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紹介

「承知しました」という返答で共犯関係と決断責任の回避を成し遂げ、「そこまでやるとは思わなかった」「その件についてはお詫び申し上げます」という弁明で、自らの正当性を主張しつつ形式的に謝罪する欺瞞を成立させる――原発危機、企業不祥事などで頻発するこの「東大話法」を支えるのが、「立場至上主義」。「立場」はどのように日本人を呪縛してきたのか、そこからいかに逃れられるのかを、気鋭の「東大」社会学者が説く。


「徹底的に不誠実で自己中心的でありながら、抜群のバランス感覚で人々の好印象を維持し、高速事務処理能力で不誠実さを隠蔽する」――日本社会の支配層が駆使する欺瞞と無責任の「東大話法」。その規則は以下の通り。
1 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する
2 自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する
3 都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事する
4 都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す
5 どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す
6 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する
7 その場で自分が立派な人だと思われることを言う
8 自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する
9 「誤解を恐れずに言えば」と言って、嘘をつく
10 スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる
11 相手の知識が自分より低いと見たら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す
12 自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する
13 自分の立場に沿って、都合のよい話を集める
14 羊頭狗肉
15 わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する
16 わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する
17 ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる
18 ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす
19 全体のバランスを常に考えて発言せよ
20 「もし●●●であるとしたら、お詫びします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける
原発危機、企業不祥事などで頻発する、この「東大話法」を支えるのが、日本人の精神世界に巣食う「立場至上主義」。流通や社会システムに、本来必要のない「関所」を設け、そこでマージンを搾取できる「立場」に立つことで、日本人は自分たちの食い扶持を得てきた。そんな「立場主義」ら逃れ、精神的自立を勝ち取るにはどう向き合えばよいのかを、気鋭の「東大」社会学者が説く。

目次

はじめに 「絆社会」を訴えることの危うさ
・「絆」とは「家畜をくくりつけるヒモ」・日本人は「立場」のある家畜?第1章 「東大話法」とは何か
・原発危機で浮き彫りになった「東大話法」・東大話法を支える日本特有の倫理観1他人の立場を侵害してはいけない・終身雇用制度2自分の立場を守るためにしたことは許される・AIG年金、オリンパス・・
第2章 「東大話法」の温床は「立場主義」
戦後の経済発展で生み出された「立場」を守る巨大システム・巨大システムを動かすために増えた「責任」と「役」・システムが崩壊し、「立場」だけがのこされた現代社会・日本企業は「巨大な関所の管理人」?
第3章 日本社会を呪縛する「立場」
子どもの「しつけ」とは「立場」を教えるもの・なぜ入社3年目から「社畜」になっていくのか・非言語メッセージでひっそりとおこなわれる「すりこみ」・履歴書に「派遣」「空白」があると立場社会ではスポイルされる・あなたの職場に無意味な会議が多いのは「立場」のせい・「できもしないことをやっているふりをする」のが日本の会議・「職務をまっとうする人々」が集まるとなぜか悪事になる日本企業
第4章 「東大話法」がこじらせる男と女
・東大出に「セクシーなオス」がいない理由・東大出が25歳でいきなりモテるのは「立場」から・「感覚」がとまって「サル」から「人」になっている・「立場主義」の夫婦から生まれた子どもはどうなるか?・女性が男性の「立場」に座ってうまくいかない理由
第5章 実践されている「東大話法」
「承知しました」は「日本人の欺瞞性を浮き彫りにする」という新しいメソッド・意味のない会議は「承知しました」で意味のある会議へ・「そこまでやるとは思わなかった」というセリフが示す「立場主義」・「くされ縁」を切ると「無縁」になってしまう日本社会
第6章 「立場」と「幸福」の呪縛から逃れる
・アメリカ人の「アイ・アム・ハッピー」という強迫観念・日本は「立場」、中国は「面子」・・・どれが正しいのではなくすべて間違っている・「自分たちはヘンなんだけど、あいつらもヘンだ」と気づく・ディズニーランドを支配する「幸福の偽装」という空気
おわりに 「立場主義」から解き放たれるために

著者プロフィール

安冨 歩  (ヤストミ アユム)  (著/文

1963年、大阪府に生まれる。東京大学東洋文化研究所教授。 京都大学経済学部卒、住友銀行勤務を経て、1991年 京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。1997年、経済学博士(京都大学)。名古屋大学情報文化学部助教授を経て、2009年より東京大学東洋文化研究所教授。
著書には『「満洲国」の金融』(創文社)、『貨幣の複雑性』(創文社)、『複雑さを生きる』(岩波書店)、『生きるための経済学』(NHKブックス)、『経済学の船出~創発の海へ~』(NTT出版)『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―』(明石書店)、『生きるための論語』(ちくま新書)などがある。 
『「満洲国」の金融』(創文社)で第40回日経・経済図書文化賞受賞。『原発危機と「東大話法」』は4刷2万部。

上記内容は本書刊行時のものです。