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出版者情報
セックス・イン・ザ・シー
- 書店発売日
- 2017年8月10日
- 登録日
- 2017年6月21日
- 最終更新日
- 2017年8月9日
書評掲載情報
2017-12-24 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 池内了(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学) |
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紹介
2016年に出版され、大ベストセラーとなった話題の書、ついに邦訳刊行!
海の生物たちがどんなセックス・ライフを送っているのか、知っていますか? サンゴ礁の専門家が書いた本書では、さまざまな海中生物の性生活がドラマチックかつロマンチックに描き出されます。印象的なロブスターについてのくだりから。
「オスの前に立ったメスは、厳かにはさみを持ち上げ、オスの肩にそっと触れ、続いてもう片方の肩に対しても同じ動作を繰り返す。この合図は何らかのメッセージを伝えているように思われる――「今さら私を捨てたりしないでね」と。向かい合ったオスとメスは、互いに大量の「黄金シャワー」を浴びせる。その後、メスは隠れ家の奥に移動し、脱皮に移る。
メスの脱皮には最長で一時間あるいはそれ以上を要するが、メスが最後まで残った殻を脱ぎ捨ててからちょうど三〇分後、本番が始まる。ロブスターの交尾の様子は驚くほどロマンチックだ――ただし、時間は短い。メスの魔法にかかったかつての暴君は、心優しい恋人に変貌する。メスの脱皮が終わるとすぐ、オスは閉じたはさみを海底につけ、覆いかぶさるような姿勢でまだ体のやわらかい相手を守り、時には触角でそっとさすってやる」。
──人間の男女間で繰り広げられるドラマと見紛うばかりです。本書では驚きを誘う海中生物の姿が次々に紹介され、飽きることがありません。
しかし、著者は単に興味本位で本書を書いたわけではないことが徐々に分かってきます。
「私たちが魚を食することができるのは、その魚の餌になる微小な甲殻類が短い周期で繁殖してくれるおかげだ。……――その豊かさの源にあるのが、たくさんのセックスなのだ」。
そして、著者はこう断言するのです。
「海における性の営みが破綻すれば、人間も破綻する。水中で何が起きているのかを知ることが、地上の私たちにとって大切なのはそのためだ」。
興味を惹かれる「セックス」という入口から入って、とりわけ日本人にとっては欠かせない食物を提供してくれる海の大切さを認識すること。そして、海の生物たちを守ることに思いを致すこと。本書は、そんな大きなテーマにいざなってくれる、忘れられない1冊になるでしょう。
目次
はじめに 水に入る前の準備運動
第I幕 楽しいデート
1 捜 索──海中での相手探し
2 恋人をいざなう──ちょっときわどい誘惑術
3 自由な性を謳歌する──海での性転換
第II幕 いよいよ本番
第一部 挿入するセックス
4 ペニスの章──セックスはコンタクトスポーツだ
5 メスの仕組み──セックスに様々な影響を及ぼす
第二部 挿入しないセックス
6 海での乱交パーティー──みんなで楽しもう
7 シンクロナイズド・セックス──ご近所さんとご一緒に
第III幕 一戦交えた後で
8 性衝動のギアを入れる──海における性の営みを成功に導く方法
おわりに 海は大きな一つのセックスの舞台だ
謝 辞
原注
参考文献
資料:もう少し深く潜るために
上記内容は本書刊行時のものです。