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ケアの倫理と平和の構想
戦争に抗する 増補版
- 初版年月日
- 2025年2月14日
- 発売予定日
- 2025年2月17日
- 登録日
- 2025年1月10日
- 最終更新日
- 2025年2月8日
紹介
「戦後」も続く暴力の連鎖のなかで、フェミニズムは人間の「傷つけられやすさ」を見据え、ケアの視点から平和を希求してきた。「慰安婦」問題、9.11、ガザ……。「正戦」「自衛」の名の下で人間の身体を破壊する戦争の本質を明らかにし、平和の構想を紡ぎだす。対談「戦争に抗する思想」(岡野八代×三牧聖子)を収録。
目次
第Ⅰ部
第一章 「テロとの戦争」との闘い
はじめに 主体の論理に内在する暴力性
第1節 9・11事件直後の合衆国フェミニストたちの反応
第2節 合衆国におけるアフガン女性の抹消と「主体」の論理
第3節 「主体」批判から他者への責任へ――バトラーによる「主体」批判
第4節 倫理的責任
第5節 集合的責任
第6節 認識主体の倫理性
小括――フェミニストの倫理
第二章 「慰安婦」問題と日本の民主化
はじめに 「反」暴力の実践
第1節 国民基金とwamの比較検討
第2節 問われているのは、日本の民主化である
第三章 修復的正義――「国民基金」が閉ざした未来
はじめに 〈わたしたち〉への他者からの問いかけと正義
第1節 法(=正義)と和解について
第2節 新しい「正義」概念へ
第3節 修復的正義と和解
第四章 グローバルに正義を考える
はじめに 不正義の感覚からの始まり――日本における正義
第1節 不正義の感覚と民主主義
第2節 西洋の伝統における正義論の始まり――被害者の沈黙
第3節 なぜ、「慰安婦」問題は正義の問題なのか
小括――修復的正義と民主主義
岩波現代文庫版追記 第Ⅰ部
第Ⅱ部
第五章 自由と平等をめぐるジェンダーの政治
はじめに ジェンダーフリー・バッシングとはなんだったのか
第1節 〈自然〉と〈政治的なるもの〉――自然の両義性
第2節 名誉から尊厳へ――近代法と立憲政治の根源的価値
第3節 政治的平等と〈人間の尊厳〉
第4節 ジェンダーの政治の必要性
第六章 立憲主義再考
はじめに ジェンダーフリー・バッシングが突き崩そうとするもの
第1節 現代日本における政治的意志――近代立憲主義への挑戦・無理解
第2節 近代立憲主義における「公共性」と「個人の尊厳」
第3節 法の下の平等と「家族」――フェミニズムが提起する近代の困難
小括――ケアされ・ケアする関係からの抵抗
第七章 歴史を冒瀆する憲法「改正」論
はじめに 歴史への冒瀆
第1節 立憲主義と自民党草案
第2節 わたしたちは、戦争の犠牲者のおかげで生きているのか?
第八章 普遍の原理と一人ひとりの〈わたしたち〉
はじめに わたしにとっての、憲法問題
第1節 立憲主義と人権
第2節 われら日本国民
第3節 決定不可能な〈わたしたち〉
小括――憲法、領土、そして〈わたしたち〉
岩波現代文庫版追記 第Ⅱ部
intermission 安全と安心のあいだ
第Ⅲ部
第九章 「安全保障」を問い直す
はじめに 戦争観を再考する
第1節 西洋政治思想における安全保障
第2節 安全保障神話
第3節 軍隊は本当に市民を守ってくれるのか?
第4節 他者に依存する存在からの出発
小括――ケアの倫理と「反」暴力
第一〇章 戦争に抗する――身体性/具体性から発する社会の構想へ
はじめに 戦争の本質
第1節 戦時に法は沈黙するinter arma silent leges
第2節 立憲民主主義を否定する戦争は、市民を守るのか?
第3節 身体に根ざした社会の構想へ
おわりに 戦後を生き続ける
岩波現代文庫版追記 第Ⅲ部
注
対談 戦争に抗する思想――フェミニズムから平和を構想する
岡野八代 三牧聖子
あとがき
岩波現代文庫版あとがき
初出一覧
文献一覧
上記内容は本書刊行時のものです。