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明治の表象空間
巻次:下
エクリチュールと近代
- 初版年月日
- 2024年6月14日
- 書店発売日
- 2024年6月18日
- 登録日
- 2024年5月10日
- 最終更新日
- 2024年6月12日
紹介
近代のあらゆる言説アーカイヴから、既存の学問分野ごとに仕切られた分類の枠をとり外し、横断的に俯瞰することで「表象空間」を特徴づける輪郭線の描出を試みる。最終巻では文体によってシステムに「穴」を穿とうとする透谷・一葉・露伴を論じる。定説を大きく揺さぶった大著、待望の文庫化!(解説=田中純)(全三巻)
目次
凡 例
36 奇蹟――樋口一葉(一)
「雅俗折衷」という技法
「にごりえ」第五節
逸脱と漂流
37 狂気――樋口一葉(二)
いきなりの静けさ
非知とerrance
決定論の狂気
38 婦徳――樋口一葉(三)
「泥」の主題系
衛生の教え
恐るべきもの
39 禽獣――樋口一葉(四)
遊女から天皇へ
「国家の大本」と「やせ犬のゑじき」
正すこと/まみれること
40 過剰――幸田露伴(一)
「力作型青年」露伴?
過剰と持続
「と、これ一説なり」
41 怪物――幸田露伴(二)
書くことの無償性
露伴は生き延びる
「考証」の魔界へ
42 離脱――幸田露伴(三)
「文を行る快」
「中うつろ」の記号
「僕ハ小説家トナルヲ欲セズ」
43 リアリズム――幸田露伴(四)
「写生」の提唱
このものの廃棄
ただ書くこと
44 現在――福地桜痴(一)
「今・ここ」の閃光
巴里の福地桜痴
共同化される「現在」
45 浅薄――福地桜痴(二)
「文明論」対「巷説」
「官兵」対「賊兵」
「即智」対「深慮熟考」
46 情報――福地桜痴(三)
「情報」の出現
自然主義とジャーナリズム
政治小説の問題
終章――総括と結論
47 セリーⅠ=理性
共犯関係の回路
卑小な権力
懐疑とエクリチュール
48 セリーⅡ=システム
強制と抵抗
「半= 理性」のキメラ性
「白い終末論」へ
49 セリーⅢ=時間
冷たい時間/熱い時間
「緩解調和」の装置
腐敗と暴走
停止した時計
死なない蛸
50 結 論
穴の問題
「オオオマンコの道」と「高級の内務官僚」
国内亡命者の戦場
註
跋
十年後に――岩波現代文庫版あとがき
解説「不逞」のエクリチュール……………田中純
人名索引
上記内容は本書刊行時のものです。