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日本近・現代史研究入門
- 初版年月日
- 2022年10月27日
- 書店発売日
- 2022年10月31日
- 登録日
- 2022年9月2日
- 最終更新日
- 2024年4月9日
紹介
日本近代史・現代史の論文を書く、すべての初学者のために――。テーマの決めかた、史料について、調査の方法、目次のつくりかたなど歴史研究の基盤を、論文執筆の作業フローに即して基本から解説。第一線の研究者たちが提供する大きな見取り図が、研究史と向き合うあなたを助けてくれる。必要なことは、この一冊で分かる!
目次
はじめに 何が悲しくて研究するのか?
この本は何のために書かれているのか
なぜこんな本が必要なのか
それでも研究するのか?
第Ⅰ部 研究を始めよう 論文を書き終えるまで……松沢裕作・高嶋修一
1 とりあえずテーマを決める
テーマとは何か
最初は思いつきでもよい
史料の有無
たいていのことは誰かが研究している ──先行研究の有無
なぜその研究対象・研究テーマを思いついたのか
何も思いつかない場合
テーマの見直し
2 先行研究をつくる
何がどう「先行」するというのか
とりあえず検索してみよう
入門書から読んでみよう
専門的な文献を読む
もっと探す
先行研究整理を書く
3 史料とは何か
同時代人に原則として開かれていた史料
同時代人の一部が目にすることができた史料
史料集
史料の種類と所蔵機関・閲覧方法
新聞 雑誌 法令 統計 企業史料 書籍 公文書 政治家・官僚・軍人の個人文書・日記 「家」の史料 帝国議会議事速記録・国会会議録 国外所在史料
辞書・事典・年表
4 データベースを使う
データベースにはどのような情報が入っているのか
すでに知っている文献を探す場合と未知の文献を探す場合
どのようなデータベースがあるか
5 所蔵機関を探して訪ねる
史料調査に行こう
公的な所蔵機関を訪ねる
史料を閲覧する
史料を撮影する
行政文書の情報公開
史料を「見せていただく」場合
記録と整理
そのほか注意しておくとよいこと
6 史料を読む
作業としての「史料を読む」
文字史料の場合
数字の場合
史料の内容を疑ってみることが必要な場合
7 目次構成を考える
目次は論文の見取り図
「論」と「文」
とりあえず「文」を目指す
「論」を立てる① ──事柄同士の関係
「論」を立てる② ──先行研究との関係
人に説明する
8 書 く
あとは書くだけ
図表をそろえる
材料を配置してつなげる
注を付ける
「はじめに」と「おわりに」
仕上げて提出する
第Ⅱ部 先行研究の見方 あなたはどこにいるのか
総論
研究者たちは何に関心を持ってきたのか……松沢裕作
(1)何かきっかけがある──研究の潮流を眺めよ
(2)明治時代を歴史にする──吉野作造と明治文化研究会
(3)明治時代に起源を探る──日本資本主義論争
(4)その後の明治維新論
(5)ふたたび、「何が悲しくて(嬉しくて)研究するのか?」
近代と現代 いまひとたびの時代区分論……高嶋修一
(1)昔と違う「いま」
(2)帝国主義と現代化
(3)戦後社会と現代化論
(4)「いつだったか」から「どうであったか」へ
(5)時代区分は時代遅れか──まとめにかえて
政治史1
政党政治研究の意義と昭和史研究への課題……米山忠寛
(1)日本政治史研究の評価軸──敗戦による「失敗した近代」評価と現実とのギャップ
(2)「政党政治」研究の意義と古典的研究との摩擦の回避
(3)「政党政治」研究の限界①──成果の普及と意義の喪失
(4)「政党政治」研究の限界②──「崩壊論」の破綻と残された課題
(5)現在の研究──「崩壊論」の克服と昭和立憲制
(6)今後へのポイント
政治史2 政治史研究の射程の広がり……若月剛史
(1)政治過程論的な政治史研究への批判
(2)組織への着目
(3)国家と社会との関係の再検討
(4)象徴天皇制への関心の高まり
経済史
経済活動のありようを通して社会の変容を捉える……日向祥子
(1)経済史学の基本的な問い
(2)源流かつ深層「潮流」としての唯物史観
(3)明治維新期研究
(4)産業革命期研究
(5)帝国主義史研究
(6)「経済史」研究の射程
農業史 なぜ地主制が重要だったのか……小島庸平
(1)農業史と地主制
(2)日本資本主義論争と地主制
(3)寄生地主制論争と世界史的法則
(4)地主制確立論争──異質なウクラードを結びつける
(5)後退期地主制史研究と農民層分解
(6)地主制と経済発展──まとめにかえて
民衆史・社会史1
「民衆」の歴史叙述──明治期の民衆運動を描く……藤野裕子
(1)戦後歴史学と「民衆」
(2)民衆思想史の出発
(3)社会史との接点
(4)国民国家論との接点
民衆史・社会史2
「いま」を知るための現代史……原山浩介
(1)現代史研究の展開
(2)社会史研究の難しさと醍醐味──用語・概念の問題
(3)消費者=女性という認識
(4)消費者運動/消費社会の変容
(5)消費者問題の混沌
(6)「いま」に立ち戻る
女性史・ジェンダー史
家族・女性運動・性売買を軸として……坂井博美
(1)女性史・ジェンダー史の変転
(2)女性史論争と女性史研究の確立
(3)ジェンダー概念と近代家族論の登場
(4)家族・女性運動・性売買研究の現在
(5)ジェンダー構造の立体的把握へ
都市史1 複数の波が生んだ大きな潮流……松山 恵
(1)研究潮流としての日本近現代都市史
(2)国家主導の近代化(西欧化・工業化)政策に関する研究──第一の波
(3)人びとの生活世界へ──第二の波
(4)前提の変化とあらたなアプローチの模索──1990 年代以降の展開
(5)近年の注目すべき動向──「都市」の拡張、研究体制などについて
都市史2 「都市史の自立」とその展開……中村 元
(1)「都市史の自立」のうねり──1970 年代末から80 年代/第一の波
(2)「都市史の自立」の到達と分岐──1990 年代から2000 年代/第二の波
(3)寄せ返す「都市史の自立」──2010 年代~/第三の波
植民地研究 「植民地性」を探究する学問……竹内祐介
(1)植民地研究という研究潮流はない?
(2)支配に対する反省と植民地研究の再開
(3)地域の通史を描く──植民地近代化論の登場
(4)近代化論批判からの二つの転回──植民地近代論と帝国史研究
(5)植民地性とはなにか──経済史研究からみた植民地研究
日本政治思想史
用法用量を守って正しくお使いください……河野有理
(1)「日本政治思想史」の卒論は書けない?
(2)日本政治思想史は「実証」的ではないか?
(3)日本政治思想史は「理論」的なのか?
(4)丸山眞男を先行研究にするということ
歴史社会学 歴史学から近くて遠い社会科学……野上 元
(1)社会史と歴史社会学、「社会」とは何か?
(2)歴史社会学の歴史
(3)日本の歴史社会学
むすびに 卒論のその先へ
あとがき
執筆者紹介
索引
上記内容は本書刊行時のものです。