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風土記博物誌
神,くらし,自然
- 初版年月日
- 2022年10月13日
- 書店発売日
- 2022年10月15日
- 登録日
- 2022年9月2日
- 最終更新日
- 2024年4月9日
書評掲載情報
2022-11-06 | 読売新聞 朝刊 |
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紹介
一三〇〇年の時を超えて、人と自然とその営みを今に伝える風土記。常陸の磨崖仏、播磨の笑い、豊後の地震、肥前の海民、出雲の神がみ――。伝承のことばに分け入り、ゆかりの土地を訪ね、かつてのありようを推理すれば、天皇を頂くヤマトとは異なる、こうではなかったかもしれない世界への入り口が。いざ古代日本列島のフィールドワークへ!
■著者からのメッセージ
不完全なものもいれて五か国、加えて後世の書物に引かれた逸文があるだけだとしても、八世紀以前の日本列島のあちらこちらのすがたを窺い知ることができる文字記録を、われわれが持っているというのは、なんと幸運なことか。(略)
今、わたしができるのは、一三〇〇年を経て伝えられた風土記の伝承群の一つ一つを丹念に解きほぐしながら、編纂の先にあったところのはじまりの現場に、それぞれの話をもっていこうと試みることである。そのような作業をここで、してみたいのである。
むずかしそうなことを言っているようにみえるかもしれないが、現存する風土記のことばに分け入り、それぞれの記録をていねいに読み解いてみようというのが、この本の趣旨である。そのほかには何も求めてはいない。忘れてはならないのは、こまかな断片にしかみえない一つ一つの記事から、その文字数の何倍もの情報を聴きだすには、無心にではなく、わたしの今までの蓄積のすべてをはたらかせてことばに向きあう以外に方法はないということを自覚することである。
それはわたしにとってはいつもの、そして充実した時間なのだが、この本を通してみなさんにも、それって、案外たのしいことだねと思っていただけるように、精一杯に切り結んでいきたい。
――本書「まえがき」より
目次
まえがき
Ⅰ 地震・火山、磐根
なゐふる
火神岳と神の湯
黄泉の坂・黄泉の穴
石神の涙
Ⅱ 天皇の失敗
石室に隠れる少年
風土記の天皇たち
拒む女
渡し賃をとられた天皇
Ⅲ 舟と道
舟を編む
クスノキと舟
動く神、歩く人、作られる道
野見宿禰の墓
あやしい剣の物語
Ⅳ 生きものたち
イノシシを追って
もの言うシカ
海の幸の賑わい
イルカ・シビ、そして海民
川を遡上するワニ、サケ、アユ
Ⅴ 神のはなし
神が遺したもの
鬼の話、二題
神、恐ろしきもの
験す神、験される人
孕ませる神
浦島子の異界往還
出雲の神がみを訪ねて
1 加賀の潜戸
2 カムムスヒ
3 寄りつく小さ子
4 神魂神社
5 イザナミの神陵
6 佐太の大神
7 神等去出──佐太神社
8 コトシロヌシとミホツヒメ──美保神社
9 ミホススミ
10 美保と大山
11 熊野大社
12 亀太夫神事
13 揖夜神社と一ツ石
14 毘売埼とワニ
15 黄泉比良坂
16 稲田神社
17 鮭神社
18 玉日女神社
19 意宇の杜
20 オミヅノ
21 アメノホヒ
22 銅鳥居
23 オホクニヌシの住まい
24 粟島神社
25 宗形神社
26 高層神殿
あとがき
参考文献一覧
引用資料索引
上記内容は本書刊行時のものです。