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死者の力 高橋 原(著/文) - 岩波書店
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死者の力 (シシャノチカラ) 津波被災地「霊的体験」の死生学 (ツナミヒサイチレイテキタイケンノシセイガク)

社会科学
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発行:岩波書店
四六判
縦188mm 横129mm 厚さ24mm
重さ 414g
348ページ
定価 2,400円+税
ISBN
978-4-00-061489-4   COPY
ISBN 13
9784000614894   COPY
ISBN 10h
4-00-061489-4   COPY
ISBN 10
4000614894   COPY
出版者記号
00   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年9月10日
書店発売日
登録日
2021年8月10日
最終更新日
2024年4月11日
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書評掲載情報

2021-12-26 読売新聞  朝刊
評者: 加藤聖文(国文学研究資料館准教授・歴史学者)
2021-11-14 読売新聞  朝刊
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紹介

東日本大震災の津波被災地でしばしば語られる「霊」体験。メディアで取り上げられ、多くの人々の関心を集めてきた。この切実な体験をどう考えるか。物語の力、伝統宗教や習俗、儀礼との関わり、残された人の心身のケア、共同体における作用等から「死者の力」に迫る。被災地住民と宗教者への聞き取りに基づいた調査研究の決定版。

目次

はじめに高橋 原

第一章 物語の力──被災地の霊的体験になぜひきつけられるのか……………高橋 原
 メディア報道
 亡き人との再会
 未知の霊、身近な霊(見知らぬ死者、身近な死者)──阪神・淡路大震災との違い
 たとえ幽霊でもいいから会いたい
 犠牲者遺族の夢
 物語の力
 心霊現象と被災地復興のフェーズ

第二章 儀礼の力──被災地の宗教者は霊的体験にどう対処したのか……………高橋 原
 儀礼の効用──「楽になりました」
 宗教的応急手当て(Religious First Aid)
 相談内容──オガミヤとの関係
 仏教教団の霊魂観
 宮城県の宗教者の「心霊現象」観 (一)仏教僧侶
 宮城県の宗教者の「心霊現象」観 (二)神職
 宮城県の宗教者の「心霊現象」観 (三)キリスト教牧師
 儀礼の力
 むすび

第三章 絆の力──被災者たちは亡き人との絆にどう支えられているのか……………堀江宗正
 調査に至った経緯──塞翁さんの話
 継続する絆──調査の目的と鍵となる概念
 日本人にとっての「継続する絆」
 方法論
 霊の実在の肯定か否定か──語られた現実への限定
 悲嘆、記憶、前向きさ
 自然な霊的体験──四分の一が気配を感じ、メッセージを受け取っている
 悲嘆共同体
 震災後の宗教性の高まり?
 身近な霊に関する心温まる物語の典型
  (夫の霊を近くに感じている女性たち)
 被災地外の人が体験する未知の霊についての怪談
  (1 自動車の運転手の話/2 工事関係者の話/3 ボランティアの話)

第四章 共同体の力──霊的体験の地域差はなぜ生じたのか……………堀江宗正
 「未知の霊」の「身近な霊」への包摂
 身近な霊と未知の霊の間
  (イエを越えた隣人との絆/地区住民への思い/未知ではないが包摂しがたい霊)
 被災地内で語られる「未知の霊」
  (宮城県B市のコンビニ怪談/岩手県A市の信号待ち怪談/コンビニ怪談と信号待ち怪談の比較/岩手県A市の回答者の状況/宮城県B市の回答者の状況)
 両市の違いを生む三つの要因
  (地理的要因/心理的要因/宗教的要因)
 「死者の力」を支える「宗教の力」
 平時の悲嘆と非常時の悲嘆

第五章 信仰の力──被災地の外から来た信仰者は霊的体験をどのように見たのか……………堀江宗正
 被災地における「宗教」
 スピリチュアルケアの可能性
 復興世俗主義のなかでの宗教者の活動
 調査の枠組──信仰者たちの視点の異質性
 調査対象者の条件・特徴
 被災地での霊的体験
  (伝聞への関心の低さと疑い/霊視された被災地──残存思念・実存思念・未浄化霊・祈りの重層性/面識がある人の霊的体験/被災者からの供養の依頼──地域の宗教者には頼めないこと/被災地での信仰者の実体験──複数の現実への開かれ/被災者への傾聴は、すなわち死者への傾聴/高次の霊、仏、神に関わる信念と体験/祈りの体験──震災を起こした神の悲しみと浄化)
 霊・霊魂についての見解
  (慎重な態度をとる信仰者/霊を認める仏教者/多宗教の信仰者の共通言語としての「霊」と「魂」)
 霊的体験への対応の仕方
  (憑依への対応──あくまで普通の被災者の霊として/拝み屋による対応/行方不明者の遺体への関心/なぜ東日本大震災では「幽霊」が出るのか)
 死者と生者の「継続する連帯」へ
  (苦を通しての連帯──仏教系信仰者の場合/霊としての連帯──スピリチュアリズム系信仰者の場合/悲嘆における連帯──神道系信仰者の場合/再び塞翁さんの話)
 ポスト近代の悲嘆文化

結 論……………堀江宗正
 1 物語的現実としての死者・霊
  (現代日本人の一般的な死後観/物語的現実という概念/死者が「ここにいる」という語り/物語的現実の理論的背景/物語によって生きる人間/変容する物語、変容する自己/死者の変容/重要な他者となる死者──阪神・淡路大震災の先行研究から/日本語の「ものがたり」の含意──「かたり」と「はなし」/生々しい死者の物語、生き生きとした死者の物語)
 2 霊概念の三モデル
  (辞書に見る「霊」/変容する霊──霊の疫病モデル/霊の電磁波モデル、霊の情報モデル/霊の情報モデルの理論的基礎/集合的無意識の噴出とは)
 3 死者の力をめぐって
  (震災後の死者論/死を経てなお生きる力/和解と連帯のドラマツルギー)

あとがきに代えて──片方の調査者から見た主観的現実……………堀江宗正

参考資料
参考文献

著者プロフィール

高橋 原  (タカハシ ハラ)  (著/文

高橋 原(たかはし はら)
1969年生。東北大学大学院文学研究科教授。死生学、実践宗教学。博士(文学)。臨床宗教師養成にも関わってきた。著書に『ユングの宗教論──キリスト教神話の再生』(専修大学出版局)、共著に『隠される宗教、顕れる宗教』(シリーズ「いま宗教に向きあう」2、西村明責任編集、岩波書店)他。

堀江 宗正  (ホリエ ノリチカ)  (著/文

堀江宗正(ほりえ のりちか)
1969年生。東京大学大学院人文社会系研究科教授。死生学、スピリチュアリティ研究。博士(文学)。著書に『ポップ・スピリチュアリティ──メディア化された宗教性』、『スピリチュアリティのゆくえ』(シリーズ「若者の気分」)、編著に『現代日本の宗教事情』(シリーズ「いま宗教に向きあう」1、責任編集。以上、岩波書店)他。

上記内容は本書刊行時のものです。