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「反原発」のメディア・言説史 日高 勝之(著/文) - 岩波書店
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「反原発」のメディア・言説史 (ハンゲンパツノメディアゲンセツシ) 3.11以後の変容 (サンイチイチイゴノヘンヨウ)

社会科学
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発行:岩波書店
四六判
縦188mm 横129mm 厚さ30mm
重さ 470g
348ページ
定価 3,000円+税
ISBN
978-4-00-061451-1   COPY
ISBN 13
9784000614511   COPY
ISBN 10h
4-00-061451-7   COPY
ISBN 10
4000614517   COPY
出版者記号
00   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年2月5日
書店発売日
登録日
2021年1月10日
最終更新日
2021年2月3日
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書評掲載情報

2021-03-06 東京新聞/中日新聞  朝刊
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紹介

3.11の福島原発事故後、「反原発」「脱原発」の言説が新聞・テレビ、書籍・雑誌、映画等のメディアに溢れた。気鋭のメディア研究者が、これらメディアや人物・作品を取り上げ、3.11以前の関連言説も合わせ、戦後日本の民主主義の視点から言説とその背景を、俯瞰的・相関的に整理・考察。資料的価値も高い1冊。

目次

序 章 3・11以後の「反原発」とは何か
 1 福島原発事故後の「反原発」
  「反原発」の高まり/世界屈指の原発大国/世論の大きな変化/これまでの議論とそこから零れるもの/3・11以降の「反原発」の検証必要性
 2 多様な視座から「反原発」を考える
  「イデオグラフ」の視点――二〇一四年の都知事選/単一ではない「反原発」/正義論の視点から原発を考える/「なに」「だれ」「いかに」をめぐって――核と地球温暖化/包摂的な民主主義のために
 3 本書の五つの問い――3・11後の「反原発」はいかなるものか
  「反原発」の発信者とその議論・表象の実際と到達点――第一の問い/多様な立ち位置からの象徴闘争 ブルデューの「界」概念――第一の問いポイントその1/誰・何と敵対するか――第一の問いポイントその2、その3/民主主義の議論の成熟に向けて――第二の問い/原発と核――第三の問い/代替エネルギーと気候変動の問題――第四の問い/近現代日本のポスト・カタストロフィの思潮として――第五の問い/本書の構成など


第1章 主流メディアの位相――新聞とテレビ
 1 転換と内省
  主流メディアの内省
 2 内省とマニフェスト――3・11後の新聞
  事故が多発した二〇〇〇年代/『朝日新聞』『毎日新聞』『東京新聞』三紙の変化/ドイツとイタリアの「脱原発」/菅直人首相の「脱原発」発言/三紙の「脱原発」への三つのステップ/3・11以前の新聞/被ばくリスクの扱い/内省と告発の試み――『朝日新聞』/独自のスクープ記事――『毎日新聞』/市民目線の長期報道――『東京新聞』/オルタナティブなエネルギーへの転換/地球温暖化との関連/核と原発――原子力の表と裏/その後の三紙の核関連社説/「脱原発」「反原発」市民運動との接点/「なに」「だれ」「いかに」のメタ政治的正義との関連/新聞に変化はみられたか/社説と記事の距離
 3 強固なメディア特性――3・11後のテレビ
  事故直後のテレビ報道/原発そのものの是非/3・11以前のテレビ/地域ローカル議題からの脱却/3・11から生まれた異色の番組――NHK『長すぎた入院』ほか/内部被ばくの問題/テレビ番組の系譜と継承/テレビ局内のサブ「界」の差異/放射能リスクに関するその他の番組/引き継がれる原発議題の人間化、ローカル化/復興議題の両義性/3・11の記憶の風化
 4 原発広告の構造――主流メディアの桎梏
  広告と原発/見えない圧力/主流メディアの今後――「プロレス」と「格闘技」


第2章 懐疑と抵抗――科学者とフリージャーナリスト
 1 専門科学知と社会科学知の交錯――科学者
 ⑴ 原発推進派からの転換――武谷三男
  「原子力の平和利用」の理論的支柱/原子力への懐疑/専門科学知と社会科学知の交錯
 ⑵ 市民科学者の立ち位置――高木仁三郎
  大学を辞した科学者/原子力資料情報室の設立/道具的理性批判との親和性/高木の包摂性
 ⑶ 孤高と峻厳――小出裕章
  反原発の原子力研究者/加害と搾取――「他者」へのまなざし/従属理論、構造的暴力論との関わり/「騙された責任」を取るということ/核と温暖化/3・11後の「小出裕章ブーム」/ラジオ番組『たね蒔きジャーナル』/小出「日本のマスメディアは腐っている」/「反原発の科学者『界』」というサブ「界」――武谷・高木・小出
 2 個と抵抗――フリージャーナリスト
 ⑴ 「教祖」のスタイル――広瀬隆
  『東京に原発を!』と『危険な話』/「ヒロセタカシ現象」とバッシング/3・11後の広瀬/専門家と主流メディアへの敵対
 ⑵ 原発立地地域から考える――鎌田慧
  七〇年代からの現地ルポ/「さようなら原発一千万人アクション」/兵器産業、核拡散の議題化/広瀬との相違/主流メディアとの軋轢――『朝日新聞』大熊由紀子との対立
 ⑶ 内実の可視化の追求――田原総一朗
  異色の立ち位置/『原子力戦争』の反響/余儀なくされた東京12チャンネルの辞職/『朝まで生テレビ!』の原発特集/3・11後の田原/「原発がかわいそう」――熟議を求めて/フリージャーナリストと主流メディアの不調和――「政官産学メディア」の力学
 3 機動力とジレンマ――ネット・ジャーナリズム
  IWJとその機動力――岩上安身/OurPlanet-TV と白石草/東電記者会見への密着――木野龍逸の仕事/複合的なジレンマ


第3章 「日本」をめぐる闘争――人文社会科学系知識人
  原発に関心を示してこなかった人文社会系知識人/3・11後の出版メディア/「新規参入者」としての知識人たち
 1 反西洋近代的日本主義――中沢新一
  「日本の大転換」「文明の大転換」/反西洋近代的日本主義――「近代の超克」の系譜/思想的超克課題として
 2 戦死者の「祈念」――加藤典洋
  原爆犠牲者の「祈念のかたち」/反日本近代的内省主義/原発推進派の「四つの軸」への反証/「敗戦後論」の延長線
 3 「日本」を超克する――笠井潔
  自己欺瞞の精神構造――「ニッポン・イデオロギー」/「潜在的核保有」の争点化/科学者と人文社会系知識人の差異/笠井による中沢への批判x――「日本」をめぐる闘争/笠井による加藤への批判――「ゴジラ」と潜在的核保有
 4 「戦後民主主義」の進度――小熊英二
  「個の自律」と「戦後民主主義」/鶴見俊輔と「ベ平連」を意識/「戦後民主主義」の進度の争点化/厳しいメディア批判
 5 知識人のユニークな自己批判――安冨歩
  原発と「東大話法」/激しい賛否
 6 「日本」と知識人
  「反近代」の思想的超克課題――二つの立場/メディア批判が意味するもの


第4章 反メディア、市民運動と民主主義――ドキュメンタリー映画
  ドキュメンタリー映画と反原発/ドキュメンタリー映画とは何か/原発問題を扱った3・11以前の作品
 1 民主主義のエクササイズ――鎌仲ひとみ
  映画制作と自主上映運動/「内部被ばく」の争点化
 2 3・11後の表現論的可能性――舩橋淳と想田和弘
 ⑴ 避難所から見た民主主義――舩橋淳
  「小宇宙」と「反テレビ」/言語情報でまとめられないドキュメンタリー映画/民主主義の自覚――舩橋と鎌仲・小熊との相同性
 ⑵ 「政治的無関心」の記録――想田和弘
  想田が目指す「観察映画」/3・11直後の首都圏住宅地の風景が意味するもの/海外での制作経験――鎌仲・想田・舩橋を結ぶもの
 3 メディアの相対化――森達也と三人の作り手たち
  3・11直後の「現認」記録/映像メディアの加害性/映画『3・11』への激しい賛否の嵐/メディアの相対化と「自己言及性」/森と二人の共同制作者への反発――松林要樹と『祭の馬』/馬の身体運動と生命力の逆説
 4 その他の主なドキュメンタリー映画   二人の弁護士による映画制作――河合弘之・海渡雄一/インタビューで迫る作品群――岩井俊二ほか/原発周辺地域の苦悩と試み/ドキュメンタリー映画の三つの特徴
 5 補論――劇映画における福島の事故と原発
  3・11直後の劇映画――『希望の国』『おだやかな日常』『朝日のあたる家』/二つの大作映画――『天空の蜂』『シン・ゴジラ』/リアルを追求――『太陽の蓋』『彼女の人生は間違いじゃない』『STOP』/大作映画と低予算映画の違い


終 章 カタストロフィとレジリエンスの交錯――3・11とコロナ禍から考える「戦後」後
 1 「反原発」の多層化と多位相化
  各「界」特性の増幅を伴う「反原発」の多層化と多位相化/「反原発」が伴う反「主流メディア」論/「反核」と「反原発」の接続の困難/科学者による包摂的な議論構築/人文社会系知識人の「日本」への問い、への跳躍/論点の分散化の課題
 2 なぜ「脱原発」は日本で政策実現しないのか――ドイツとの比較
  3・11後のドイツのメディア報道/国論を二分してきたドイツの原発議題/「等価性の連鎖」の重要性/ドイツにおける二つの委員会の助言/日本の課題
 3 3・11とコロナ禍を結ぶもの
  「ただちに影響はない」と「瀬戸際」/専門家会議と原子力規制委員会/意思決定、プロセス、情報開示/対話型専門知
 4 今後のために――多元的な知の展観と接続
  多元的な知の展観と接続/武谷三男が問うたもの/可能性への模索――3・11とコロナ禍以降の時代のために


あとがき

主要参考文献

上記内容は本書刊行時のものです。