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「いのち」の現場でとまどう
臨床医学概論講義
- 書店発売日
- 2019年6月19日
- 登録日
- 2019年5月11日
- 最終更新日
- 2019年6月15日
紹介
どんなに医学が進んでも,人の生と死は決して意のままにはならない.終末期医療の現場で病と死を見つめてきた医師の模索と,社会思想史の視角からの医学・医療への問いが交錯するところに生まれる,型破りな「医学概論」.
目次
はじめに
第一部 講義
Ⅰ 二つの授業
第一節 問題意識とその背景
「線」の時代/子どもの頃/故郷で医師に
第二節 生物の授業
生命の起源/解剖実習/がん告知のパラドックス/問い自体を疑う
第三節 「いのち」の現場へ
死を見つめる/二つの感情労働/安楽死ととまどい/向光性と向地性/無意味な「いのち」の意味
第四節 国語の授業
ハンセン病との出会い/長島愛生園を訪問/アンケートのなかの相反する感情/ハンセン病の根本問題/コスモスとカオス
Ⅱ 臨床は汽水域
第一節 不定形の日々
青竹の担架/目の前の具体/息づかいを診る/悠久の空
第二節 死を見つめる
抱えられた死/身体の反乱/受容と従容/臨床の定置網化/臨床の作法
第三節 臨床の論理
ネガティブ・ケイパビリティ/カンファレンスとオープン・ダイアローグ/死とユーモア/白魚のような手/手の役割,足の役割/死より歯
第四節 定置網を破る
臨床の小競り合い/背中で死を感じ取る/道ができている場所では
Ⅲ ぼくの医学概論
第一節 過誤に学ぶ
殺すな/戦場化する身体/思いがけないこと/許された過誤
第二節 ケアとしての医療
ケアに出会う/医療者への否定/障害に出会う,生活に出会う
第三節 医療を見直す視点
「今このとき」/ゴリラ・スポーツ・演劇・写真/臨床を支える和語たち
第四節 カオスのなかで
素手社会と手袋社会/機器の進歩/ベッドサイドの「真実」
第二部 往復書簡
Ⅰ ハンセン病について
往信Ⅰ 高草木光一より徳永進へ
善意の陥穽/『愛の風景』と〈The Best Intentions〉/善意の対立,善意の否定/「鼻がもし穴だけだったら」/神谷美恵子の善意/徳永進と「交流(むすび)の家」/徳永進の強制隔離政策批判/強制隔離政策への視点/「故郷」を創造する想像力
返信Ⅰ 徳永進より高草木光一へ
藤本としさんのこと/島田等さん,山本肇さん/無癩県運動と故郷/不在の家族/『隔離』刊行後/滝田十和男をめぐる縁/神谷美恵子について/ハンセン病の学び
Ⅱ ホスピスについて
往信Ⅱ 高草木光一より徳永進へ
謎/ホスピス導入期のアンビヴァレント/ホスピスと貧困・差別/ホスピスとコミュニティ/「演技としての看護」と「第二感情労働」/ホスピスとスピリチュアルペイン/魂の治療/CTの謎・再び
返信Ⅱ 徳永進より高草木光一へ
ホスピスという言葉/ナロードニキと共同体/「CTの謎」を解く/身体所見と主訴/生活臨床としてのケア/ケアとキュア/文化運動としての在宅ホスピス/三つのC/「話,違うじゃん」の世界/being
Ⅲ 医療文化について
往信Ⅲ 高草木光一より徳永進へ
摘便の技術/富士見産婦人科病院事件/医師―患者関係/川崎協同病院事件/徳永進のアナーキズム/岡村昭彦と治療共同体/「臨床の知」の射程/鶴見俊輔のほうへ
返信Ⅲ 徳永進より高草木光一へ
摘便について/早川一光先生,若月俊一先生/川崎協同病院事件のこと/セデーションと安楽死/治療共同体への遠い道/岡田兵衛の夢/「臨床の知」と罪悪感/鶴見俊輔の教え/死の文化
文献案内
上記内容は本書刊行時のものです。