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時代の求めにこたえて 武 建一(著/文) - 社会批評社
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時代の求めにこたえて 武 建一対談集

発行:社会批評社
四六判
並製
定価 1,000円+税
ISBN
978-4-916117-86-1
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2010年1月
書店発売日
登録日
2015年8月22日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

関西の労働運動のリーダー武建一と、部落解放同盟委員長・組坂繁之との初めての対談を手始めに、沖縄学会のリーダー新崎盛暉、経済学の本山美彦など、各界のリーダーたちが語る大恐慌下での危機にたつ日本の道筋とはー。

目次

はじめに 5
第1部 経済恐慌に立ち向かう中小企業の進路 9
                         本山美彦・武 建一
  金融恐慌にどう立ち向かうか 10
  オバマ政権成立によるアメリカの大変化 12
  アメリカ発、金融恐慌の原因 14
  「金融権力」構造の破綻 21
  市場原理主義の崩壊 27
  背景に日米経済の一体化 34
  米国が要求した国鉄・郵政の民営化 42
  平和・民主主義・人権と労働組合 49
  資本主義に変わる社会とは 53
  「共生・協同」の協同組合運動 64
  協同組合の中での労組の役割 73
  会場からの質問と回答 80
  キーワードは「地域」 92

第2部 人権をないがしろにする時代に立ち向かう 99
                          組坂繁之・武 建一
  日本と米国の「公民権運動」 100
  「解放の父」・松本治一郎の教え 103
  部落差別の体験の中で 109
  部落外の苦しんでいる人たちとの連帯 114
  差別と労働運動 120
  抑圧の島・徳之島の体験 127
  何としても石川一雄君の無実の証明を 132
  関生と解放同盟への権力弾圧 141
  「水平社宣言」の精神で! 150
  中小企業と労働者の連携の運動 157
  「弱い心」を克服する仲間の支え 163



第3部 沖縄米軍基地と日米安保を問う 171
                          新崎盛暉・武 建一
  日米関係の中の沖縄 172
  安保再定義とSACO合意以後 178
  米軍再編とグアム協定 181
  切り捨てられた戦後の沖縄 188   
  米軍政支配が続いた奄美・徳之島 193
  クニを相対化して見る沖縄 198
  天皇の「沖縄メッセージ」と戦争責任 202
  島ぐるみ闘争から教科書検定へ 208
  関生労働運動と反戦反安保 213
  日本を変えるテコとしての沖縄 219
  支配層の危機を民衆の勝利へ 223
  参考資料 228

あとがき 237

前書きなど

はじめに 対談を終えて       
 3人の日本を代表するような先生方と出会い、対談をさせていただきました。この出会いに感激し、感謝しています。何の打ち合わせもなしのぶっつけの対談でしたが、読み返してみて読者にはそれぞれの経験がそのまま出ていて、かえって新鮮なものになったのではと思います。
 第1部の本山先生ですが、経済学の権威である方ですからお会いするまでは評論家的な、いわゆる威圧的な学者タイプのイメージを持っていたのですが、お話をさせていただいてすごく実践的な方だという印象を強く受けました。本当に理論家でありながら、労働者的な闘うわれわれと同じような目線、立場でものを見ていただいている方だと。ですから、私は「いい方との出会いができたな」と思いました。この対談のご縁もあり、その後、思いもかけず2009年6月に新発足した「変革のアソシエ」の共同代表も、一緒にさせていただくことになりました。
 第2部の組坂委員長ですが、解放運動・人権擁護の運動を先頭に立って闘って来られた方で、初めてお会いするので「うまく対談ができるかな」と思っていました。しかし、組坂委員長は本当に率直な方で、何でも包み隠さず話され、そのまま人間性が出ておられてもう10年来のお友達みたいな親しみを感じました。特に、現場における闘い、その闘いの中でさらに課題を前進させるための理論性・思想性を身に付けておられる点では、とても私と同じレベルでは論じられないほどの違いがあり、本当に勉強になりました。
 第3部の新崎先生も初めての出会いで、先生が書いておられる著作を急ぎ2冊、3冊と斜め読みしまして、先生に失礼なことをしてはいけないと実際はずいぶんと緊張していました。しかし、先生が対談の成り立つように話をしていただきましたので、安保の問題は今で言えば重たく感じられるテーマですが、すっと私の方もそこそこかみ合うことができました。確か新崎先生のお母様が、私の郷里の徳之島出身だと言われました。徳之島という島自体が、江戸幕府の時代からすごく抑圧され闘ってきた抵抗の島なので、何か不思議なご縁と共通のルーツが感じられて、初めての出会いながらすごく身近な感じを受けました。私からすれば、新崎先生は理論家であり闘士という印象ですから、その方と出会えること自体が喜びです。
 現在、沖縄の普天間米軍基地の問題で、民主党基軸の新政権はゲーツ米国防長官に恫喝されてフラフラになっており、それに対して11月8日には沖縄県民大会があり、日米両政府に対する怒りと「沖縄に基地はいらない」という大きな闘いの盛り上がりがありました。日米安保が元凶となって米軍基地が存在しているわけですから、この対談が契機にもなって、今の安保破棄をめざす関西の労働者運動の、新しい動きにつながっていることを喜んでおります。
 3人の方との対談は、私と私たちの組織にとって本当に光栄な出会いとなり、労働運動の分野から社会運動へのつながりと広がりを持つ機会になったということで、心より感謝しています。改めてお礼を申し上げます。この対談をお聞きいただいた方々は、半分が労働者で半分が経営者です。労使ですから立場が違っていて配分を巡る対立などがあるのですが、一緒になって熱心に学習するという光景は、全国でも珍しいのではないかと思います。
 なぜ、そういう風になっているのかと言いますと、われわれ関生(略称)の運動というのは、労働者の生活と権利を守るのは当然のことで、平和・人権を守るとか沖縄の教科書問題や基地撤去などにも取り組み、国際連帯の運動もします。そしてそれだけではなく、世の中の産業のあり方とか経済のあり方というものを変える、つまり産業と経済民主化をめざしてきました。この運動が大きく発展するということは、やがて政治改革、社会変革につながっていくと考えています。
 日本では99%が中小企業であり、日本の経済を支えているのは中小企業で、そこで働く労働者は大方4000万人以上いるわけです。ところが、その実態といえば、非常に不平等・不公平で大企業から抑圧されています。ですから、そういう構造を、つまり経済と産業を民主化しようという運動をわれわれは運動の中心に置いてきたのです。
 事業協同組合などの業者団体とわれわれ労働組合が一緒になって、例えば需要創出のために生活道路や下水道を完備させるとか、耐震補強性のコンクリートを使わせるとか、アスファルトからコンクリートに換えさせるとか、あるいはヒートアイランド現象を解消するために、保水率の高いコンクリートを使うことを提案しています。それは、国民の安心・安全を担保するということにつながります。
 同時に、消費者の安全と安心のために、品質管理を徹底するとか、品質保証システムをつくり上げていく。環境保全のための投資を各会社できちんとやる必要があるとか、新しい技術開発についての対応策を考え、人材を育成していく。新しい技術を開発するためのセンター、これは09年6月末に竣工した《協同会館アソシエ》につくっています。これらは、中小企業の事業協同組合と労働組合がともにやっている共同事業です。
 そういう共同事業を通して、労使の信頼関係を育ててきました。当然、配分を巡っては鋭く対立しても、それは単に個社を対象にするのではなく、業界全体のあり方、一口に言えば、独占資本―大企業と闘い、産業と経済民主化の方向で矛盾を解決していく。この運動路線においては、概ね中小企業の経営者の方とは基本的に合意できますので、こういう形の共同の学習会が可能になっているのです。
 本書を手に取っていただいた読者のみなさんが、ぜひこの対談集を契機に、今後の社会運動のあり方の問題なり、労働運動のあり方の問題というものを、あるいは時代の求めるところに応えて生きるということを、考えるきっかけにしていただければ幸いです。
 日本の企業別労働運動はもう限界にきており、このままでは展望を切り開くことはできません。特に労働者のみなさんには、関生的に言えば産業構造を変え、社会構造を変えていくことを展望した産業別労働運動こそが、中小企業も一緒になって世の中をまともにし、新しく変えていくことが可能だということを、この対談集から読み取っていただければと願っています。
                   2009年12月1日          
                                  武 建一

著者プロフィール

武 建一  (タケケンイチ)  (著/文

1942年鹿児島県徳之島生まれ。全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)執行委員長。中小企業組合総合研究所代表。
 中学卒業後島内の商店に住み込みで働いていたが19歳で大阪に出てきて三生運送(元の共同組)に就職。65年関生支部の結成に参加し、初代委員長に就任。以来、関生支部の発展強化に尽力し、現在に至る。
著書に『労働運動再生の地鳴りがきこえる』、『武建一 労働者の未来を語る』(以上、社会批評社)など。

新崎盛暉  (アラサキモリテル)  (著/文

1936年東京生まれ。東京大学文学部卒業、専攻は沖縄近現代史・社会学。沖縄大学名誉教授。
中野好夫主宰の沖縄資料センター研究員として沖縄戦後史を研究。沖縄大学教授を経て1989年まで同大学学長をつとめる。また石油備蓄基地反対闘争、一坪反戦地主会など沖縄の住民運動に参加。主な著書に『戦後沖縄史』(日本評論社)、『沖縄現代史』(岩波新書)など多数。

組坂繁之  (クミサカシゲユキ)  (著/文

1943年福岡県生まれ。部落解放同盟中央執行委員長。
27歳で部落解放運動に入り、1970年部落解放同盟小郡連協青年部長、89年部落解放同盟福岡県連合会書記長、90年部落解放同盟中央執行委員を経て、96年部落解放同盟中央書記長、98年部落解放同盟中央執行委員長・同福岡県連合会副委員長の現在に至る。
 また、世界人権宣言中央実行委員会副実行委員長、部落解放全国共闘会議議長、折尾愛真短期大学講師(非常勤)などを歴任。
著書に『対論 部落問題』(平凡社)。

本山美彦  (モトヤマヨシヒコ)  (著/文

1943年兵庫県神戸市生まれ。65年京都大学経済学部卒業。69年京都大学大学院経済学研究科博士課程中退。06年京都大学経済学部を定年で辞し、06年~08年福井県立大学経済学部教授。現在、大阪産業大学経済学部教授、京都大学名誉教授。
主な著書に『倫理なき資本主義の時代』(三嶺書房)、『売られるアジア』(新書館)、『民営化される戦争』(ナカニシヤ出版)、『金融権力』(岩波書店)など多数。

上記内容は本書刊行時のものです。