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禅と戦争
新装版
禅仏教の戦争協力
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2015年12月20日
- 書店発売日
- 2015年12月8日
- 登録日
- 2015年11月10日
- 最終更新日
- 2024年2月15日
紹介
様々な反響を呼びながら、長らく品切れが続いていた『禅と戦争』が新装版として待望の発売!(初版は光人社、2001年)
禅僧たちの負の遺産とは? 客観的視点で「国家と宗教と戦争」を凝視する異色作。
僧衣をまとって人の道を説き、「死の覚悟、無我、無念、無想」を教える聖職者たち―禅仏教の歴史と教理の裏側に潜むものを徹底的に考察する。
目次
序 新装版出版にあたって
プロローグ
第 1 章 廃仏毀釈運動
第 2 章 初期に見られる仏教側の社会的目覚め
第 3 章 内山愚童―革新的曹洞禅僧
第 4 章 既成仏教教団による革新的社会活動の拒絶
第 5 章 軍部政策に吸い込まれた仏教(1913-30)
第 6 章 軍国主義に対する仏教側の反抗
第 7 章 禅、その暗殺者たち
第 8 章 皇道仏教の誕生
第 9 章 皇国禅、そして軍人禅の登場
第10 章 戦時に協力した禅の指導者たち
第11 章 戦後における皇道仏教、皇国禅、あるいは軍人禅への反応
第12 章 戦後における企業禅の誕生
エピローグ
訳者あとがき
日本語文献
英語文献
注一覧
前書きなど
……私は、折にふれ「禅者たちの戦争協力」と題して講演をしてきた。ありがたいことに講聴者の方々から絶版になった「『禅と戦争』の再版予定はあるのでしょうか」さらには「続編の予定は」と訊かれること多くあった。そうした声が高まりつつあるなか戦後七〇年という節目に「新装版」として再び世に出る運びとなったことはまことにありがたく、えにし書房の勇気に心より感謝したい。そして、これまであたたかい眼差しで、力強く励まし、応援して下さった友人たちや読者の方々に感謝の意を表したい。
版元から一言
戦後70 年の今だからこそ、仏教もまた、戦争推進の大きな勢力として機能してしまっていたことを改めて問い直すために出しました。
以下、訳者あとがき引用
このたび「新装版」が初版から14年ぶりに出版されることになった。戦後70年という節目の年、「安倍談話」や「戦争法案」の是非を問う議論が激しい中、増補改訂より、時宜を優先した。現在の日本は、70年前の日本人全体が受け入れた「狂気」が、「新たな狂気」となって台頭しかねない時代状況と言っても過言ではなかろう。今の若い世代に、日本の過ちの背景に禅仏教の指導者たちが存在し、国家・軍部―財閥・宗教が一体化して「戦争遂行」した事実を伝えたいのである。
思いを新たにしたのは、日本人はもう少し、先の戦争を掘り起こし真摯に向き合うべきではないかということである。また、仏教者の方々にも、この70年間「一人の兵士」も戦場に送らなかったことと、戦前・戦中の歴史事実との両方に向き合っていただきたい。凄惨な戦場で命を落とした無名の若者たちの背後に、仏教指導者たちの「釈尊」に対する背信行為があったことに常に思いを馳せていただきたい。そうした思いが戦争への認識をより深くするはずだからである。
戦争中毒に陥り泥沼の戦いを続ける一方の母国アメリカ。侵略の罪過を背負うもう一つの母国日本。「二つの母国」の狭間で揺れる私を励まして下さる多くの友人たちに感謝したい。また、出版を実現してくれたえにし書房社長塚田氏の英断に、母国日本の良心を見たことも記しておく。
本書の原書は1997年英語版の出版直後、独、仏、伊、続いてポーランド語版が出版された。現在韓国、中国語版が出版準備中であることを感謝とともにお知らせし、あとがきとする。
2015年初秋の京都にて エイミー ツジモト
上記内容は本書刊行時のものです。