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第二世界のカルトグラフィ 中村 隆之(著) - 共和国
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第二世界のカルトグラフィ (ダイニセカイノカルトグラフィ)

文芸
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発行:共和国
四六変形判
縦188mm 横125mm 厚さ16mm
重さ 300g
224ページ
上製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-907986-91-9   COPY
ISBN 13
9784907986919   COPY
ISBN 10h
4-907986-91-2   COPY
ISBN 10
4907986912   COPY
出版者記号
907986   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年8月10日
書店発売日
登録日
2022年7月26日
最終更新日
2022年8月15日
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書評掲載情報

2022-12-17 図書新聞  3572号
評者: 澤田直
2022-12-17 図書新聞  3572号
評者: 藤原辰史
2022-12-16 週刊読書人  3469号
評者: 越川芳明
2022-12-03 図書新聞  3570号
評者: 森元庸介(東京大学/思想史)
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紹介

第二世界、それは絶望で覆われたこの現実世界に、なお夢見ることを忘れない人々の不屈のヴィジョンだ。世界各地のさまざまな本や表現から、新たな生の場所を〈発見〉する。そのときどんな地図が浮かび上がるだろうか――。シャモワゾーやグリッサンらカリブ海の作品。レイシズムが蔓延するアメリカ文化。目取真俊や崎山多美らの沖縄の文学。そしてコレット・マニーのブルーズ……絶望にあらがう多彩な表現を手がかりにした旅の記録。定価2500円+悪税

目次

  0 第二世界は存在する
 
第I部 場所
 
  1 反復される川の記憶 
  2 カリブ海の移動と交流 
  3 アフリカの魂を探して 
  4 アメリカのニグロ・スピリチュアル
  5 ファトゥ・ディオムの薄紫色 
  6 レザルド川再訪 
  7 レイシズムのアメリカ 
  
第II部 境界

  1 絶対的暴力の牢獄 
  2 分からなさの向こう側を想像する 
  3 岩手県の幻冬小説 
  4 文明のなかの居心地悪さ 
  5 アパルトヘイト終焉期を撮る 
  6 テロルという戦場 
  7 ディストピア小説に映し出される近未来 
   
第III部 生

  1 ジャン・ベルナベ(一九四二―二〇一七) 
  2 パスカル・カザノヴァ(一九五九―二〇一八) 
  3 フランソワ・マトゥロン(一九五五―二〇二一) 
  4 ヤンボ・ウォロゲム(一九四〇―二〇一七) 
  5 東松照明(一九三〇―二〇一二) 
  6 ジャック・クルシル(一九三八―二〇二〇) 
  7 コレット・マニー(一九二六―一九九七) 
    
第IV部 交響

  1 アナキズムと詩的知恵 
  2 口頭伝承と神話的思考 
  3 フランス国立図書館と作家研究 
  4 ニューカレドニアの民族誌 
  5 震えとしての言葉 
  6 野生の思考と芸術 
  7 詩人たちの第二世界 

  あとがき 第二世界の地図作成のために

前書きなど

《第二世界の〈場所〉とは、たとえば、空を飛ぶ鳥たちが巣を作る「静かな崖」であったり、森に住む人々の「大きな樹々」であったり、「石灰岩とダイオウヤシでできた高原」だったりする。それは普段、わたしたちの想像力からは隠されている未知の場所だ。そうした場所に行くことは叶わないけれども、第二世界に向かってわたしたちの想像力を解き放つことはできる。
 ところで、第二世界と聞いて、二十世紀のなかで夢見られたもうひとつの世界を呼び起こす人もいるかもしれない。「第三世界」と呼ばれた空間だ。東西冷戦のなかで、資本主義陣営にも社会主義陣営にも属さない、新しい道を新興独立諸国が歩もうとするなかで生まれた合言葉だ。この世界をより良く変革しようという社会的な希望が人々に夢見られ、分かち持たれた。第二世界という言葉は、二十世紀のこうした集団的夢を思い起こさせなくもない。
 ところが、そうした理想社会の夢は潰えてしまった。この地上にそんな楽園はやってこないどころか、わたしたちの生きる世界のヴィジョンは、もはや絶望で覆われてしまっている。だからといって、この世界で生きる以上は自分と周囲の人々が幸せであってほしい、というささやかな願いは、そうそう捨て去ることはできないはずだ。第二世界とは、そんな普通のわたしたちのための不屈のヴィジョンだ。そこは、理想社会の夢が潰えたあとに、なおも人々のうちに必要とされるユートピアであり、「国家でも、故郷でも、国でもない」ものとして存在する。
 逆説的であるけれども、わたしたちは、第二世界を探しに遠くまで出かける必要はない。その〈場所〉は実はとても身近なところにある。書棚のなかに埋もれた本たちもまたそうした〈場所〉なのだ。》――本文より

著者プロフィール

中村 隆之  (ナカムラ タカユキ)  (

1975年、東京都に生まれる。フランス語圏の文学、批評、翻訳。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在は、早稲田大学法学学術院教員。
おもな著書に、『魂の形式―コレット・マニー論』(カンパニー社、2021)、『野蛮の言説―差別と排除の精神史』(春陽堂書店、2020)、『エドゥアール・グリッサン―〈全‐世界〉のヴィジョン』(岩波現代新書、2016)、『カリブ‐世界論―植民地主義に抗う複数の場所と歴史』(人文書院、2013)など多数。
おもな訳書に、アラン・マバンク『アフリカ文学講義―植民地文学から世界‐文学へ』(共訳、みすず書房、2022)、『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社、2019)、エドゥアール・グリッサン『フォークナー、ミシシッピ』(インスクリプト、2012)など多数。

上記内容は本書刊行時のものです。