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モロトフ・カクテルをガンディーと
平和主義者のための暴力論
原書: Drinking Molotov Cocktails with Gandhi
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年6月15日
- 書店発売日
- 2020年6月11日
- 登録日
- 2020年5月8日
- 最終更新日
- 2021年11月5日
紹介
「カネなし生活」で知られるマーク・ボイル(『ぼくはお金を使わずに生きることにした』著者)が非暴力神話を解体する。
「もう、たくさんだ!」と声をあげるために――
目次
序章 3Rをアップグレードせよ
日常にひそむ暴力
自然界を守る「過激派」
温存される上からの暴力
目くらましに励む企業と広告会社
改良主義の限界
産業主義の「枝葉」と闘う活動家
非暴力という強迫観念
「よき」テクノロジーはあるか
悲惨な状況にふさわしい応答とは
隠れた暴力にひとしい「非暴力」
新しい時代の自己防衛
レイプ現場から「歩み去る」意味
歩み去っても現実は変わらない
異なる使命を持つ人びとの連帯
暴力では世界を変えられないか
天国への道に敷きつめられているのは
3Rをアップグレードせよ
第1章 平和主義者のための暴力論
自然界に値札をつける愚行
生物多様性オフセットの落とし穴
何を暴力とみなすか
暴力の正体をあばく
見えない構造的暴力
暴力の一般的解釈
ぼくがミンクを殺すとき
環境大臣とミンクのちがいは
〈非=行為〉の暴力
間接的暴力の連鎖
「必要悪」は悪か
暴力観を変える
配慮を欠いた押しつけ=暴力
暴力を定義しなおす
暴力で暴力と闘うことはできないのか
暴力をめぐる物語を疑え
第2章 カネで買える最高に暴力的なシステム
人間中心主義の幻想
生態系中心主義の精神
誰がオオカミを代弁するのか
非暴力気取りの活動家
工業的医療への依存
エスカレートする非暴力志向
産業文明がふるう三種の暴力
エコサイド
生態系破壊が罪に問われる日
法的措置の限界
ぼくらが荷担する自然との戦争
海から魚がいなくなる
動物界の悲劇
いつ「もうたくさんだ」と言うのか
コミュニサイド
コミュニティ崩壊の真の元凶
細分化された暮らし
持続不可能な都市生活
機械文明の横暴
機械に近づく人間
テクノロジーの麻薬
効率性がすべての社会
寿命と幸福度
「市民の服従」が招く大量死
第3章 改良主義は無意味
抵抗は無意味か
奴隷アリの反乱
真の勝利は多元的抵抗から
ニューエイジ的革命との決別
ワンサイズの解決策はない
マリナレダ村の闘い
〈生との戦争〉を食いとめるには
わが改良主義の失敗
カネなし生活は機械を止めたか
クリックティビズム、エコ消費、トランジション・タウン
地域通貨とオルタナティブ経済
自浄作用なきメディア
株主のためのジャーナリズム
砂糖をまぶしたドクニンジン
社会改良が産業主義を強化する
有毒な代用品を拒絶せよ
抵抗は実り多し
実効的手段に訴える権利
モホークの抵抗
第4章 再統合の時代の自己防衛
錯覚にすぎぬ境界線
自己認識をゆがめるカネ
分離の時代の自己認識
偏狭な自己を守る法制度
機械文明の防衛に励むぼくら
新時代のホリスティックな自己防衛
「強盗」を守る警察から「家」を守るには
最大の武器は被抑圧者の心
第5章 非暴力――権力者好みの抗議手法
権力者の助言は疑ってかかるべし
改良主義と体制の奇妙な同盟関係
機械文明に回収される選挙
エコ狩り
エコタージュ――生態系を守る妨害工作
新たな社会を生むサボタージュ
テロリストか、自由の戦士か
「エコテロリズム」のレッテル貼り
成果をあげるエコタージュ
サイコパスが報われる社会で
多様性の強み
インド独立運動の実像
変わったのは権力者の肌の色
米国の公民権運動
「非暴力の勝利」という歴史修正
実効的なアクションの成果
非暴力のマントを捨てよ
第6章 尊厳ある人生
いじめられっ子の反撃
道を分かつ尊厳の有無
映画『アバター』が描いた抵抗
サパティスタの武装蜂起
メキシコ先住民からの「もう、たくさんだ」
尊厳自体に闘いとる価値がある
鏡に映った自分を直視できるか
尊厳ある態度は伝染する
〈生〉に奉仕するすべての人との連帯を
第7章 免疫抗体
過密が招く「行動の沈下」
倫理則のいらない野生動物
「土地倫理」が広げる共同体の枠
家畜人間がでっちあげた倫理の弊害
「ゆりかごからゆりかごへ」の野生界
野生の革命家の再導入を
建築家だけで家は建たない
地球の免疫系
遍在する機械文明の弱点は
免疫抗体としての活動家
ガイアの身体の細胞たち
メディアを用いた「抗体」間通信
荒っぽい抗体が〈全体〉を守る
第8章 オオカミの復活
生態学的健忘症
深い喪失に直面するとき
希望よりも絶望を
出版業界にはびこるお粗末な希望
虚構の「平和をわれらに」
再野生化がもたらす奇跡
偏狭な自己にも野生が必要
〈野生の平和〉を政治の地平に
訳者あとがき 与えられた「物語」との決別を
原注
前書きなど
産業革命を人類史上最大の偉業と信じて疑わない人、生気あふれる自然界と のつながりの深さよりも、インターネットへの接続強度のほうが重要だと本心から思っている人、自分がどこかに帰属するという意識よりも、自分に帰属する財産のほうが大事だと感じる人には、いますぐ本書をシュレッダーにかけてしまうようおすすめする。
だけど、産業主義の「 闇のサタンの工場 」で残業するよりもっと豊かで陽気な人生があるはずだと悩んでいる人、これまでも状況を悪化させてきた思考回路や文化――「 テクノロジーの進歩でどうにかなる 」――では生態系の危機を解決できないと考える人、機械文明の轟音のうしろに、切りたおされ、独自の物語や生き物もろとも永久にうしなわれゆく、原生林の悲鳴を聞きとれる人は、このまま読みすすめてほしい。
上記内容は本書刊行時のものです。