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反抗期は二度訪れる
児童精神科医が助言するその傾向と対策
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2012年12月
- 書店発売日
- 2012年12月25日
- 登録日
- 2012年12月3日
- 最終更新日
- 2012年12月18日
紹介
子どもは、ほめて育てるのか? 誰も教えない反抗期の子育てを40年間にわたり児童精神科を専門とする医師がアドバイス!学校・家庭でのいじめ、自殺、暴力などの子どもたちの凄まじい荒れ―この厳しい社会環境の中で、学校もクニも教えない反抗期の教育とは!
●全国のお母さん・お父さんに贈る、最新の子育ての本!
目次
はじめに 7
第1章 「出来ちゃった婚」に始まる 15
―子供は歓迎されて誕生しなければ……
新婦は妊娠6カ月前後 16
誕生おめでとう 21
誕生した赤ちゃん 23
歓迎されて誕生する意味 25
第2章 第一次反抗期前後までの育児 29
― 個としての個別化の時期
男の子と女の子の違い 30
生まれたばかりの赤ちゃん 34
生まれたばかりの赤ちゃんの事故対策 37
お母さんとの共生関係から第一次反抗期へ 38
第3章 第一次反抗期と第二次反抗期の間 45
―キレる子供たちを取り巻く環境
比較的安定期の不登校と学級崩壊 46
叱って育てることも必要 52
子供は失敗して育つ 55
子供たちはなぜキレるのか? 59
子供が正直になるには…… 63
第4章 第二次反抗期と思春期 67
―性としての個別化の時期
第二次反抗期から思春期へ 68
父親が反抗期の男子を撲殺した例 72
15歳男子の問題のもうひとつの事件 74
どういう対策が必要か 77
我が子のいじめを擁護する母親たち 82
反抗期の子供たちのエネルギー 89
思春期から第二次反抗期 93
十数年前の子供たちとの違い 94
現代の生徒たちの「性」知識 97
小学生の妊娠のケース 100
幼い妻・子供への暴力 105
終わりのない子供のまま 112
第二次性徴を迎えた子供たちのセックス 113
今日の子供たちのセックス 117
異性に夢を託さない 118
第5章 思春期・反抗期・第二次性徴への対策と実践 123
― 父親・母親になる人たちへの10の提言
全ての子供が「平等」ではない! 125
子供に学歴社会の現実を認識させる 130
教師の教えを尊重する 134
子供の権利と制約の関係を認識する 144
学習によって成長することを知る 150
子供に正面から向き合え! 155
躾と虐待の違いを知るべき 158
周囲への配慮をするのが人たるもの 164
心と心の付き合いを会得すべし! 170
ほめられて育つのではなく愛されて育つ 172
おわりに 175
前書きなど
ある夏の暑い日、心配な面持ちで季節には不釣り合いなオーバーコートを着込んだ女子高生と男子高生らしき2人が薬局へ消え、レジを済ますや否や走って公衆トイレに入って行きました。数分後、首をうなだれた女子高生が、ベソをかきながら出て来たのです。男子高生は、肩に手をやり、黙って2人で家路に着いたようでした。
2人の恰好から見て、このままでは先行き不安な16歳前後の母親と父親が育児にいそしむことになるのでしょう。2人とも首をうなだれていたところから想像しますに、2人が抱き合ってセックスを行った時には、「まさか、子供が出来るとは想像もしなかった」というところでしょうか。
喜び勇んで「出来たよ!」と出てくれば、それなりに育児に専念する覚悟が出来ていたと考えられます。年齢的には法律の問題がありますが。大体にして、女性が男性を慰めて帰路に着くことが多くなっています。何といっても男性が家計を支えなければならなくなるのです。
しかし、重大なことに、この2人は法律的にはあっさりと「出来ちゃった婚」として認めて貰えないのです。女子は16歳であれば婚姻・出産が認められていますが、男子の場合、18歳でないと認められていません。女子は、いったんシングルマザーとして出産し、相手の男子が婚姻可能年齢になった時に養子縁組を行うことになります。
このような現象も、特別なことではなくなってきています。2人ともあっさりとした顔つきで、翌日からの勉強にいそしんでいるのですから。
しかし、第二次世界大戦直後の20年間と比べますと、大幅に人工妊娠中絶が減少しているのには驚きと安堵感とを感じるのです。この十数年になって、「女子は妊娠したら出産するのが当たり前」となってきています。中絶反対論者の著者としては、このうえない喜びです。しかし、今日の育児の問題は、「出産するかしないか」から、「どうやって育てるの?」に変化して行っているようです。どうも、この辺でとどまっているように思えますね。
単純に、「育児の仕方」を知る機会を与えられる前に、親になってしまったのではないでしょうか。言い換えれば、「成人という、社会的に自らの発言・行動に責任を負える」前に、同時に親としての責任ばかりか、さらにやがて生まれる子供の責任をも持たなければいけない立場になってしまったと言えましょう。
子供は、未成年であるから社会的責任・義務は親が代行して負う事になっているため、その責任は限定されながら、免除されています。もちろん、年齢相応に理解できる範囲や深さが「常識的」であるか、否かによるでしょう。大まかには法律に記してあるのですが、様々な日常的な場面での子供たちの可能な責務までは記してはありません。
大人の場合は、「おおむね、誰もが了解できる理由により行動に移る」ことが記されています。つまり、「大人(成人)と認められる人たちは、少なくともひとつの動機に対して半数以上の人が同じ行動をとるだろう」という事を理解しているから、大人として認められるのでしょう。
しかし、子供の場合、ある行動が「出来る」という事と、その行動の持つ意味を「理解している」とは一致しないのです。一致しないのを「子供」というわけです。
「セックスを行えば、子供が出来る」という事を知っていても、生まれて来る子供がどのような環境に置かれるのかという事が理解できないのも子供でしょう。
ここで、話をこの本のテーマに戻して、子供の発達過程として重要な「反抗期」について、お話ししておきます。そうしないと、この後に述べることが理解しにくくなるからです。
子供の発達過程において、自己主張としての「反抗期」は、子供に対して支配者の感覚にほかならないと言って、疑問をもつ学者もいます。しかし、「子供には、必ず反抗期が二度訪れる」ということは、世界中の大人たちが知っている事です。それほど自然な現象である「反抗期」は、いつのまにか、日本を代表する精神医学書には見当たらない方が多くなったのです。その結果、その存在と対応策を知らない専門医が激増してきたのです。そして、「反抗期」を知らない親たちに育てられた子供たちが、日本中にあふれる事になったのです。
この本では、「世界の人たちは知っているが、日本人の知らない」反抗期を中心に、育児の常識的な事を紹介致しましょう。40年近く児童精神医学を専門として来た現役医師として、日常診療での体験を交えながら、人生の後輩にぜひとも伝えるべき「反抗期」と反抗期への対応策を具体的に紹介致しましょう。
世界には、敗戦や侵略により母国語を強制的に変えられた国は多くみられます。しかし、そのような人たちであっても、長年培われた生活習慣を変える事はありませんでした。
その中でも、日本という国は、「米飯から小麦へ」と「主食を変えた」民族として、地球上でも稀な存在として見られています。数千年もの間、米を主食にして来た民族ですから、占領下(1945年)に入ったとしても、突然、身体の働きや独自性が変わるものではありません。案の定、表面的には「スギ花粉症」と呼ばれる病気ですが、実のところ「小麦アレルギー」なる新たな病気が作られてしまったのです。国営放送局で、毎日のように「花粉情報」なるものが放映されていますが、全く意味をなしていません。事実、「小麦アレルギー説」をテレビで発言したニュースのコメンテーターは、翌日から降板でした。
ともあれ、子供たちをめぐって、今日の社会では目まぐるしいくらい情報が飛びかい、実のところ、元を正せば歪んだ「反抗期」であったという事が少なくありません。
16歳前後の子供母の増加、反抗期を知らないで子供とにらめっこしながらイライラしているお母さんの急増。お父さんは、大震災の日もパチンコ屋さんへ逃亡生活ー。少しでも、お母さんを楽にしてあげようではありませんか。少しでも小中学校の先生の負担を減らしてあげませんか。
いずれにしても、世の中の大人たちは、子供は作れども育て方が良く分からないように感じます。
本屋さんに売っている育児書では、毛頭育児は出来ません。これだけは、自信をもって申し上げる事が出来ましょう。日本の子供たちの健やかな成育に、堂々と話せる限りの助言・苦言、そして、評価を述べましょう。
なお、本文の事例は個人が特定されることがないように、配慮されていることを付け加えておきます。
版元から一言
この複雑な社会環境の中、世の父親・母親たちは、子供たちの育児に心を悩まされていると思います。そして、書店には育児書があふれていますが、いわゆる少年期・青年期の育児書は少ないと思います。この本は、反抗期の育児書です。ぜひご参考に!
上記内容は本書刊行時のものです。