版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
〈クラシック〉と〈ポピュラー〉 吉成 順(著) - アルテスパブリッシング
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

注文電話番号:
注文FAX番号:
注文メール:
注文サイト:

在庫ステータス

在庫あり

取引情報

取引取次:
JRC     ト・日・他     書店
松沢書店     ト・日・他 → 書店
直接取引:あり
返品の考え方: すべての商品の返品を無期限で承ります(了解者=鈴木)

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

〈クラシック〉と〈ポピュラー〉 (クラシックトポピュラー) 公開演奏会と近代音楽文化の成立 (コウカイエンソウカイトキンダイオンガクブンカノセイリツ)

芸術
このエントリーをはてなブックマークに追加
四六判
328ページ
並製
定価 2,200 円+税   2,420 円(税込)
ISBN
978-4-903951-86-7   COPY
ISBN 13
9784903951867   COPY
ISBN 10h
4-903951-86-3   COPY
ISBN 10
4903951863   COPY
出版者記号
903951   COPY
Cコード
C1073  
1:教養 0:単行本 73:音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年3月
書店発売日
登録日
2014年3月22日
最終更新日
2014年4月16日
このエントリーをはてなブックマークに追加

目次

 はじめに

 序章 モーツァルトは「クラシック音楽」か?
  1 クラシック音楽という概念がなかった時代
  2 自立する音楽

第1部 ドイツの教養主義的演奏会

 第1章 ライプツィヒとゲヴァントハウス演奏会
  1 ゲヴァントハウスの成り立ち
  2 「音楽監督」メンデルスゾーン
  3 シューマンと『音楽新報』
  4 後継者たち
 第2章 ブレンデルとゲヴァントハウス
  1 ブレンデルの演奏会改革論
  2 ブレンデルの立場
  3 ゲヴァントハウスの演奏曲目
  4 作曲家ごとの傾向
  5 ブレンデルとゲヴァントハウスの違い
  6 教養としての機能
 第3章 オイテルペ音楽協会
  1 ゲヴァントハウスに対抗する演奏会
  2 オイテルペの変遷
  3 演奏曲目の傾向
  4 「進歩派」と「保守派」
 第4章 オーケストラ演奏会のプログラム構成
  1 ベルリン・フィルにみる演目構成の変遷
  2 「伝統」はいつできたのか

第2部 大都会の娯楽的演奏会

 第1章 ロンドンとパリの音楽事情
  1 ロンドンにおける公開演奏会
  2 パリにおける公開演奏会
  3 ディケンズが描いたロンドンの音楽事情
  4 一九世紀初頭ロンドンの演奏会
  5 演奏会の入場料と当時の人々の収入
 第2章 プロムナード・コンサートの始まり
  1 パリのプロムナード・コンサート
  2 ロンドン上陸
  3 ワルツの父の英国公演
  4 プロムナード・コンサートの定着
  5 ミュザールとジュリアンの登場
 第3章 ルイ・ジュリアン
  1 ジュリアン時代の始まり
  2 ジュリアンの演奏会
  3 ジュリアンの影響とその後
  4 ジュリアンの衰退
  5 その後のプロムナード・コンサート

第3部 クラシックとポピュラーができるまで
 第1章 「クラシカル・コンサート」
  1 ジュリアンの「クラシカル・コンサート」
  2 “classical” の意味
 第2章 「クラシック」と「ポピュラー」の成立
  1 音楽における「古典」の成立
  2 “popular” の登場
  3 初期の用語例の調査
  4 “popular music” の成立
  5 “classical music” の成立
  6 「増殖する」クラシック音楽

 結び

 付録:フランツ・ブレンデル「演奏会改革論」(要約)
 おわりに

前書きなど

はじめに

 本書には二つのテーマがある。
 第一のテーマは、一九世紀を中心として公開演奏会が確立していく経緯を明らかにすることである。
 メディアの時代、CDやインターネットを通していつでもどこでも気軽に音楽を聴けるようになった現代でも、私たちは演奏会に足を運ぶ。そこには今この瞬間に生成されていく音楽を体験するという臨場感があり、アーティスト自身と、また他の観客たちと、同じ時間と空間をともにしているという一体感がある。
 とはいえ、クラシック音楽とポピュラー音楽とでは、コンサートの様子はずいぶん違う。クラシック・コンサートの会場では、聴衆は静かに座って音楽に耳を傾ける。身体を揺らすことも物音を立てることもできず、まして飲み食いなどはもってのほかである。一方、ポピュラー音楽、とくにロックやポップスのコンサートでは、たいてい客は総立ちになり、飛んだり跳ねたり踊ったり。じっと座っているほうが難しい。叫んだりいっしょに歌ったりもする。ライヴ・ハウスなどでは飲んだり食べたりすることも普通である。
 同じ演奏会なのにどうしてこんなに違うのか、そもそも演奏会はどのような背景から生まれどうして今のようなかたちになっていったのか、具体的な例を通して眺めてみる。
 第二のテーマは、「クラシック」と「ポピュラー」という音楽の区分がどのようにして生まれたか、そのプロセスを明らかにすることである。
 「クラシック音楽」「ポピュラー音楽」という概念を、私たちはふだんあまり深く考えることなく使っている。だが、それはいったいどういうものなのか、と考え始めると、意外に定義が難しい。
 クラシックといえばバッハ、ベートーヴェン、ショパンなど、古いヨーロッパの音楽が多い。だがCD屋さんのクラシック売り場に行くと、そこには武満徹や西村朗といった現代日本の作曲家のCDも並んでいる。クラシックの基準は時代でも国でもない。音楽のスタイルが共通しているわけでもない。バッハの音楽と武満の音楽の、いったいどこに共通点があるというのか。
 ポピュラーのほうだって、よくわからない。ルイ・アームストロングの《聖者の行進》もエディット・ピアフの《愛の讃歌》もAKB48の《ヘビー・ローテーション》も、いずれもよく知られたポピュラー音楽だが、そこにどんな共通点があるのか。楽しい曲ばかりでもないし、踊れる曲ばかりでもない。メディアを通して流通するのがポピュラー音楽だという人もいるが、ルイ・アームストロングだってピアフだって最初は放送とも録音とも無縁だったわけで、それを基準にするのは無理があるだろう。
 今の状態を定義するのが難しいなら、始まりに立ち戻って考えてみるのがよいのではないか。そもそも「クラシック音楽」「ポピュラー音楽」という言葉はいつ頃からどのような意味で使われるようになり、どのようにしてこんにちのようなカテゴリーとして意識されるようになったのか、を考える。
 これら二つのテーマは相互にからみあっている。そしてそのからみ合いの中に、私たちの音楽文化の土台を形作った近代という時代の一面が浮かび上がってくるように思われる。

吉成順

著者プロフィール

吉成 順  (ヨシナリ ジュン)  (

国立音楽大学教授。博士(コミュニケーション学)。音楽社会史、とくに近・現代の演奏会制度や音楽ジャーナリズム、管弦楽および管弦楽作品の歴史などに関心をもつ。著書『知って得するエディション講座』(音楽之友社)、共著『モーツァルト事典』(東京書籍)、『教養としてのバッハ』(アルテスパブリッシング)、監修書「『正しい』聴き方」シリーズ(青春文庫)など。

上記内容は本書刊行時のものです。