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外交官の耳、作曲家の眼
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2009年7月
- 書店発売日
- 2009年6月24日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2021年2月17日
書評掲載情報
2025-06-07 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 岡田暁生(音楽学者) |
2009-07-19 | 日本経済新聞 |
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紹介
日本に十二音技法をもたらした作曲家、戸田邦雄(1915-2003)の七回忌を記念し、随想と音楽論を集成。
作曲を志しながら外務省に入り、外交官として活躍した著者が、戦後、創作活動や大学で教鞭を執るかたわら、音楽を超える広い視野から発表し続けた、豊潤な知性に溢れた音楽論のかずかず、そして生い立ちを語った遺稿「想い出すまま」などを収載。解説=北爪道夫(作曲家、国立音楽大学大学院教授)
(発行:「外交官の耳、作曲家の眼」刊行会/発売:アルテスパブリッシング)
目次
八月に想う
八月に想う
情報は充分だった外務省の中
米軍制空権下をサイゴンへ
フランス料理から爆撃へ
聴けなかった自作の初演
フランス軍襲撃の計画
阿波丸事件のこと
若き国王シアヌーク陛下
日本軍による“独立”のなかで
近づく日本の無条件降伏 クーデター未遂、敗者に礼の厚いシアヌーク国王
英軍進駐・楽譜も没収されて抑留へ
抑留記
サイゴン抑留所
シンガポールの山中で
サイゴン刑務所
弟の死を知る
釈放
カンホイ・キャンプ
十二音技法との出会い
シェーンベルクとその楽派
音列操作をノートに
帰国
想い出すまま
渋谷の家、そのほか
父方と母方と
父・母・兄弟たち
長い長い影法師
チャメ子の原体験
猫の話
楽住接近
「ディクション」と共通分母
Quo vadis?
語呂合わせ
ト短調交響曲の想い出
R・シュトラウス「薔薇の騎士」
エリック・サティ
ミヨーの想い出
「第七」初演のころ
ワーグナーの三つの家
長い長い影法師
少年時代と童謡
春秋社の音楽全集
シューベルトとの出会い
シューベルトの歌曲をモデルとして
「影法師」
論稿
自分史の中の音楽戦後五十年
十二音技法の功罪(あるいは私と十二音)
古典主義的十二音技法とロマン主義的十二音技法 ~「モーゼとアロン」と「ルル」を中心として
ドナウエッシンゲンとパリIMC総会出席記
ベルク頌
モーツァルトの鼻
スクリャービンとメシアン
ヨーロッパ音楽の民族的特性
「日本の作品の国際的評価」ということ
洋楽器の音・邦楽器の音
伝統音楽と作曲家 ~近世邦楽世界の崩壊と新しい興味
あるリズム論のためのスケッチ
歌とオブジェ
詩と作曲
プロコフィエフ~その生涯と遺産
解説=北爪道夫
戸田邦雄年譜
初出一覧
前書きなど
「解説にかえて」より──
論稿は膨大な量にのぼり選択はとても困難であったが、それでも今、読み直すと先生の精神活動の軌跡とその全貌が浮き彫りになり興味深い。特に、作曲を「学習」する若者は、十二音技法を日本に持ち帰り、またセリーを「音列」と訳された戸田邦雄をして言わしめた「日本で考えているように、無調にするためにセリーを使うというのは逆で、望遠鏡を反対側からのぞいているようなものです。」という言葉を熟考してほしい。
最後に、本文一〇八頁にあるように「あるとき突然芸術に目覚めたというわけではなくて、いろいろのことをしているあいだに音楽だけがあとに残ったということです。」という言葉が読後の私の心にしみわたるのである。(北爪道夫)
版元から一言
戸田邦雄(1915-2003)は日本に十二音技法をもたらした作曲家として知られています。戸田は外交官として赴任したサイゴンで終戦をむかえ、フランス軍に抑留されて3年間を同地で過ごしますが、その間にルネ・レイボヴィッツの著書『シェーンベルクとその楽派』によって十二音技法を知り、帰国後それをわが国に紹介します。外務省に勤務しながらも《ト調の交響曲》(第1回尾高賞受賞)をはじめとして旺盛な創作活動を展開。外務省を退職後は桐朋学園大学や洗足学園大学にて後進の指導にあたりました。
この遺稿集には生前さまざまな機会に発表された回想録、エッセイ、音楽論などを収載するほか、生い立ちを語った遺稿「想い出すまま」も収載。巻末には作曲家・北爪道夫さん(国立音楽大学大学院教授)による解説を収録。国際的な視野をもった作曲家の豊潤な知性にふれる好著です。
上記内容は本書刊行時のものです。