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新しい視点で音楽科授業を創る! 新山王 政和(著) - スタイルノート
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新しい視点で音楽科授業を創る! 新学習指導要領を先取した実践方法

B5判
縦257mm 横182mm 厚さ10mm
192ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-903238-46-3
Cコード
C3037
専門 単行本 教育
出版社在庫情報
在庫僅少
初版年月日
2010年5月
書店発売日
登録日
2010年5月10日
最終更新日
2018年2月21日
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紹介

本書は、「より多くの人に受け入れられる“ 音楽の普遍性”」や「永く皆が大切にしてきた“ なにか”」を子どもたちに気づかせ、発見させ、その仕組みを知り、そしてそれを考えたり工夫したりすることで自分たちの演奏表現へ取り込んでいくための実験的な実践を報告した論文集です。H20年文部科学省学習指導要領が求めるものと重なる内容となっており、著者がこれまで小学校・中学校の先生方とともに模索してきた数々の実践を一冊の本にまとめたものです。もともとは別々に書いた「読み切りもの」を整理したので、興味や関心をお持ちになった部分だけをお読みになってもご理解いただくことができます。

目次

■はじめに

■イメージングを手掛かりに生徒の主体的的聴取をめざした「能動型鑑賞授業」の模索
 ―教え込むから導き出すへ,ヘルプからサポートへ:ビジネスコーチングスキルの応用
  はじめに
  1.研究の背景とスタンス
  2.指揮による表現活動を取り上げて「構想する力を養う活動を取り入れた授業づくり」をめざした実践
  3.研究授業の分析と指導スキルの提案
  おわりに

■グループダイナミクスを活かした「イメージングを通して音楽表現を創り上げる活動」の模索
 ―課題を見つけ出す力と問題解決の段取り力を育む2つの実践を拠として
  1.研究の背景と報告の概要
  2.子どもの中に動きを導き出すグループ活動
  3.指揮による表現活動を取り上げて「構想する力を養う学習活動を取り入れた授業づくり」をめざした実践
  4.バンブーダンスによって拍子の違いを体感する活動を取り上げて「創造的表現力を磨き共に作り上げる子ども」をめざした実践
  おわりに

■ユビキタス化された社会における「音楽の基礎・基本の力」の問い直しと,子ども自身の思考プロセスを重視した授業実践の模索
 ―「イメージング」と「授業の構造化」を視点とした分析とその考察
  1.今回の一連の授業研究の概要とその方向について
  2.イメージングを基にした実践について
  3.ユビキタス社会における「イメージング」とは
  4.愛知県額田郡教育研究会第5研究部(音楽部)授業研究会における授業実践の分析と考察
  おわりに

■ユビキタス化された社会における「音楽の基礎・基本の力」の問い直し(2)
 ―子ども自身の思考を伴った「イメージングのプロセス」を活用した授業実践
  1.研究の背景と問題の所在
  2.音楽科の基礎・基本の力としてのイメージング
  3.愛知県額田郡教育研究会音楽部授業研究会における授業実践の分析と考察
  おわりに

■聴取の意識を「音の羅列から意味のある音の結びつき」へ転換させる能動型鑑賞活動への試み
 ―「大地讃頌」を発展的な鑑賞教材として自分なりの意味を持たせた聴き方を体験させた実践例
  1.本報告の概要
  2.小学校・中学校の音楽科を取り巻く背景と問題点の洗い出し
  3.学習指導要領改訂に向けた審議状況
  4.生徒自身による能動型の鑑賞活動を模索した実践例の紹介
  5 まとめと考察
  おわりに

■音楽の諸要素へ耳を傾け,根拠や理由を付して考え,それを他者と共有する音楽活動
 ―小学生を対象にしたワールドミュージックと,中学生を対象にした合唱活動
  1.音や音楽の諸要素を核とした活動の重要性
  2.子どもたちに音楽の諸要素へ耳を傾けさせ,聴き取らせることを試みたワールドミュージックの実践
  3.集団を対象にした活動において,音楽の諸要素から合唱表現を工夫させた実践の紹介
  4.確かな力としての成果を残し,音楽的な結果を示す授業を成立させるための3つの方策
  5.おわりに

■音楽の諸要素と向き合わせることをめざした新しい視点からの学習指導案モデルの開発
 ―小学校学習指導要領(音楽)の「共通事項」に対応したモデル案作成の試み
  1.学習指導案モデルの作成のスタンス
  2.新しい視点からの学習指導案のモデル作成
  3.その他の留意すべき事項4 おわりに126

資料1 小学校・音楽科 学習指導案のモデル
資料2 「鑑賞用評価シート」のサンプル

■音楽専門の教師が担う学校内音楽活動における中核的な役割とコーディネーターとしての責任
 ―全校音楽集会の指導をモデルとしてクラス授業への応用を模索した実践
  1.研究の背景と筆者のスタンス
  2.全校音楽集会「矢南ミュージック」の概要
  3.実践の概要
  4.「矢南ミュージック」がもたらしたもの
  5.今後の課題
  おわりに

■音楽の諸要素へ耳を傾け,それを聴き取る音楽活動の試み
 ―グループによるオンデマンドな鑑賞と和声が有するキャラクターの感受
  1.研究の背景と筆者のスタンス
  2.グループ単位でオンデマンドな方法によって音楽の諸要素から楽曲の雰囲気を感じ取らせた実践
  3.和声が表すキャラクターを感じ取らせる実践1574 授業に於ける音楽活動の意義

■提案:今この時代だからこそ「クリエイティブな音楽活動」の実践を!
 ―ユビキタス社会における「音楽の基礎・基本の力」としてのイメージングに着目して
  1.提案の背景
  2.クリエイティブな音楽活動を中心に据えた授業実践の流れ
  3.ユビキタスな社会におけるイメージングについての再考察
  4.ユビキタス社会において求められる「音楽の基礎・基本の力」とは
  5.教育現場の先生方による取り組みの一例
  6.おわりに

■過疎地小規模校において地道に続けられてきた「全校音楽」に見る音楽教育の原点
 ―愛知県額田郡額田町立千万町小学校の40年以上にわたる全員合奏の取り組み
  はじめに
  1.愛知県額田郡額田町立千万町小学校について
  2.児童全員による「全校音楽」の歴史について
  3.「全校音楽」活動に設定された教育目標と,その教育的効果について
  4.「全校音楽」の活動の様子
  5.「全校音楽」の活動に対する子どもたちの反応
  6.「全校音楽」活動によって生まれた新たな活動
  おわりに

■コラム pseudoなもので満足するのか,realなものを追求するのか
■コラム 雑想:pseudoとreal その弐
■コラム オーケストラプレーヤーに必要ないくつかの心がけ
■コラム 一過性のブームで終わらせないために
■コラム 音と音楽,そして本物とまがい物
■コラム 「休み」がこわい!?
■コラム 指がよく動いて,大きい声で歌えれば音楽の先生なの??
■コラム 「再表現芸術としての音楽と言語化・言語活動」
■コラム 今後の音楽科授業研究に求められるものとは
■コラム 「部活」不人気の時代の中で……

前書きなど

 「音楽」を、音遊びや自己発散、ストレス解消の一手段のような「自分が楽しむもの」として位置づけるのではなく、「音による創造活動」の一つと考えている私の心の中には、いつも次の言葉が響いています。

『創造活動とは、制約の中で自己の表現を工夫することである』

 この言葉は、独りよがりでやりたい放題だけの音楽では一部の人からの感動を得ることはできても、より多くの人々から支持される「普遍的な音楽」には結びついていかない、ということを示唆しています。歪められた形での「個性の重視」が口にされるようになって久しい今の時代において、音を通じて自己を主張するだけでなく、「より多くの人々に受け入れられる “音楽の普遍性”」を伝えることは私たちの責務の一つではないでしょうか。

 もう一つ私が大切にしている言葉があります。

『創造活動とは、統制美とそこからの変化である』

 日本にも『郷に入り、そしてそこから出ずる』という言葉がありますが、これらはともに、「型」を身につけマスターすることの大切さと、その型を基にしながらバリエーションを工夫することの大切さや難しさを表したものだと思います。制約や型を最優先かつ最重要と位置づけるヨーロッパ音楽と、それを表には出さない日本音楽やアジア音楽。決して日本音楽やアジア音楽には約束事がなくて「自由で、たやすく、お気楽」ということではなく、何百年にもわたって多くの人々によって大切にされ磨き上げられてきた「なにか」を学び身につけなければ、より多くの人に受け入れて貰うことも聴き手の心を動かすことも難しい、この意味においてはヨーロッパ音楽とその他の地域の音楽も、そしてクラシックとそれ以外の分野の音楽も、地域性や分野を超えて相通じるものがあります。

 本書では、「より多くの人に受け入れられる “音楽の普遍性 ”」や「永く皆が大切にしてきた“なにか”」を子どもたちに気づかせ、発見させ、その仕組みを知り、そしてそれを考えたり工夫したりすることで自分たちの演奏表現へ取り込んでいくための実験的な実践を報告しています。くしくも、その「普遍性」や「なにか」の一部でもある「音や音楽を構成する要素や仕組み」をつまびらかにすることは、H20年文部科学省学習指導要領が求めるものと重なります。そのせいか、さまざまな講習会において「実践報告を一つにまとめたものはありませんか?」とお尋ねを受けるようにもなりました。そこで、これまで小学校・中学校の先生方とともに模索してきた数々の実践を一冊の本に整理することにしました。

 もともとは別々に書いた「読み切りもの」を整理したので、興味や関心をお持ちになったものだけを抜き出してお読みになっても、「新山王がお伝えしたいこと」をご理解いただくことができると思います。反面、同じような意味合いの文章が何度も現れることもありますが、それだけ「新山王が強調したいのだ」と受けとめていただければ幸いです。大切なことは何度も言いたい、書きたい、そして伝えたい。このように繰り返すことの大切さとは、私達が「音楽する」ときに求められるものとまったく同じです。

版元から一言

 「より多くの人に受け入れられる“音楽の普遍性”」や「永く皆が大切にしてきた“なにか”」を子どもたちに気づかせ、発見させ、その仕組みを知り、そしてそれを考えたり工夫したりすることで自分たちの演奏表現へ取り込んでいくための実験的な実践を報告した論集。

著者プロフィール

新山王 政和  (シンザンオウ マサカズ)  (

国立大学法人 愛知教育大学教授。学校吹奏楽分野、実験系音楽心理分野の研究とともに、「子どものイメージング力」の育成や「他者との共創」をテーマとした小学校と中学校の授業研究にも取り組んでいる。音楽教育学会学会誌「音楽教育」、音楽表現学会学会誌「音楽表現学」において、査読合格論文(レフェリー論文)を複数持つ。音楽科教育学について國安愛子、有道惇、糸賀英憲の各氏から指導を受ける。

ファゴット奏者としての一面も持ち、ファゴットを三田平八郎、岩崎隆司、水間博明の各氏に、室内楽を安藤仁一郎、田中明の各氏に師事する。山口県文化賞、(株)コニカミノルタ・イメージング研究論文優秀賞などを受賞。(財)ヤマハ音楽振興会研究助成にも認定される。

上記内容は本書刊行時のものです。