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続・自閉症の僕が跳びはねる理由
会話のできない高校生がたどる心の軌跡
- 初版年月日
- 2010年10月
- 書店発売日
- 2010年10月1日
- 登録日
- 2010年9月6日
- 最終更新日
- 2016年12月14日
紹介
発行と同時に大反響をもたらした前作「自閉症の僕が跳びはねる理由」あれから3年、中学生だった著者も高校生になり「恋愛について」「仕事について」「勉強について」など高校3年生の「今」、60以上の質問に答えます。
目次
はじめに
第一章 コミュニケーション
1.口から出る言葉に意味はありますか?/2.話をする相手が誰かわかりますか?/3.声をかけても気がつかないのはなぜですか?/4.話し言葉は外国語を話す感じに似ていますか?/5.自分から要求することは難しいですか?/6.筆談で自分の気持ちが書けるのはなぜですか?/7.幼い頃欲しいものがあるときはどうしましたか?/8.文字盤を見ているときには何を考えていますか?/9.いつも文字盤を持っていますか?/10.言葉を自由に使えないことをどう思いますか?
【詩】アジサイ
第二章 感覚
11.見ながら聞くことは大変ですか?/12.物の見え方に違いはありますか?/13.ウォークマンを聴くことで落ち着けますか?/14.乗り物に乗ったときはどんな気分ですか?/15.何でも口に入れてしまうのはなぜですか?/16.写真を撮られるのは苦手ですか?/17.どんなときに安らげますか?
【詩】なにぬねの
第三章 時間
18.時間についてどう思いますか?/19.時間で区切るのは困りますか?/20.時間がわかれば先を見通せますか?/21.一日のスケジュールについてはどうしていますか?/22.カードでのスケジュール提示はどうですか?/23.カレンダーに予定は書き込みますか?
【詩】虹の中の黄色
第四章 行動
24.こだわりはやめられませんか?/25.反復行動はやめられませんか?/26.じっとしていられないのはなぜですか?/27.注意されてもやめられないのはなぜですか?/28.集中したときにはどうなりますか?/29.迷子になるのはなぜですか?/30.指示がなければ動けないのはなぜですか?/31.すぐに行動できないのはなぜですか?/32.時々ぼーっとしているように見えるのはなぜですか?/
33.跳びはねるのはなぜですか?
【詩】トンボが死んだ
第五章 興味・関心
34.お手伝いはできますか?/35.植物のどんなところに関心を持ちますか?/36.カレンダーが好きな理由は何ですか?/37.辞典や広告などをじっと見るのはなぜですか?/38.「おかあさんといっしょ」の番組はおもしろいですか?/39.余暇はどんなことをしていますか?/40.バンドエイドをすぐに貼りたくなるのはなぜですか?
【詩】スッとした
第六章 感情・思考
41.気持ちと感情についてどう思いますか?/42.どのようなことで感動しますか?/43.予想外のことが起こるとどうなりますか?/44.笑い出すのは気持ちが楽しいときですか?/45.「すぐにできる」ことと「できない」ことの違いはなんですか?/46.「ここで待って」は伝わりにくいですか?/47.自己嫌悪に陥ることはありますか?/48.どんなときが幸せですか?/49.記憶のしかたはどうですか?/50.情報を収集して問題を解決することはできますか?/51.失敗したことを思い出し次に生かすことはできますか?
【詩】白い犬
第七章 援助
52.指示に従えないのはなぜですか?/53.目で見てわかりやすい環境づくりは大切ですか?/54.居心地が良いのはどのような場所ですか?/55.カードの選択方法で良い例はありますか?/56. 一緒にいるときにはあまり話しかけない方がいいですか?/57.大騒ぎするときはどうしたらいいですか?/58.パニックになったときはどのようにして欲しいですか?/59.問題行動を起こしたときに無視されることはどう思いますか?/60.注意されたときはどんな気持ちですか?/61.されて嫌なことはなんですか?/62.どのような援助をして欲しいですか?
【詩】なぜだろう
第八章 今、そしてこれから
物語を書く/勉強について/スクーリングで感じたこと/仕事について/講演会について/他の障がいを持つ人たちとの交流/恋愛について/人間愛について
おわりに ―思いを書くこと―
【詩】春色のリボン
前書きなど
はじめに
この本は「自閉症の僕が跳びはねる理由」の続編です。
「自閉症の僕が跳びはねる理由」を出版したとき、色々な方からご意見をいただきました。
その中で、僕が当たり前に思っていたことが、普通の人にとっては意外なことも多いということを知りました。
僕は、自閉症の世界が特別だと思ってはいません。
僕たちもこの地球で人として生まれ、みんなと同じ場所で生きています。
ただ、みんなとは様々なことが少しずつ違うだけなのです。
それは、国が違えば、文化や習慣が違うことと似ているかも知れません。
僕は、自閉症の人のことをもっとわかって欲しいのです。
見かけだけでは、自閉症者の本当の姿は、理解できないのではないでしょうか。
もちろん、この本に書いていることが、全ての自閉症者に当てはまることだとは思っていません。
「自閉症の僕が跳びはねる理由」は、中学生だった僕が、感じたことや考えたことを書いたものです。その後、僕は通信制の高校に入学し、この春、高校3年生になりました。
僕は、今も人と会話ができません。
自閉症という障がいを抱えて生きています。
自閉症という障がいについて、どんなふうに感じているのか、中学生の頃と比べて変わった点、変わらなかった点、色々あります。
それを踏まえて、高校生になった現在の僕が持っている思いを、聞いていただけたらと思います。
この社会は、たくさんの人々で構成されています。
その中で自閉症者も生きているのです。
そのことを、いつも少しだけ気にかけてくだされば、自閉症者にとって、今よりずっと生きやすい世の中になるのではないでしょうか。
東田直樹
上記内容は本書刊行時のものです。