和子 アルツハイマー病の妻と生きる
- ISBN
- 978-4-900541-42-9
- Cコード
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C0095
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一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2002年2月
- 書店発売日
- 2002年2月23日
- 登録日
- 2014年4月1日
- 最終更新日
- 2014年4月1日
紹介
「覚悟してください」。そう医師に宣告され、夫自ら手探りのケアを続けて早10年。アルツハイマー病に冒された妻・和子は、晴れた日に散歩を楽しむなど、今も元気で穏やかな日々を送る…。元高校教師の著者が、教え子たちに励まされながら綴った、渾身のケアレポート!
目次
プロローグ 覚悟してください
◎第一部 ケアレポート
札幌を離れるまで/地理を全く覚えられない/“アルツハイマー中期症状”と診断される/手探りのケア/私、どこも悪くないのに/病気の進行はケア次第/二度目の海外旅行/“貯金”をなくさないことが肝心/秋の日はつるべ落とし/終の住処
◎第二部 チュー太の介護日記――和子と私
[1996年] 2月21日◆おそらく“幼児がえり”の一種/3月21日◆若年性アルツハイマーの典型的症状/6月21日◆夕方症候群/8月4日◆今がいちばん辛い時期/10月27日◆“鬱”と食欲不振の悪循環/12月8日◆裸足で雪道を歩く(事故報告)
[1997年] 2月22日◆夜ほとんど眠らず、乱暴になる/3月8日◆今は第3期の終わりごろ/6月9日◆字を書くことは全くできなくなった/10月1日◆温泉付きデイサービスに週四回通う/11月8日◆私、キュリー夫人のようにやりたかった
[1998年] 3月22日◆知らない曲を一度で覚える/6月20日◆おだやかな笑顔が戻る/11月10日◆食事から排泄までほぼ全介助状態に
[1999年] 2月20日◆和子の歌は“神様の贈り物”/5月3日◆抱きしめて、心の嵐が過ぎ去るのを待つ/7月24日◆特別養護老人ホームへ/8月15日◆私たちの“戦争と平和”――太平洋戦争終結の日/9月12日◆何とか彼女を車に乗せて/10月4日◆ソリストの才能
[2000年] 1月6日◆和子のヘアダイ事件1999/1月18日◆もう私を夫とはわからない?/2月24日◆あらためて「要介護5」の重さをかみしめる/5月3日◆もう歌わなくなったけれど、明るさが戻る/5月24日◆車椅子だが歩く練習も開始/6月17日◆表情豊かな笑顔に可能性を求めて/7月24日◆少し歩けるようになる/8月15日◆“戦争の世紀”の最後の8月に/9月9日◆「四肢・体幹筋はgood」/10月21日◆吾が妻はひとり何を想うや/11月18日◆言葉が少し戻り、再び歌えるようになる
[2001年] 1月21日◆モーツァルトを聴きながら/2月26日◆「歌う和子」/3月31日◆「歩く要介護5」/5月3日◆バリアへの抵抗が脳の活性化を促す?/6月15日◆もう越えられないバリアもある/6月23日◆和子の「生きる意志」/7月24日◆自力排泄ができ、普通食の「要介護5」/7月27日◆「回復という事があるのか」/8月15日◆四年ぶりに和子と音楽会へ/8月24日◆実り多き夏の終わりに/10月1日◆豊穣の秋を迎えて、自分の足で歩きだす/10月21日◆若年性痴呆の平均余命を満たしても和子は元気/11月21日◆希望を持って生きていこう
◎第三部 チュー太もの申す――介護日記に書けなかった“言いたいこと”
◆日本の状況はお寒い限り◆本人には聞こえている◆これは“人間の国”か◆「呆け」という言 葉◆“バリアフリー”あるいは“ユニバーサル”について◆『午後の遺言状』について日◆福 祉現場で飛び交う“ぞんざい言葉”◆“嫌音権”と“人権教育”について◆障害者の「肖像権」
エピローグ アルツハイマー病と「告知」
著者略歴/主人公略歴
前書きなど
1992年12月、東京の総合病院で、私の妻である和子は 「若年性アルツハイマー病」 と診断された。医師から「覚悟してください」と言われても、その時の私は「覚悟」が具体的にどのようなものであるのかを知らなかった。診断の翌日から、私の和子への手探りによるケアの毎日が始まった。(本書「プロローグ」より)
版元から一言
長年にわたって教員を務めた著者が、教え子の一言から妻の介護をレポートするようになりました。本書は1996年から現在まで書きつづけられているそのレポートをまとめたものです。定年を目前に控えたある日、妻が若年性アルツハイマー病に冒されていることを医師に告げられる…こんなショッキングな出来事から始まり、自ら妻の介護をすることを決意した著者が、それからの苦難と喜びの日々を綴っていきます。妻への愛情と慈しみの心あふれるこのケアレポートは、単なる介護日記を越えて、読む者にさまざまな問いかけを発します。介護ビジネスの現場で著者が直面した多くの問題は、ひとごとではありません。また、実際に自分がその立場に立った時、配偶者に対していったいどんな振る舞いをできるだろうかという自問…。その後、著者の献身的な努力で、和子さんは従来考えられなかったような回復を遂げます。その姿に、そして夫婦の絆の深さに、明日への希望が見えてくるはずです