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農村計画と生態系サービス
- 初版年月日
- 2014年12月
- 書店発売日
- 2014年12月22日
- 登録日
- 2014年11月19日
- 最終更新日
- 2015年9月9日
紹介
生物多様性の保全を考察する際に欠かせない「生態系サービス」という新しい概念を丁寧に説明した上で、国内外の生態系サービスの評価事例、評価方法、施策や制度の概要、研究・実践上の課題について解説する。さらに生態系サービスの維持管理に農村計画学が果たすべき役割を明示する。
目次
第1章 はじめに
1.生態系サービスへの関心の高まり
2.生態系サービスとは何か?
3.生態系サービスと農業・森林の多面的機能
4.なぜ生態系サービスは農村計画において重要な概念と考えられるのか?
5.本書の構成
第2章 生態系サービスとは何か?
1.生態系サービスとは何か? (1)「生態系サービス」概念と評価の枠組み/(2)農林業の多面的機能 との類似点・相違点
2.わが国の生物多様性,生態系サービスの状況 (1)日本の里山・里海評価(JSSA)/(2)生物多様性総合評価(JBO:Japan
Biodiversity Outlook)
第3章 生態系サービスをどう測るか?
1.生態系サービス評価へのアプローチ
2.インベントリ分析の概要
3.東日本大震災前後の生態系サービスの変化(事例1) (1)方法/(2)インベントリ分析結果 ①供給サービス,②調整サービス,③文化的サービス /(3)本評価の計画論的含意と課題
4.わが国の原子力発電所周辺地域の生態系サービス賦存量の評価(事例2) (1)方法/(2)原子力発電所周辺地域の人口と土地利用/(3)原子力発電所周辺地域の生態系サービス ①供給サービス/②調整サービス/③文化的サービス/(4)本評価の計画論的含意と課題
5.本章のまとめ
第4章 生態系サービスを取り扱うための諸施策
1.土地利用と生態系サービス (1)土地利用計画制度の概要/(2)森林の計画と生態系サービス ①森林・林業基本法による生態系サービスの扱い,②森林法における生態系サービスの扱い/(3)農地の計画と生態系サービス/(4)文化的サービスのための計画的枠組み①景観法 /②文化財保護法による重要文化的景観の保護
2.生態系サービスへの支払い(Payment for Ecosystem Services, PES) (1)PESとは何か?/(2)PESの類似制度 ①わが国のPES類似の制度の特徴/②中山間地域等直接支払交付金/③農地・水・環境保全向上対策/④環境保全型農業直接支援対策/⑤森林環境税
3.開発事業における生態系への配慮と自然再生事業 (1)各種事業における環境配慮の展開/(2)ミティゲーション/
(3)生物多様性オフセット/(4)自然再生事業
4.農林水産物の認証による生態系サービスの保全
5.本章のまとめ
第5章 計画策定や意思決定で考慮すべき生態系サービスの諸性質
1.生態系サービスは生物多様性とどう関係しているのか?
2.生態系サービスの諸性質 (1)生態系サービスのバンドルとインターリンケージ ①生態系サービスのバンドル,②生態系サービスのインターリンケージ ,③結合性/(2)生態系サービスのトレードオフ/(3)生態系サービスの産出地と受益地のギャップ/(4)生態系サービスの財・サービスとしての性質-競合性と排除性-/(5)生態系ディス・サービスの存在
3.生態系サービスとどう付き合うか?
第6章 農村計画と生態系サービス─展望と課題─
1.農林水産政策への生態系サービス概念導入の進展 (1)農林水産生物多様性戦略への位置づけ/(2)農村環境の保全に関する研究会による取り組み
2.計画策定段階からみた農村計画で生態系サービスを扱う上での論点 (1)目標/(2)立案(代替案作成)/(3)予測/(4)決定(選択)/(5)実施
3.農村計画が取り組むべき課題 (1)生態系サービスの評価手法の開発/(2)農林業施策・制度と生態系サービスの関係の把握/(3)生態系サービスのトレードオフとシナジーの解明/(4)生態系サービスのオフサイト効果の解明/(5)農村の生態系サービスによる社会への貢献の解明
4.まとめ─農村計画への期待─
補遺 生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム
1.求められる独立性の高い科学評価
2.モデルとしてのIPCC
3.IPBESの設立に向けて
4.IPBESの機能
5.IPBESの概念枠組みと作業計画(2014-2018)
6.気候変動枠組条約がもたらした国内への影響
あとがき
解題
生態系サービスをめぐる国際動向と国内政策の展望(吉田謙太郎)
私のコメント(浅野耕太)
上記内容は本書刊行時のものです。