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海女、このすばらしき人たち 川口 祐二(著) - 北斗書房
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海女、このすばらしき人たち

発行:北斗書房
四六判
縦188mm 横127mm 厚さ18mm
重さ 450g
227ページ
上製
定価 1,600円+税
ISBN
978-4-89290-025-9
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年10月
書店発売日
登録日
2013年9月14日
最終更新日
2013年10月25日
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書評掲載情報

2014-01-05 読売新聞
評者: 濱田武士(漁業経済学者、東京海洋大学准教授)

紹介

<著者の横顔>
1932年、三重県生まれ。日本の漁村を歩き、漁村の暮らしを記録する仕事を続けて25年。その間、全国津々浦々の漁村360ヶ所以上を訪問し、670人以上の漁業者の話を聞いてまとめた作品が既に14冊におよぶ。その著者が、15冊目のタイトルに決めたのは『海女、このすばらしき人たち』。初めて“海女”の文字を出したタイトルであり、記念すべき渾身の15冊目となった傑作。

目次

第一章 『万葉集』の海女、俳句に詠まれた海女
一 『万葉集』の海女、ほか
  (一)『万葉集』で海女を読む   (二)『枕草子』など 
二 俳句に詠まれた海女
(一)「海女」を季語とすることに努力した人  (二)海女を詠む俳人ふたり 
第二章 海女を訪ねて、にしひがし
一 久慈、小袖再訪―ワカメ漂う岸辺
  (一)小袖再訪ーワカメ漂う岸辺   (二)帰りの車で聴いた話
二 東京娘が海女になった話
  (一)私は海女になりたい  (二)千葉白浜の海女となる
三 下田で聴いた海女漁の話
  (一)一八歳で出稼ぎに、そして田牛へ  (二)民宿のおかみ業と海女仕事 
四 命果てるまで―熱海の海に
  (一)六八年の潜き人生  (二)白波寄せる伊豆の岸辺へ
五 志摩志島で海女に会う
  (一)志島の海女に会う   (二)生涯八、〇〇〇万円を稼いだ 
六 姉妹二人、とまい船で潜く
  (一)姉妹の海女の話   (二)麦崎に立つ 
七 イセエビをつかむ海女
  (一)海の見える部屋で   (二)「えび引き」の話 
八 本州西の果てで
  (一)西の果ての向津久の海女   (二)鐘崎の海女の墓に参る 
九 豊後水道波高し
  (一)海女になってよかった  (二)四三人が暮らす無垢島へ 
一〇 玄界灘の孤島に生きる
  (一)小呂島の海女として   (二)島の学校まで 
第三章 海女、このすばらしき人たち
一 海女文化を守る
  (一)海女漁業はすばらしい  (二)アワビ讃歌 
二 このいとしきもの
  (一)海を守ることが海女を護る   (二)あすにかける海女たち 
あとがき

前書きなど

【あとがき】より
 東京江戸川区一之江に事務所がある漁協経営センターの会長山本辰義さんから、「海女」について一冊まとめてみないか、とお声がかかった。2012年10月26日深夜のNHKラジオ番組「ラジオ深夜便」を聴かれて、翌日すぐのことである。
 「あなたとアナウンサーの対談を聴きましてね。漁村の人たちだけでなく、誰でも興味の持てるような本にしたいですね」
 電話の主はこのように話された。そのときすでに、全国の漁村の何ヵ所かを訪ねて、海女さんたちから話を聴いていた。それらを芯にしてまとめたのが、今回の『海女、このすばらしき人たち』である。
 第一章と第三章は、私がかねてから考えていたことを簡潔に述べたものであり、やはり、中心は第二章の漁村での聴き書きということになろうか。北は岩手県久慈市小袖の岸辺から、西は玄界灘に浮かぶ孤島小呂島までの一一ヵ所、一八人の海女さんたちに会ったときの聴き書きである。一部は漁師(海士)さんからの話も含まれる。
 膝を交えて話し合う席で、どの人も異口同音に話されたのは、とるものが少なくなってきている、ということであった。どこへ行っても、最初の言葉はアワビが急にとれなくなったという嘆きであった。それはアワビだけではない。すべての磯根資源が枯渇していることへの不安であった。
 沿岸漁場の荒廃が叫ばれて久しい。しかし、どれだけの対策がされてきたのか。本当に困っている所へ手を差しのべ、光を当てるのが本来の政治ではないのか、これが浦浜を歩いての偽らぬ感想である。
 お会いした海女さんたちは、一様に明るい人たちであった。胆力の持ち主であり、それでいてしなやかな体力、そして気働きのできる人たちばかりであった。それらの人たちの発する言葉ひとつが、また語りかける話のどれもが、私にとっては興味あることばかりであり、教えられることが多かった。
 私は、2008年9月に発足した三重大学の海女研究会の一員として、大勢の研究者の研究事例を見聞きし、そこから深く刺激を受け、啓発された。それらから得た数多くの話題は、今回の一冊をまとめる上での、貴重な学恩であったと感謝している。
 小著をまとめるに当たっては、先学の出版物を参考にさせていただいた。大喜多甫文さん、小島孝夫さんのご労作、そのほか、鳥羽市の海の博物館ならびに志摩市の伊勢志摩国立公園横山ビジターセンターのそれぞれの調査報告書などである。また、伊勢市二見町にお住まいの北井誠也さんと、志摩市和具の伊藤芳正さんからは、貴重な写真を快く提供戴くことができた。
 私が日本の漁村各地を歩き、そこに住む人びとから話を聴いて記録を始めてから、早くも二五年に入る。多くの方々のご支援を受けて世に出た聴き書き集は、共著も含め一四冊である。それにしても巻を追うにつれ、だんだんつまらなくなっていくとすれば、それはいつになっても沿岸漁場が回復しないからであると、罪は日本の海になすりつけておこう。
 なお、小著の出版までには、漁協経営センター会長山本辰義さんほか山本義樹さん、島田和明さんから、細部にわたってご教示を受けた。これらさまざまな人のご縁で、一冊が世に出たことに、深くお礼を申し上げる。
 2013年9月10日
                                  川口 祐二



著者プロフィール

川口 祐二  (かわぐち ゆうじ)  (

1932年、三重県に生まれる。
1955年、早稲田大学卒業。
1989年3月、三重県度会郡南勢町教育委員会事務局長を退職。在職中より漁村にかかわる実践運動を展開し、70年代初めには、いち早く、漁村から合成洗剤をなくすことを提唱する。
 88年11月、岩波新書別冊『私の昭和史』に採られた「渚の五十五年」が反響を呼ぶ。日本の漁村を歩き、特に女性の戦前、戦中の暮らしを記録する仕事を続けている。同時に沿岸漁場の環境問題を中心にエッセイを執筆。『漁業と漁協』、『しま』ほか、雑誌新聞等への執筆多数。
現在、三重大学客員教授、三重大学の「海女研究会」に所属。三銀ふるさと三重文化賞推薦委員。

上記内容は本書刊行時のものです。