版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊 ラノベ
さまよえる古本屋 須賀章雅(著) - 燃焼社
.

さまよえる古本屋 もしくは古本屋症候群
原書: さまよえる古本屋

発行:燃焼社
四六判
縦186mm 横128mm 厚さ18mm
重さ 350g
288ページ
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-88978-112-0
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年4月
書店発売日
登録日
2015年3月4日
最終更新日
2015年3月6日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

永年古本屋家業をいとなんでいる著者が、主にこの十年ほどの間に書いたさまざまな文章を集めて一冊に編まれたものです。
 たとえば日記形式の文章が四つ入っていますが、それぞれ成り立ちや、性格が異なっており、プライベートな日記として書かれたもの、ドキュメントエッセイ、連載用のコラムエッセイ、さらに小説を意図して書かれた作品等です。
 このように、いろいろな文章に加えて漫画まで入っている、寄せ鍋風の具沢山な中身となっています。

目次

Ⅰ 古本屋症候群 
   ある色紙のこと
   あるハガキのこと
『ある青春』のこと
ある詩人のこと
あるサイン本のこと
ある愛書家のこと
ある夏休みのこと
ある喫茶店のこと
ある先輩のこと(上)
ある先輩のこと(下)
ある翁のこと
あるよき時代のこと
ある名刺のこと
Ⅱ 古本屋以前  
   箱男の夏
   春――昔、花の東京で
Ⅲ 足を踏み入れて
 酩酊店員日記一九八二
Ⅳ 店を開いて
   魔の永久運動――『彩色ある夢』をめぐって
   私小説的山本文庫――Sの場合
   【小説】あヽ雑巾先生
   古川さんの冷蔵庫
   冬の先生 
   お引っ越し日記--浮かぶ背もあり?
Ⅴ 足を踏み外して 
   枯葉と犬と私と
   【小説】 ああ 狂おしの鳩ポッポ――一月某日 
   【漫画原作】 奈落の娘ミカ 
     奈落の夏休み
     たとえば奈落のクリスマス
     古本ふらり奈落旅
   【漫画】 奈落の住人 画・笹木桃
Ⅵ さまよえる古本屋 
   とにかく古本屋日記
秋のよろこび二〇〇六
   古本監獄
   【連作掌篇】 古本ノンキ堂咄
     初売り
     花見酒
     果てしなき野望
     湯煙地獄試練の飛沫
     カフェは花ざかり
     古本定食
     ホテル白熊にて
     夏の手紙
     幸せになりたい
古本屋―冬のつぶやき

前書きなど

 主にこの十年ほどの間に書いたさまざまな文章を集めて、二冊目となる本を編んでみました。
 たとえば日記形式の文章が四つ入っておりますが、それぞれ成り立ちと云いますか、性格が異なります。プライベートな日記として書かれたものがひとつ、残りはドキュメントエッセイ、連載用のコラムエッセイ、さらにいまひとつは小説(になっているかどうかはともかく)を意図して書かれた作品です。
 かような具合に、いろいろな文章に加えて漫画まで入っている、寄せ鍋風と申しますか、ブイヤベース風の具沢山な中身となっております。
 Ⅰにはご挨拶代わりとして「古本屋症候群」を据えました。Ⅱからはエッセイや日記や創作が形式別ではなく、ほぼ、書かれている内容の時間に沿って並んでおります。
 はるか昔、室蘭の高校生だった頃から、昭和の終盤に店を開き、その後、通販専門となって馬齢を重ね、平成の今日まで生き延びてきたある古本屋が見聞きした事柄や、すれ違った本、出会った人たち、そしてとりわけ凡夫自身の姿が、飛び飛びに描かれているのでは、と思います。
 「酩酊店員日記一九八二」は凡庸で幼稚な青年が古本業界入りした年の恥ずかしい日録の抜粋。
 題名に吉増剛造氏の詩行を拝借した「ああ 狂おしの鳩ポッポ」は、『彷書月刊』に掲載された作に十枚余りを加筆した定稿版。
 「奈落の娘ミカ」シリーズはたしか、二〇〇三年の夏から二〇〇四年の初めあたりに、友人の娘さんで当時高校生だった笹木桃さんのために書いた漫画向けシナリオ。そのうちの一作は、荒削りながら大胆かつ独特の画風で即漫画化され、ずいぶんと笑わせてもらったものでしたが、今回収録したのは新たに描き直してくれた作品です。
ストーリー、登場人物共に架空のもので、ほぼあり得ないお話が漫画ではさらにデフォルメされています。五年余り前から『北方ジャーナル』に連載している漫文「よいどれブンガク夜話」でも桃さんには毎月愉しい挿絵を貰っております。
 連作「古本ノンキ堂咄」も内容、人物共に作りごとであり、モデルはありません。ちなみに「ノンキ堂」の奈落屋は独身であって、「ミカ」の奈落書房とは別人という設定です。ふり返ってみると、この「ノンキ堂」シリーズや「冬の先生」などを、今は休刊してしまった『季刊 札幌人』に自由に書かせて頂いたのはありがたいことでした。

版元から一言

この十年ほどの間に、古本屋が数多く店仕舞いをしました。多くは店舗を閉じた後、自宅を事務所にインターネットでの販売をメインにした営業に切り替えているようですが、今では古本屋は、店の家賃等の経費を払って「合う」商売ではなくなってしまったらしいのです。
 いまどき、新しく古本屋を始めようとしている人がいますが、「人はなぜ古本屋になるのか?」、あまり明るい未来が望めるとは思えない業界だと思うのですが。「本が好き」であると同時に「自由」という要素も魅力なのでしょうか。ただ自由というのは、一歩間違えれば転落の危険を伴っているのですが……。

上記内容は本書刊行時のものです。