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うつ病治療と現代アメリカ社会 川西 結子(著) - 海鳴社
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うつ病治療と現代アメリカ社会 日本は何を学べるか

発行:海鳴社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ16mm
重さ 280g
232ページ
並製
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-87525-286-3
Cコード
C0011
一般 単行本 心理(学)
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2012年1月
書店発売日
登録日
2011年11月18日
最終更新日
2011年12月28日
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紹介

ここ数年、さまざまなストレスによる日本人の心の病に関する報道が途切れることはない。そして「心のケア」という概念がようやく一般にも広まりはじめてきたかに見える日本。では、映画やTVのドラマの日常のなかにセラピストが顔を出すアメリカではどうなのだろうか?精神治療の先進国に見えるアメリカの現状から日本は何かを学べるのだろうか?
著者は「うつ病治療」なかでもミドルエイジクライシスと呼ばれる世代に焦点を当て、さまざまな状況、職業のうつ病患者たちにインタビューするなかでアメリカのうつ病治療の現状を探り、さらに現代のアメリカが抱える医療問題をもあぶりだす。著者渾身のアメリカからのレポートである。

目次


   もくじ
   
序章                               
第一章 ふたつのアメリカ                         
      一、精神科医療大国アメリカ?       
      二、もう一つのアメリカ
      (一)マッカーサー財団によるうつ病スクーリングプロジェクト            (二)ニューヨーク市の試み
第二章 うつを引き起こした様々な人生              
      一、中年期:危機とストレスに満ちた人生のステージ  
      二、さまざまな人生の状況  
       (一)、長年の疲労が積もり、頑張りすぎたケース  
       (二)、過去のトラウマ再熱  
       (三)、親との関係  
       (四)、様々な喪失感:離婚、家庭、これまでの土台喪失)  
       (五)、老化についての漠然とした不安と失望  

第三章 彼らはどのようにしてヘルプにたどり着いたのか?       
      一、自分で気づいて、自ら助けを求めていった人  
      二、他の医療関係者(又は親しい人間)に言われたのがきっかけで助けを求めた人      三、最後まで事の重大さを自覚できず、他人に引き連れて行かれた人            四、ヘルプシーキングへの障害  
第四章 アメリカのうつ病治療ー薬とセラピーvs薬と休息?        
      一、アメリカのサイコセラピーの発展と歴史  
       (一)、精神分析とアメリカ  
       (二)、戦争が転機  
       (三)、精神科ソーシャルワーカーの職業的発展  
       (四)、精神分析派からの離脱  
       (五)、精神分析の明らかな衰退  
       (六)、臨床現場の今日  
       (七)、サイコセラピーを広めた制度的要因  
      二、サイコセラピーへアメリカ人を導く別の道  
       (一)、パストラル・カウンセリング  
       (二)、EAP 従業員支援プログラム  
      三、サイコセラピーを受けた人々。セラピーはどれほど効果があるのか?  
      四、セラピーとは関係ない、という人達のケース  
      五、うつ病の複雑さ……姿を変える隠れうつ病  
      六、アメリカ社会の大きな障害―医療制度と保険の問題   
第五章 アメリカ精神医学の行方                  
      一、生物学的・薬学的精神医療の独占支配  
      二、膨れ上がった精神科医療への幻想と現実  
      三、歯止めの利かない製薬会社のコントロールパワー  
      四、医師の責任  
      五、サイコセラピー再考  
第六章 日本は何を学べるか?                  
      一、日本にもTalking cureを?  
      二、アメリカにならって日本でも今後充実させたいプログラム案  
      三、出会った人達のその後  

    あとがき
    参考文献




前書きなど

この本は人間の精神的癒しに必要な数々のファクターのなかで、まずは一番外の大枠である社会という観点から、個人的に最も馴染みある他国のアメリカでうつ病に悩む人々の場合について書き上げたものである。
 また、長年のアメリカ体験を通じて、サイコセラピストと言う職業にも魅了されてきた。全くの他人がもう一人の他人にプライベートな精神的悩みを打ち明けるような職業はあまり繁盛しないほうがよい社会なのだろうが、この他人が単なる他人ではなく、専門的訓練を備えたプロフェッショナルであること、そして高度に発達した現代社会に、また日本においても今後必要不可欠になっていくような気がしたからだ。もちろんこれは、二人の人間の間に生まれる安心感と強い相互信頼に支えられた関係が土台になければならない。
 うつ病はすでに何年もの間「国民病」と呼ばれても仕方のない状態であったのに、身体の病気と比べて、未だに表向きに議論されることに大きく遅れをとった病である。そして二〇一一年三月一一日にこの国を襲った未曽有の大悲劇は日本中を深刻なトラウマへと突き落とした。トラウマ体験のプロセスはこの本の領域外であるが、トラウマをうまく処理できない後には必ずうつがやってくる。二万人近くの日本人が突然亡くなり、残されたその家族、友人、知人を含めると何十万人いや、何百万人という人々が強烈な喪失体験をかかえながら後の人生を生きていかなければならない。彼らのとにかく話したい、聴いてもらいたい、という願いにこたえる、そしてそれからどうやって生きていくか、を共に模索し精神的に支える専門家が必要となってくるだろう。この本で著したアメリカのメンタルヘルスシステムが少しでも参考になれば、と願っている。
(著者あとがきより抜粋)

版元から一言

『うつ病治療と現代アメリカ社会』はアメリカのうつ病患者にインタビューを試み、社会学者の視点で分析したユニークな本である。

著者プロフィール

川西 結子  (カワニシ ユウコ)  (

大阪府出身。同志社大学卒。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)
にて社会学博士号(Ph.D)取得。テンプル大学日本校にて社会学、ア
ジア研究教員を経て、東京学芸大学留学生センター教授。2009 年退職。
2008 年からコロンビア大学臨床心理学科、ニューヨーク市立大学ハ
ンターカレッジ福祉大学院にて客員研究員。現在ニューヨークにてサ
イコセラピーの勉強、研修中。
主な著書:Families Coping with Mental Illness: Stories from the U.S. and
Japan Routledge(2006), Mental Health Challenges Facing Contemporary
Japanese Society: The Lonely People Global Oriental (UK) 社(2009)等

上記内容は本書刊行時のものです。