版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊 ラノベ
読書ボランティア―活動ガイド― 広瀬 恒子(著) - 一声社
.

読書ボランティア―活動ガイド― どうする?スキルアップ どうなる?これからのボランティア

発行:一声社
A5判
176ページ
並製
定価 1,500円+税
ISBN
978-4-87077-206-9
Cコード
C3036
専門 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2008年12月
書店発売日
登録日
2010年10月27日
最終更新日
2010年10月27日
このエントリーをはてなブックマークに追加

重版情報

3刷 出来予定日: 2013-02-20

紹介

学校での「朝の読書」、書店店頭での読みきかせ・おはなし会、行政の読書推進施策など、様々な背景から、読書に関わるボランティアが急増している。それ自体は喜ばしいことだが、盛んになった段階での新たな問題も各地で報告されている。十分な準備もせず、お洒落な感覚で詠みきかせをする人。学校で私語が絶えず噂話をする人。などボランティア側の力量や態度に関する苦情。一方、行政側には思惑がある。本来、行政が為すべき仕事を、「安上がりで便利な下請け」としてボランティアに丸投げすることによる、ボランティア側との軋轢。「子ども」と「本」を結ぶ、やりがいのある読書ボランティアは、今大きな岐路に立っている。本書は、ボランティア側のスキルアップのポイントと、それを保証するサークル作りやネットワーク作りのポイントをを分かりやすく解説。同時に、行政側の思惑の背景を説明し、行政との新しい関係=協働関係を築くこと説く。すでに各地で実践している先進例を例示し、問題の所在を真っ先に把握する開拓者として、行政の施策に反映させていく「提言者」としての存在に未来を見る。子どもと本に関わるすべての大人、必読の書である。

目次

はじめに

第1章 読書ボランティア 実践を一歩前へ
 1、本を選ぶ
  ①本選びの基本的な考え方
   読み手であるあなた自身が実際に目を通してみること
   絵本選びのコツ
   選書の失敗例
  ②こんなときこんな本―おすすめリスト
   ・「本は苦手」という男の子がいるクラスでは・・・
   ・学校の先生から「命の大切さについて考える絵本を」と言われたら・・・
   ・高学年の読みきかせに・・・
   ・読みきかせの時に、なんとなく落ち着かないクラスでは・・・
   ・人の生き方を知る伝記的な絵本を読みたい時・・・
   ・子どもに科学遊びをする時、使える本は・・・
   ・海外の子どもがおはなし会に参加した時は・・・
   ・ことば遊びをして楽しみたい時は・・・
   ・赤ちゃんといっしょに・・・
 2、読みきかせ・おはなし・ブックトーク―その基本となる考え方
  ①読みきかせ
   絵本の読み方
   集団の子どもに絵本を読む場合―黒子かパフォーマンスか?
   読みきかせの最中に、子どもが話しかけてきた時
  ②おはなし
  ③ブックトーク
 3、おはなし会のプログラム―作り方のコツ(お助けヒント)
   プログラムの実例紹介
    心障学級(東京都・おはなしカメさん)・・・ 、小学校1年生(東京都立川市・立川おはなしボランティア)・・・ 、小学校2年生(石川県金沢市・はるかぜ文庫)・・・ 

第2章 読書ボランティア 実践を一歩前へ(その2)
 1、仲間づくり―サークルをつくろう
  ①サークル運営の留意点
  ②自分たちのガイドラインづくりを
   ・ガイドライン実例①(親子読書地域文庫全国連絡会)
   ・ガイドライン実例②(宮城県仙台市・仙台市にもっと図書館をつくる会)
   ・受け入れ側のガイドライン(東京都文京区立図書館)
  ③活動の潤滑油=コーディネーターの重要性
   ・コーディネーター―学校の場合
   ・コーディネーター―川崎市の場合
   ・コーディネーター―ボランティア側
  ④ボランティアの連絡会・ネットワーク作りを
  ⑤スキルアップのために研修を
   ・スキルアップのための参考文献
  ⑥自治体や学校との協働を目指して
   ・図書館からのボランティア支援
   ・図書館と読書ボランティア(千葉県浦安市立中央図書館)
  ⑦知っておきたい著作権のこと
   ・読み聞かせ団体などによる著作権の利用について(児童書四者懇談会)
   ・著作物利用許可申請書
   ・著作権―補足1
   ・著作権―補足2・著作権についての相談・問い合わせ先

第3章 各地に広がる読書ボランティアの現状
 1、読書ボランティアの特色
  ・「子ども」と「本」がキーワード
  ・読書ボランティアの活動いろいろ
 2、各地に広がる読書ボランティア
  ①読書ボランティアの活動内容
  ②読書ボランティアの広がりをうながしたもの―いつごろから、どうして―
   第一の流れ―1960年代以降のボランティア
   第二の流れ―1990年代以降の行政の施策
    ボランティア全般の施策・・・ 、読書ボランティアに関する方策・・・ 、出版業界の取り組み・・・ 
 3、読書ボランティアの具体的活動内容
   活動する時間・・・学校の場合、活動場所による違い・・・学校の場合、活動場所による違い・・・図書館の場合、活動場所による違い・・・ブックスタートの場合
 4、読書ボランティアの実践紹介
  ①学校での読みきかせ(東京都狛江市・くーすけの会)
  ②学校図書館支援のボランティア(東京都八王子市・大橋道代)
  ③地域のボランティアサークル(埼玉県杉戸町・この本だいすきの会杉戸支部)
  ④ハンディキャップのある子どもたちと(兵庫県尼崎市・ひまわりの会)
  ⑤入院中の子どもたちへの読書ボランティア(東京都狛江市・鈴木侑子)
  ⑥子ども文庫(東京都世田谷区・なかよし文庫)
第4章 読書ボランティアの課題と未来
 1、読書ボランティアの喜び
  ・話し手が幸せを感じる時(神奈川県川崎市・徳丸邦子)
 2、子どもに迷惑なボランティアになっていないか?
  ・ボランティアは自己満足?
  ・本についての困ったちゃんの例
  ・まず、読書ボランティアをやってみましょう
 3、行政・地方自治体から期待されるボランティア
 4、ボランティアの限界と可能性
  ・重度身障者(児)の図書郵送の無料化を求める請願書
 5、提言者としてのボランティア
  ・ボランティアからの提言を!
  ・学校図書館ボランティア・その2つの車輪(長崎市・三宅直美)
 6、読書ボランティアのこれから
  ・読書ボランティアとして自らに問いたいこと
  ・行政との「協働」を目指して
  ・読書ボランティアのこれから―まとめにかえて
  ・「協働」の実例紹介
  ・行政と市民が一体となって(大阪府豊中市・安達みのり)
  ・市立図書館に望むこと・できること―市民からの提言(静岡県・草谷桂子)
  ・学校図書館ボランティアの可能性を信じて―ボランティアの手引書にこめる思い(東京都八王子市・大橋道代)
Q&A
 Q1、読書ボランティアは、気軽に誰でもするべき?それとも専門家がするべき?
 Q2、本選びの悩み。不特定多数の読みきかせで注意する点は?
 Q3、一人で自由に読みきかせをしたほうが楽しい。反省会とかイヤな気持ちになるだけ?
 Q4、ボランティアは、学校の仕事を無料でさせられているだけ?
 Q5、ボランティアは迷惑な公害?
資料集
  ・子どもの読書活動の推進に関する法律
   同、衆議院文部科学委員会における附帯決議
  文字・活字文化振興法

 あとがき

前書きなど

はじめに
 いま、ボランティアということばは、わたしたちの暮らしにとても身近なものとなっています。
 見渡してみれば、福祉、環境、災害、文化、教育などあらゆる分野にボランティアの存在とその活動が目に入ってきます。

 しかし、ボランティア活動は決して近年起こったものではなく、さかのぼってみると、長い歴史をもっていることがわかります。
 わたしの古い記憶をたぐってみますと、日本でも奈良時代の僧行基が諸国を遍歴し、初めは僧尼令違反で禁圧されていたにもかかわらず、寺を建てたり、橋をかけ堤を築くなど社会事業を行った足跡があります。また鎌倉時代には、僧忍性がハンセン病患者のための救済施設=北山十八間戸を建てました。江戸時代には、私財や時には命をも投げ打った庶民の献身的な活動が、後々まで語り継がれています。大正期には、学生たちが都市の貧困地区に宿泊所や託児所などを設けて生活支援をしたセツルメント運動が起こり、戦後すぐに全国的に盛んになりました。
 1960年代に活発になった生活協同組合やYWCAなどもボランティアの源流とみることもできるかもしれません。
 しかし、なんといってもボランティアの役割を社会的につよく印象づけたのは、1995年1月の阪神淡路大震災の時だったと思います。

 では、子どもの読書にかかわるボランティアの歴史はどうでしょう?
市民による自主的な活動―子ども文庫・親子読書会―は、1960年代からはじまっていました。それに加え80年代からは、子どもたちに、読みきかせやおはなし会を楽しんでもらうボランティアが広がりはじめました。その後、「読みきかせ」を新聞・雑誌などが取り上げたり、朝の読書など学校での読書活動が盛んになったこともあり、読書ボランティアは急速に広がりました。2000年以降は、全国各地で新旧の読書ボランティア(長年子どもと本をつなぐ草の根の活動を続けてきた人々と、新たにボランティアを始めたフレッシュな層)が合流し、子どもたちに本の楽しさを、という多種多様な活動が活発化し、現在に至っています。
 多種多様な活動の発展という段階だからこそ、ボランティアに対する考え方や具体的な活動の中身、行政・自冶体とのかかわり方などについて、経験を交流し、話し合いたい問題がたくさんあります。

考えてみれば、いろいろな分野のボランティアの中で、読書ボランティアの場合、“読書”という極めて個人的な営みにボランティア? とちょっとなじまないイメージかもしれません。
 いったい読書ボランティアとは、どんな人が、どのようなことをしているのか、なぜ、そのような活動がおこってきたのか、いま、これだけ全国に活発化したボランティアが、今後どのような流れとなり力となっていくのだろうか、既に読書ボランティアとして活動されている方、これからやってみようと考えておられる方々と、よりよい読書ボランティア活動への道をさぐってみたいと考えます。
 そして、子どもにとって本の世界との楽しい出会いとなるような、子どもの立場にたったボランティア活動が、いっそう広がっていきますように、この本が共に考え合うひとつのきっかけになれば、うれしく思います。

 「ルピナスさん」のねがいと読書ボランティア

 「ルピナスさん」という名称の読書ボランティアグループと出会いました。
 その名前を目にしたときわたしは、きっと絵本『ルピナスさん――小さなおばあさんのお話――』(バーバラ・クーニー、ほるぷ出版)にちなんで名づけられたのではないか、この名前に込められた読書ボランティアの思いを感じ、うれしくなりました。
 この絵本は、ルピナスさんというひとりの女性の一生を描いたお話です。

 ・・・・・・ルピナスさんは、幼い時、アリスという名で海辺の町におじいさんと住んでいました。
 アリスは毎夜、船乗りだったおじいさんから遠い国々のお話を聞かせてもらっているうち、自分も大きくなったら遠い国で仕事をし、おばあさんになったら海辺の町に住みたいと思うようになります。
 おじいさんは「それはけっこうだが、もうひとつ世の中をもっと美しくするために何かしてほしい」と言います。
 やがて成長したアリスは、図書館員として働きます。そして永住の地でアリスは、おじいさんの言った「世の中をもっと美しくすること」は何かを考え、自分の一番好きなルピナスの種をまき、村中を美しくするのです。・・・・・・

 この本は、人間の生き方をルピナスの花に重ねて、世の中を美しくすることの価値について考えさせられます。
 ボランティア活動も、自分の願っていることを自発的に行う、「世の中を美しくすること」ではないでしょうか。
 「ルピナスさん」の仲間がいっぱいふえるといいなと、思います。

(「読みきかせボランティア」は知っていても、「読書ボランティア」という言葉は聞きなれない、という方もいるでしょう。本書では、読みきかせもふくめた、「子ども」と「本」を結ぶすべてのボランティアの総称として、「読書ボランティア」という言葉を使っています。)

*セツルメント活動・・・産業革命で生まれた労働者貧民を救おう、とイギリスで始まった運動。日本には明治の終わりに紹介され、関東大震災で帝大セツルメントも活動。「教授・学生は知識の独占者ではなく平等に分かち合う義務がある」「学生は実社会のなかで学問しなければならない」などをモットーとした。戦後すぐのキティ台風救援をきっかけに東大セツルメントが設立され、以後全国の学生を中心に広がった。医療・法律相談、保育・教育活動などが行われた。

著者プロフィール

広瀬 恒子  (ヒロセ ツネコ)  (

親子読書地域文庫全国連絡会代表。学校図書館を考える全国連絡会世話人、喜多見なかよし文庫、世田谷の図書館を考える会、日本子どもの本研究会。主な著書=『子どもの読書いまこれから』『本・子ども・人をむすぶ』『だから、子どもの本は面白い』(以上、新日本出版社)、『新・こどもの本と読書の事典』(共著、ポプラ社)

上記内容は本書刊行時のものです。