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黒澤明の音楽 小林 淳(著) - 作品社
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黒澤明の音楽 (クロサワアキラノオンガク) 鈴木静一、服部正、早坂文雄、伊福部昭、佐藤勝とその響き (スズキセイイチハットリタダシハヤサカフミオイフクベアキラサトウマサルトソノヒビキ)

芸術
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発行:作品社
四六判
496ページ
定価 4,500 円+税   4,950 円(税込)
ISBN
978-4-86793-092-2   COPY
ISBN 13
9784867930922   COPY
ISBN 10h
4-86793-092-X   COPY
ISBN 10
486793092X   COPY
出版者記号
86793   COPY
Cコード
C0074  
0:一般 0:単行本 74:演劇・映画
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2025年6月
書店発売日
登録日
2025年3月14日
最終更新日
2025年5月30日
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書評掲載情報

2025-07-02 週刊新潮  2025年7月10日号
評者: [15行本棚]
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紹介

映画黄金期に燦然と輝く作品群の、卓越した音楽技法を詳解。

登場人物を引き立たせるライトモチーフ、実験的なコントラプンクト……『姿三四郎』から『赤ひげ』までの23作品にちりばめられた仕掛けが、映画音楽評論の第一人者によって説き明かされる。ファン必携の力作!


 黒澤のなかには映画音楽への抑えられない想いがあった。もっと機能的に、もっと貪欲に、もっと有効に使いこなしたい、という欲望である。(中略)早坂が夭折したのち、黒澤は彼の弟子にあたる佐藤勝と引き続き映画における音楽の在り方、あるべき姿、目指すべき形、映画音楽がどれほど観客の情動を刺激するものか、これらを追求していく。――「はじめに」より

目次

はじめに──黒澤明の映画と音楽

序章 黒澤映画誕生前夜
黒澤明が映画監督デビューを飾るまで

第一章 黒澤明の初期作品を飾る曲節
鈴木静一とその響き[一九四三年~一九四五年]

一 『姿三四郎』(一九四三/東宝映画 音楽:鈴木静一)
1. 黒澤明の映画監督デビュー作品/2. 「用意、スタート!」/3. 作曲家・鈴木静一の横顔/4. 鑑賞者の先導をつとめる音楽手法/5. 三四郎と小夜の機微を表す調べ

二 『一番美しく』(一九四四/東宝 音楽:鈴木静一)
1. 黒澤明の時局映画/2. リアルに見せる女子挺身隊の日常/3. 諸説入り乱れた音楽担当者/4 音楽要素の大方を占める既成曲

三 『續姿三四郎』(一九四五/東宝 音楽:鈴木静一)
1. 『姿三四郎』の大ヒットを受けて/2. 檜垣三兄弟の物語/3. 継承された『姿三四郎』の音楽形態/4. 状況、情景、描写に添う楽曲群

第二章 映像の補助と感覚的要素に基づく音楽設計
服部正とその響き[一九四五年~一九四七年]

一 『虎の尾を踏む男達』(一九四五/東宝 音楽:服部正)
1. 黒澤明が描く「勧進帳」/2. 黒澤明と検閲官の対立/3. 作曲家・服部正の横顔/4. 日本の伝統音楽を用いたオペラ/5. 西洋風音楽が醸し出す劇的空間

二 『わが青春に悔なし』(一九四六/東宝 音楽:服部正)
1. 戦後の息吹を漂わせる民主主義映画/2. 原節子が体現する女性像/3. 「逍遥の歌」に込めたメッセージ/4. 視覚的で色彩的な音楽スタイル

三 『素晴らしき日曜日』(一九四七/東宝 音楽:服部正)
1. 恋人たちの一日の風景/2. 野外音楽堂でのクライマックス/3. 雄造と昌子に寄り添う現実音楽/4. 既成曲の配置と状況に応じる采配

第三章 現出させた映画音楽の理想とすべき姿
早坂文雄〈序〉、伊福部昭とその響き[一九四八年、一九四九年]

一 『酔いどれ天使』(一九四八/東宝 音楽:早坂文雄)
1. 黒澤明、三船敏郎コンビの誕生/2. 三船敏郎の圧倒的存在感/3. 志村喬と助演者たちのきわだち/4. 作曲家・早坂文雄の横顔/5. 日本映画音楽の開拓者/6. ギターの音色と「人殺しの唄」/7. 音楽的実験、対位法(コントラプンクト)

二 『静かなる決闘』(一九四九/大映東京 音楽:伊福部昭)
1. 菊田一夫原作の医療劇映画/2. 三船敏郎の新境地/3. 作曲家・伊福部昭の横顔/4. 黒澤明と伊福部昭の一期一会/5. 伊福部昭の映画音楽観/6. 伊福部昭の釈然としない想い

三 『野良犬』(一九四九/新東宝、映画芸術協会 音楽:早坂文雄)
1. 拳銃を奪われた新任刑事/2. 圧倒的物量で迫る戦後風俗/3. 展開に応じて変化させる楽風/4. 映像を覆う既成曲、流行歌/5. 終盤に現れる三種の対位法

第四章 早坂映画音楽スタイルの確立
早坂文雄とその響き〈破〉[一九五〇年、一九五一年]

一 『醜聞(スキャンダル)』(一九五〇/松竹大船 音楽:早坂文雄)
1. 低俗ジャーナリズムへの警告/2. 作品の格を上げた俳優たち/3. 劇進行の助勢に徹する音楽演出/4. 聖夜に舞い降りた響き

二 『羅生門』(一九五〇/大映京都 音楽:早坂文雄)
1. 黒澤明と橋本忍の出会い/2. 新たな映画語法の探究/3. 第十二回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞/4. 「杣売の回想のボレロ」/5. 「多襄丸の証言のボレロ」と「真砂の証言のボレロ」/6. 画のマチエールと音のマチエール/7. 早坂文雄のひとつの到達点

 三 『白痴』(一九五一/松竹大船 音楽:早坂文雄)
1. 北海道の大地を舞台にした人間劇映画/2. 舞台演劇に接近した映画造形/3. 映像、作劇、劇展開の補強/4. 映画の核を指し示す音楽手法/5. 二種のサウンドが表し出す映画世界

第五章 黒澤明の視覚、早坂文雄の聴覚
早坂文雄とその響き〈急〉[一九五二年、一九五四年、一九五五年]

一 『生きる』(一九五二/東宝 音楽:早坂文雄)
1. どのように人生の幕を下ろすか/2. 師が教えた〈飛躍の極意〉/3. 志村喬、畢生の熱演/4. 劇進行に密着する楽曲形態/5. 「ゴンドラの唄」/6. 「ハッピーバースデートゥーユー」

二 『七人の侍』(一九五四/東宝 音楽:早坂文雄)
1. 痛烈無双、活劇時代劇映画超大作/2. 『さむらい』から『七人の侍』へ/3. 空前のスケールで進められた撮影/4. 「野武士のテーマ」と「農民のテーマ」/5. 「侍のテーマ」のとどろき/6. 「侍のテーマ」の進展と形態/7. 「菊千代のマンボ」の表現力/8. 「志乃のテーマ」のうごめき/9. 各主題の効用と田植え歌に託した終幕/10. 早坂映画音楽のシンボル作品

三 『生きものの記録』(一九五五/東宝 音楽:早坂文雄[遺作])
1. 原水爆の恐怖を訴える社会派映画/2. 灼熱の太陽、燃え尽きる地球/3. 早坂文雄の逝去/4. 佐藤勝と〈星の音楽〉/5. 早坂文雄が貫いた映画音楽様式

第六章 黒澤映画音楽の次なるステージ
佐藤勝とその響き〈序〉[一九五七年、一九五八年]

一 『蜘蛛巣城』(一九五七/東宝 音楽:佐藤勝)
1. 時代劇映画で描く『マクベス』/2. 能様式の大胆な導入/3. 観客を仰天させた衝撃カット/4. 作曲家・佐藤勝の横顔/5. 早坂文雄のもとでの修業/6. 日本シリーズ第一戦の先発投手/7. 能邦楽と西洋管弦楽の混合形態/8. 武満徹との思い出

二 『どん底』(一九五七/東宝 音楽:佐藤勝)
1. 喜劇色を込めたアクの強い人間集団劇/2. マルチカム方式の完成形/3. 梵鐘の音と馬鹿囃子/4. 馬鹿囃子が謳う映画精神

三 『隠し砦の三悪人』(一九五八/東宝 音楽:佐藤勝)
1. シネマスコープ・サイズの拡がり/2. 娯楽時代劇映画の真髄/3. 佐藤サウンドのほとばしり/4. 「六郎太のテーマ」/5. 裏切り御免! 峠越え/6. 「雪姫のテーマ」と火祭り

第七章 映画を絢爛に染め上げる音色と音型
佐藤勝とその響き〈破〉[一九六〇年~一九六二年]

一 『悪い奴ほどよく眠る』(一九六〇/東宝、黒澤プロダクション 音楽:佐藤勝)
1. 黒澤プロダクション第一回製作作品/2. こだまする黒澤明の慟哭/3. 〈現代のジャングル〉を表す主題曲/4. ブラックジョークを効かせた音楽采配/5. 「西のテーマ」の音色

二 『用心棒』(一九六一/東宝、黒澤プロダクション 音楽:佐藤勝)
1. 剣戟映画の方向性を一変させた時代劇映画/2. 三船〈三十郎〉登場!/3. 「三十郎のテーマ」の誕生/4. 『用心棒』とエンニオ・モリコーネ/5. 「三十郎のテーマ」と「馬目の宿のテーマ」/6. 「卯之助のテーマ」と「女郎のテーマ」/7. 「ぬいのテーマ」の鳴り/8. ライトモチーフの饗宴とフィナーレ

三 『椿三十郎』(一九六二/東宝、黒澤プロダクション 音楽:佐藤勝)
1. 桑畑三十郎から椿三十郎へ/2. 三船敏郎の剣戟、黒澤明の仕掛け/3. 行儀がよくなった〈三十郎〉/4. 主導を担う「若侍のテーマ」

第八章 師弟の縁えにし、絆が息づく音楽空間
佐藤勝とその響き〈急〉[一九六三年、一九六五年]

一 『天国と地獄』(一九六三/東宝、黒澤プロダクション 音楽:佐藤勝)
1. 誰をさらっても脅迫は成り立つ/2. 特急「第二こだま」に乗れ!/3. 伊勢崎町・根岸屋と黄金町/4. 『生きものの記録』の発展形/5. 要所に設置されるファンファーレ/6. 音楽が奏でる〈天国と地獄〉

二 『赤ひげ』(一九六五/東宝、黒澤プロダクション 音楽:佐藤勝)
1. 黒澤映画の集大成作品/2. 映画に懸ける黒澤明の情熱のもとに/3. 日本映画界が誇る匠たちの技/4. 黒澤明のイメージと自己のオリジナリティー/5. 各エピソードにおける音楽演出/6. 「おとよのテーマ」と「歓喜の歌」/7. 黒澤学校の中途退学

付 後日譚──エピローグとしての『雨あがる』
黒澤映画史、佐藤映画音楽史の終着地

参考文献一覧/おわりに/索引

著者プロフィール

小林 淳  (コバヤシ アツシ)  (

映画・映画音楽評論家。1958年10月生まれ。日本映画、外国映画、映画音楽にかかわる評論、執筆活動を主に行う。著書・編著書に『伊福部昭の映画音楽』、『日本映画音楽の巨星たち』1~3、『伊福部昭 音楽と映像の交響』上・下、『佐藤勝 銀幕の交響楽(シンフォニー)』、『新版 伊福部昭の映画音楽』、『伊福部昭語る──伊福部昭 映画音楽回顧録』、『作曲家 渡辺宙明』、『映画の匠 野村芳太郎』(キネマ旬報映画本大賞2020第1位/以上ワイズ出版)、『ゴジラの音楽──伊福部昭、佐藤勝、宮内國郎、眞鍋理一郎の響きとその時代』(作品社)、『伊福部昭と戦後日本映画』、『本多猪四郎の映画史』、『三船敏郎の映画史』、『東宝空想特撮映画轟く1954─1984』(以上アルファベータブックス)、『日本の作曲家 伊福部昭』(ヤマハミュージックメディア)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。