書店員向け情報 HELP
書店注文情報
在庫ステータス
取引情報
クラシック音楽家のためのセルフマネジメント・ハンドブック
原書: Be Your Own Manager – A Career Handbook for Classical Musicians
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年7月31日
- 書店発売日
- 2020年7月27日
- 登録日
- 2020年6月29日
- 最終更新日
- 2020年7月27日
書評掲載情報
2020-09-27 | 読売新聞 朝刊 |
2020-09-26 | 日本経済新聞 朝刊 |
MORE | |
LESS |
紹介
誰にも頼れない時代をサヴァイヴする!
仕事を始めてすぐに必要となる知識からキャリア形成の考え方まで、
芸術面でも経済面でも成功を収める術を実践的にアドバイス!
オペラ歌手としてキャリアを歩んだのちビジネス界に転身し、
現在は音楽家やアンサンブルのコーチング、芸術団体やスタートアップ企業のアドバイザーとしても活躍する著者が、
若い音楽家たちに欠かせないビジネス面の考え方や基礎知識を懇切丁寧かつ実践的に指南する。
自分の売り込み方、ギャラの交渉、SNS活用術、写真や動画の見せ方、
ファンとの付き合い方、クラウドファンディングの極意、資金管理……
ワレリー・ゲルギエフ(指揮者)絶賛!
「自分の音楽仲間にこの本を推薦したい」
誰にも頼れない時代を音楽でサヴァイヴするためのバイブルが登場!
「COVID-19時代のためのまえがき」を新たに書き下ろし!
ゴーティエ・カプソン(チェリスト)
次世代の偉大なチェリストを教えることは私の喜びです。
彼らには、すぐれた音楽性と同時に、適切なツールがあれば何でも提供することを心がけています。
本書は、とても必要な洞察をあたえてくれるものです。
シモーネ・ディナースタイン(ピアニスト)
私のキャリアは、良い演奏をするだけでなく、自分が何をしているのか知ってもらうことに大きく依存していました。
J.S.バッハ《ゴルトベルク変奏曲》のCD制作資金を集めたのち、私は多くのレーベルに連絡して発売を依頼しました。
幸運にもテラークが同意してくれて、それがキャリアにおける大きな一歩となりました。
いまでも私は、所属レーベルのソニーや他のレーベルからマネジメントやサポートを受けながら、自分のキャリアのビジネス面にいろいろな点で気を配っています。
そんなとき、自分のキャリアをどう管理するかを書いた本があったらと思います。
ベッティーナとベルンハルトがそれを書くのを引き受けてくれたことを喜んでいます。
ワレリー・ゲルギエフ(指揮者)
偉大な音楽家であることはひとつのことにすぎない。
偉大なキャリアを歩むには、まず第一に、ビジネスがどのように機能するかを理解することが必要だ。
ベルンハルト・ケレスとベッティーナ・メーネが、クラシック音楽の世界での数十年の経験を若い音楽家が活用できるようシェアしてくれたことに感謝している。
彼らの本には、音楽家がキャリアのビジネス面を理解するために必要な知識が豊富に含まれている。本書を音楽家の友人たちに推薦したい。
ダニエル・ホープ(ヴァイオリニスト)
今日のクラシック音楽の世界において、独立したアーティストであることは、自分自身の声を人々と分かちあえる前代未聞の機会をもっていることを意味します。
もしあなたが音楽に身を捧げ、鉄の規律にしたがい、できれば自分のチームに──そして本書に──完全に身をゆだねているなら、あなたは正しい道を歩んでいるのです。
目次
COVID-19 時代のためのまえがき
まえがき
01 キャリア・ストラテジー Career Strategy
セルフコーチングのプロセス
ポートフォリオ・キャリア
02 パーソナル・ブランディング Personal Brand
03 マーケティング Marketing
マーケティング入門
あなた自身が出発点
コンクール
マーケティング・ツール
04 プロフィールの書き方 Biography
05 写真と動画 Photos and Videos
06 デジタル上のプレゼンス Digital Presence
07 ソーシャル・メディア・ストラテジー Social Media Strategy
ソーシャル・メディアのコンテンツ
ソーシャル・メディアの種類
ソーシャル・メディアのフォロワーをどう増やすか
08 自分を売り込む Selling Yourself
セールス・ファネル──売り込みを工夫するための実践的な方法
09 プログラミング Programming
10 出演料の交渉 Negotiating Your Fee
11 マネージャーとエージェント Managers and Agents
12 ファン・マネジメント Fans
13 クラウドファンディング Crowdfunding
プロジェクト
スケジュール
コミュニケーション
予算
クラウド
ストーリー
リターン
プラットフォームを選ぶ
14 はじめてのレコーディング Your First Recording
15 時間の管理 Time Management
シナリオ・プランニング
日課
1週間のスケジュール
作業リスト
16 プロジェクト管理 Project Management
望ましいクオリティ
スケジュール管理
予算管理
17 資金管理入門 Introduction to Finance
序
収入
経費
設備投資(資本的支出)
税金
保険
18 おわりに Last Word
日本語版への著者あとがき
訳者あとがき(後藤菜穂子)
日本語版監修者あとがき(石田麻子)
音楽とともに生きる人のためのハンドブック
音楽家のキャリアを想う
音楽家のメンターとなる
ヨーロッパと日本との違い
音楽界のこれから
前書きなど
訳者あとがき(後藤菜穂子)
ベルンハルト・ケレス、ベッティーナ・メーネの共著Be Your Own Manager: A Career Handbook for Classical Musicians(2017)の日本語版を出そうと発案されたのは、ヴィオラ奏者の安達真理さんでした。オーストリアのインスブルック交響楽団副首席奏者をつとめたのち、日本に帰国してアーティストとして独立するにあたって、安達さんは本書で語られている数々の提案やアドバイスをとりいれ、新しいキャリアをみずからプロデュースされました。彼女とはかねてからソーシャル・メディアをつうじてつながっていて、私自身もそのクリエイティヴな活動に一目を置いていたのですが、2017年6月に彼女が私の住むロンドンを訪れる機会があり、そのときにはじめてお会いすることができました。その折に彼女から、本書の日本語版の翻訳に興味はないかと打診されたのでした。
当時の私は、『〈第九〉誕生』(ハーヴェイ・サックス著、春秋社、2013)というベートーヴェンにかんする研究書を訳し終えて数年たっており、新しい翻訳プロジェクトを物色していたところでした。さっそく本書を取り寄せて読んでみたところ、若い音楽家たち向けのキャリア・ハンドブックという、それまで訳してきた本とは毛色の違う内容に惹かれ、お引き受けすることになったのです。
本書の著者のひとり、ベルンハルト・ケレスさんは、ウィーン・コンツェルトハウスの運営にイノヴェーションを巻き起こした人でした。本書でも語っていますが、オペラ歌手としての経験を経たのちテクノロジー業界に転身し、その両方の経験を活かして2007年に同ホールのCEO兼芸術監督に就任しました。彼がビジネス界に学び音楽界に導入した新基軸に対しては、ウィーンの保守的な聴衆からはすくなからず抵抗もあったでしょうけれど、本書の端々から、在任中にクラシック音楽界の因習を廃し、最新のテクノロジーを導入しつつ世紀にふさわしい組織を作り上げようとしたことが推察できます。彼のきわめて実践的なアドバイスは、そうした現場の経験と視点にもとづいているのです。
ケレスさんはオーストリア人、また共著のメーネさんはドイツ人ですが、本書は彼らの母語であるドイツ語ではなく、英語で書かれています。それは彼らが本書を世界中の若手音楽家に向けて執筆したからです。たしかにヨーロッパと日本のクラシック界のあいだには制度や慣習の違いが少なからずありますが、翻訳にあたってはそうした点を日本向けに変更せず、あえてグローバル・スタンダードとしてそのまま訳出しました。本書を手に取ってくださった音楽家のみなさんには、ぜひ21世紀に生きる音楽家としてグローバルな視点をもち、クリエイティヴに行動してほしいと強く願っています。現在、世界は新型コロナウィルスの感染拡大という苦境に直面していますが、まるでこうした危機を見通していたのではないかと思うほど先見性があり、私自身、読み返すたびに驚かされます。
最後になりましたが、日本語版の出版に興味をもってくださり、翻訳の過程でもつねに励ましてくださったアルテスパブリッシングの木村元さんに心から御礼を申し上げます。ちょうど第1稿が完成したタイミングで、日本では緊急事態宣言が発令され(私自身、この時期ちょうど一時帰国をしていて、そのままロンドンに戻れないでおりました)、出版はとうぶん無理だろうとあきらめていたのですが、むしろこういう時代だからこそ出しましょう、と決断してくださったのも木村さんでした。また監修を引き受けてくださった石田麻子さんには、アート・マネジメントの専門家としての見地から多くの貴重なご意見やアドバイスをいただき、たいへん感謝しております。こうした緊急事態の中、三人揃って対面で集うことはかないませんでしたが、Eメールやオンライン会議できわめてスムーズにコミュニケーションがとれたことも新たな発見でした。
本書が、音楽家としてのキャリアをめざす多くの人々にとって有用な手引きとなればさいわいです。
上記内容は本書刊行時のものです。