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自由になっていく
- 初版年月日
- 2013年5月
- 書店発売日
- 2013年5月1日
- 登録日
- 2013年3月9日
- 最終更新日
- 2014年6月26日
紹介
児童文学評論。シーリーズてらいんくの評論の1冊。
『銀の馬車』、『うそつきエミリー』『ねずみ女房』『黒ねこのおきゃくさま』『子鹿物語』 『愛のひだりがわ』
『秘密の花園』「ピーター・パン」『トムは真夜中の庭で』『百まいのドレス(百まいのきもの)』
『星の王子さま』など児童文学名作の解析。
14章で構成。作品、登場人物・ものについて解析、評論します。
★日本図書館協会選定図書
目次
1 信じて生きていく ―『銀の馬車』を読んで―
2 永遠の同伴者を求めて ―『うそつきエミリー』―
3 ネズミたちが語りかけるもの ―もう一つの世界に住むものたち―
4 想像する力と自由 ―『ねずみ女房』の獲得した力―
5 恩人から友だちへ ―『黒ねこのおきゃくさま』―
6 永遠を求めて ―リンドグレーンの作品世界から見えてきたもの― 〔前編〕
7 永遠を求めて ―リンドグレーンの中の「永遠の子ども」― 〔後編〕
8 自立した女性像をめざして ―ローリングズにとっての『子鹿物語』とは―
9 切断力と未来 ―筒井康隆・作『愛のひだりがわ』を読んで―
10 統合と再生の庭で ―バーネットにとって『秘密の花園』とは―
11 靄の中の二人 ―「ピーター・パン」はなぜ生まれたか―
12 わからない物語からわかる物語に ―フィリパ・ピアス作『トムは真夜中の庭で』を読む―
13 『人間の中に潜む負の性質』 ―『百まいのドレス(百まいのきもの)』を読んで―
14 新しい「王」になろうとした男 ―『星の王子さま』とその母体としての『城砦』を読んで―
前書きなど
一九九六年に小樽の絵本、児童文学研究センターに通い始め、次の年の一九九七年の六月に児童文学研究会「まほうのえんぴつ」に入会しました。その年の16号にセンターの募集に応募した短い評論に加筆して「信じて生きていく」を発表したのです。物語、絵本、詩をかく同人の多い中で初めから評論書きでした。
評論することの意味は一口では言えませんが、私は作品と読者の間に立って、両者に橋を架けることだと思っています。そして、その目的は作者にも読者にも、その作品の価値をより明らかにすることです。
評論の一つひとつは、その年々の私の収穫でもあります。私にはいつも何かを探しているという強い意識があり、それが一つの評論にまとまると一瞬心が安らぎます。でもそれは束の間で、すぐまた次の追求に駆り立てられるのです。この焦燥感がある限り、書き続けていくつもりです。評論を書くという作業を通して私は徐々に新しい感覚器官を発達させていったように思います。一番愛する作品である『ねずみ女房』の中で、ねずみ女房が手に入れたものは世界の中における自分の位置を知ることだったのではないでしょうか。自分だけの空間であり、それはまた私が自由になっていくための力ともなっていったのです。
追記
日本図書館協会選定図書
上記内容は本書刊行時のものです。