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知・情・意の神経心理学
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2008年9月
- 書店発売日
- 2008年9月25日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
<こころのかたちを捕える面白さ>
著者は、脳損傷から心の世界を考える神経心理学の第一人者。情とはなにか、知とはなにか、意とはなにか、また、それぞれは互いにどのように関わっているのか。これまで心理学でとりあげられなかった心の仕組みをめぐる根本問題に真っ向からいどむ。
こころの生成は感情を土台にして、知が立ち上がり、さらにこれらの感情や知を制御する意志が出現する。こうした階層構造は、人類の祖先の中枢神経系の進化に対応し、こころはこの長い進化の歴史を瞬時になぞる独特の現象である――。
神経心理学の第一人者が、脳損傷の豊富な臨床体験をベースに、こころの仕組みに迫るチャレンジングな試み。
目次
はじめに
第一章 なぜ「知情意」か
子規と漱石の「知情意」 スペンサーとベイン―― 子規と漱石の考えの源流
こころの研究の地図
第二章 情の話
一 感情研究の歴史
感情の定義 心理学者の感情理解
ヤスペルの感情とは ヘップの情動とは
ダマジオの感情と情動の違い
二 感情とは
主観的経験の原風景 カタチを可能にする
三 感情の種類
(一)情動性感情
「怒り」「悲しみ」 行動パターンから情動を考えたダーウィン
トカゲから人類にいたる情動進化 てんかんの夢幻状態と大脳辺縁系
大脳辺縁系起源の基本情動 顔面表情と情動性感情
(二)感覚性感情
感覚性感情とは何か クオリア経験
クオリアの融合――共感覚
(三)痛み――情動性感情と感覚性感情の接点
クオリアの代表選手 痛覚という未分化感情
(四)背景感情
経験の自己所属感 心理的秩序感情
第三章 知の話
一 知の範囲
はじめに意識の対象になる「何か」 カタチとして捉える
二 さまざまな心像
(一)知覚心像
視覚心像 聴覚心像
触覚・味覚・嗅覚 運動覚
(二)超知覚性心像
共通感覚 高次情報処理領域
髄鞘化 失認とは
ある男性の失認症例
(三)言語心像
他者と共有させる音韻心像 音韻心像の視覚化
言語記号以外のシルシの発明
(四)記憶心像
立ち上がる記憶心像 並外れた記憶能力の障害者
夢
三 知は心像世界を秩序化する働き
意識できない大量の心像 言語の魔術
第四章 意の話
一 意志とは
自分のこころを自覚的に制御する働き
二 意志と行動の区別
意志と願望の違い
三 意志は力
目的心像と感情の複合体
四 意志がかかわる心理過程
(一)注意
注意は意志そのもの
(二)思考
心像群に秩序を作りだす働き
(三)意志から運動へ
意志は筋肉を動かせない
(四)意志と反対意志
意志という働きの本質
五 意志生成の契機
(一)身体的契機
単なる本能ではない
(二)状況的契機
状況と意志生成 レルミット症候群
刺激への強迫的反応 道具の強迫的使用現象
状況生成性の意志と自己生成性の意志
(三)言語性契機
意志生成に重要な内言 性格が一変した前頭葉切除患者
六 未来へ
未来志向性感情
第五章 こころの章
情→知→意 意識・注意・意志
心像の性質 心像は瞬間的に立ち上がる
上記内容は本書刊行時のものです。