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ファストファッションはなぜ安い? 伊藤 和子(著) - コモンズ
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ファストファッションはなぜ安い?

発行:コモンズ
A5判
120ページ
並製
定価 1,500円+税
ISBN
978-4-86187-126-9
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年4月
書店発売日
登録日
2015年6月11日
最終更新日
2016年10月25日
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書評掲載情報

2016-09-15 POSSE(ポッセ)  32
2016-07-22 週刊読書人
評者: 岩本真一=同志社大学・大阪経済大学ほか非常勤講師・衣服産業史専攻
2016-06-26 読売新聞  朝刊
評者: 長島有里枝(写真家)

紹介

あなたの着る安い服は、アジアの少女たちの過酷な労働から生まれている!
バングラデシュの縫製工場が違法な建て増しで崩壊し、1100人が亡くなった。
中国のユニクロの下請け工場では、長時間労働や安い給料や劣悪な労働環境で労働者たちが働いている。
では、買うのを止めれば、問題は解決するのか?

目次

第1章
ファッション・レボリューション・デーに考える
1 ファッション産業を変える?!
2 下請け工場で何が起きているの?

第2章
ラナプラザの悲劇
1 バングラデシュでみたもの
2 労働者の声が反映されない
3 構造を変える

第3章
ユニクロの中国委託先工場の過酷な労働
1 なぜ中国、なぜユニクロ?
2 手法は潜入調査
3 調査報告書の公表
4 長時間労働と低い基本給
5 きわめて危険な労働環境
6 厳しい管理体制と罰則システム
7 代表者をもたない労働者
8 調査結果と勧告

第4章
カンボジアの縫製工場で何が起きていたのか
1 極端に安いカンボジアの最低賃金
2 縫製工場の労働者への聞き取り調査
3 厳しい条件で働く労働者たち
4 労働者の救済の役割を果たしていない救済機関
5 政府と国際フランドの責任

第5章
労働環境は改善したのか
・潜入調査報告書公表から一年
1 調査報告書の公表
2 ファーストリテイリング社の対応と改善策
3 改善は進んだのか
4 カンボジアの過酷な労働への国際ブランドの対応
5 私たちの求めること

第6章
企業に求められる人権への責任
1 企業の社会的責任
2 国連などが動きだした
3 大手アパレル企業の方針と行動

第7章
私たちにできること
1 ファッション産業は女性たちの夢をかなえるのか、それとも奪うのか
2 消費者には力がある

前書きなど

    あとがき

 21世紀、巨大な富と商品が毎日生み出されるめまぐるしい世界に私たちは生きています。でも、そんな世界で多くの人たちは幸せになったのでしょうか。
 本書では、世界中でファッション産業に関わる人たちが不幸になっている現状の一端に光をあてることができました。しかし、ファッション産業の原材料から小売りまで、すべてをたどり、裏側に潜入すれば、もっともっと大変な事実―一言で総称すれば人権侵害―が浮かび上がるのを、あなたは目撃することでしょう。
 そして、グローバリゼーションの負の影響が人びとにもたらした破壊的な損失は、本書だけではとても語りつくせません。ダイヤモンドや鉱物、カカオやエビなどの食料、コットン……。私たちが日ごろ親しんでいるモノたちがどれほどの涙や悲しみと「取引」されて、素敵なパッケージに包まれて手元にくるのか、それは想像を絶するものがあります。
 私たちの洋服、そして私たちを取り囲む商品のひとつひとつを「誰がどこで作っているのか。問題はないの?」という視点でトレースすれば、私たちは多くの現実を突き止めることができるでしょう。その現実を知り、伝え、「こんなことはフェアではない」と声をあげること、それは現状を変える大きな力になります。
 2015年の私たちのユニクロ・キャンペーンは日本の産業にも大きなショックをもたらし、ようやく日本の大企業のなかでも、人権に関する方針を採択し、サプライチェーン上の取り組みを強化する動きが出てきました。これは、多くの方が第3章で示した調査に衝撃を受け、調査報告書や報道などを拡散してくださった、「口コミの力」が企業を動かした結果と言えるでしょう。
 ただ、動きは始まったばかり。まだまだ日本の取り組みは世界に遅れています。企業の方々に言いたいのは、サプライチェーンのプロセスにおける人権保障の取り組みは、一過性のPRに使われるような上滑りのトレンドであってはならないということです。本当に、ごまかしのない誠実な取り組みが求められているし、途上国の犠牲の上に成り立っている利益構造も含めてきちんと見直すことが求められています。
 そして、そうした企業行動を後押しするために、もっともっと日本の市民やメディア、消費者の皆さんが敏感であってほしい、本書に綴った真実に関心を寄せ、日常的に考え、行動してほしい、と願わずにいられません。
 率直に言って、問題は大きすぎます。経済搾取の圧倒的な現実は私たちをときに無力にさせます。でも、私たち消費者こそが、社会を構成する人びとこそが、こうした人権侵害を生み出す構造を変える選択権を握っています。
 世界中で声をあげ始めた勇気ある人びととつながりながら、ひとつひとつ、私たちの力で解決を提案し、選択し、人間とその尊厳がもっと大切にされる未来をつくっていきませんか。
 最後に、本書に書かれたファッション産業の陰で起きていることを教えてくださったアジア地域の友人たち、キャンペーンに関わってくださっているすべての皆さま、本書の執筆でお世話になったすべての方に心より感謝して筆をおきます。

   2016年3月
伊藤和子 

版元から一言

ファッショニスタのあなたにこそかんがえてほしい。
ブランド商品をつくる裏側でおきていること。
あなたには世界を変える力があるから。

著者プロフィール

伊藤 和子  (イトウ カズコ)  (

弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長。
女性、子どもの権利、えん罪事件などを中心に活動し、国境を越えて世界の人権問題に取り組んでいる。
主著『人権は国境を越えて』岩波ジュニア新書、2013年。

上記内容は本書刊行時のものです。