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疎開生活絵巻 石田 米子(著) - 吉備人出版
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疎開生活絵巻

発行:吉備人出版
A4変型判
縦210mm 横298mm 厚さ7mm
76ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-86069-443-2
Cコード
C0721
一般 絵本 日本歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年8月
書店発売日
登録日
2015年7月14日
最終更新日
2015年8月24日
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紹介

戦後間もない昭和20年の10月、新潟県で疎開生活を送っていた少女は、先生のすすめのまま当時の暮らしぶりを絵に描きました。そこには、空腹や下痢、シラミに悩まされながらもたくましく日々を生きる10歳の少女の姿と時代と人々の暮らしに対する感性がにじみ出ています。
戦後70年を経て、偶然にも段ボール箱の奥から私たちの前に現れたこの絵巻は、同時代を過ごした人々には懐かしく、そして当時を知らない世代にとっては貴重な資料です。
私たちは、絵本(絵巻)を通して、少女に映った戦中・戦後の疎開生活を追体験できるのです。

前書きなど

「ここに描かれているのが10歳の石田米子という少女の目を通して見たあの時代の「集団学童疎開生活」の実相です。都会育ちの好奇心あふれる女の子には田舎の祭りや遊びや野山の動植物は大いにその感性を刺激したでしょうし、親の保護を離れた幼子には疎開先の大人や世話をする先生は大切な人であると共に怖い存在でもあったでしょう。食料難でろくな食べ物を食べさせてもらえなかった子供にはそれまでに食べた思い出の食べ物の数々は脳裏に焼き付いていたことが良く分かります。敗戦をどう受け止めるか大人たちの複雑な心境は少女の心にも厳粛なものとして投影したことでしょう。この絵巻によってあの時代の子供たちの生活や心情をリアルに知ることができました。そこにはまた戦争という時代が刻印されています。
 戦後70年、この年に現政権は、[専守防衛]という枠を飛び出す政策を選択しました。しかも憲法違反であるという圧倒的多数の憲法学者の見解を蔑ろにし、平和国家であり続けようという国民の多くの意見を無視して強行しました。
 この絵巻が現在と未来の子供たちにとって戦争について真剣に向き合うきっかけになればこんなにうれしいことはありません」(「学童疎開絵巻」発刊委員会 代表・奥津亘)

版元から一言

「この「絵巻」も人に見せることを考えたことはなく、しかし私のその後の70年間の何回もの引っ越しや不要なものの処分の中で、このまとまった絵は捨てられず、存在を記憶だけしてきました。この絵の存在を思い出して、手放せない本や記録の重い段ボールの山のまたその底からやっと“掘り出した”のは、はじめて自分自身の経験した戦争の話をすることになったからでした。」「基本的人権」とか「民主主義」のことばが、子どもから大人に変わりつつある自分に新鮮に吸い込まれて行きました。日本がその盟主だと思っていたアジアでは民族独立と革命が進展し、私の魂を揺さぶっていました。私のその後70年の人生は、この「戦後」とともに始まったと思います。
いま、心の底から思うことは、戦争という殺人・破壊は、子どもにとっても人びとにとっても、どこからそういう事態に自分が巻き込まれたのかわからない日常の連続の中で起こること、どんな戦争の時代にも人びとや子どものいきいきした日常はあるけれど、その自分の日常だけからは見えない、想像できない他者の命や生活の破壊を、戦争ほど大量に無残に生みだすものはないということ、です。
この拙い子どもの絵が、みなさんが戦争というものに、いま、真剣に向きあい、どんなことでも語り始めるきっかけになればと思います。
(石田米子「この『疎開生活絵巻』を見て下さるみなさまへ」より抜粋)

著者プロフィール

石田 米子  (イシダ ヨネコ)  (

1935年4月東京で生まれ。1945年3月東京大空襲の後新潟県に集団疎開し、敗戦後東京に戻る。中国・アジアの変革に関心を持ち、大学に進学して東洋史を専攻。以後現在に至るまで研究対象は主に中国近・現代史。1980年岡山大学文学部(東洋史)の教員となり、東京から岡山に移住。2001年定年退職後、現在も岡山市北区に定住。岡山大学名誉教授。岡山に来てから市民としてたずさわった問題には、在日外国人の指紋押捺問題や住民権の問題、女性差別や民族差別などの差別の問題、日本軍性暴力(「慰安婦」・戦時性暴力)被害者を支援する活動などがあり、岡山の多くの市民や女性たちと支えあう関係をつくっている。
1996年秋から、かつて日本軍に占領された中国山西省の村の女性たちの被害の聞き取りに年2回村に通い、支援と調査研究の活動は今も続けている。戦争にかかわる共著に『黄土の村の性暴力――大娘たちの戦争は終わらない』(創土社、2004、山川菊栄賞受賞)、『ある日本兵の二つの戦場――近藤一の終わらない戦争』(社会評論社、2005)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。