版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊 ラノベ
ぼくが映画ファンだった頃 和田 誠(著) - 七つ森書館
.

ぼくが映画ファンだった頃

発行:七つ森書館
A5判
256ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-8228-1523-3
Cコード
C0074
一般 単行本 演劇・映画
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年2月
書店発売日
登録日
2014年12月16日
最終更新日
2015年2月24日
このエントリーをはてなブックマークに追加

書評掲載情報

2015-12-27 朝日新聞
評者: 細野晴臣(音楽家)
2015-04-05 朝日新聞
評者: 細野晴臣(音楽家)
2015-03-15 産經新聞
2015-03-08 毎日新聞

紹介

ハリウッドのロゴマークの変遷を熱く論じたり、映画のタイトルデザインの優劣を競ったり……和田誠さんが少年時代に見た1940~50年代の映画を中心に、タイトル論、ポスター論、追悼を兼ねた監督論に俳優論など、ストーリーだけでは語れない映画の細部を論じた映画コラム集です。三谷幸喜やジェイムズ・ステュアートとの対談も収録しました。

目次

1  個人史の中の映画
    新橋の虹
    ライオンは三度吼え、山に二十四の星光る
    タイトルとワクワク
    極私的映画ポスター史
    総天然色映画
    人生の三冊・小説を映画にする時

2  雑学的映画ばなし
    映画と伏線
    視界の中のマザーグース
    コルドヴァのゆくえ
    洋画と邦題
    アメリカ映画の「2」
    日本映画とジャズ

3  この一本
    「ジョルスン物語」──映画と実録
    「オーシャンと11人の仲間」
    「北北西に進路を取れ」
    「7人の愚連隊」
    「翼よ! あれが巴里の灯だ」
    「キス・ミー・ケイト」──映画と舞台
    ついに観た幻の3D
    「椿三十郎」
    「ザッツ・エンタテインメント」──観客を楽しませることの本質
    「運命の饗宴」
    「E. T.」──スピルバーグは映画少年だったのだろう

4  追悼
    ビリー・ワイルダー
    アドルフ・グリーン
    ボブ・ホープ
    ヘンリイ・フォンダ
    ジュディス・アンダースン
    フレッド・アステア
    アルフレッド・ヒチコック
    サミイ・デイヴィス・ジュニア
    若山富三郎さん
    野口久光さん
    阿佐田さんと色川さんと
    双葉十三郎さん
    安藤庄平さん
    篠田昇さん
    冨田功さん

5  対談二席
    ビリー・ワイルダーをめぐって 三谷幸喜&和田誠
    ステュアートさんにきく ジェイムズ・ステュアート&和田誠

6  監督
    外国映画を自分のものにする作風──山中貞雄監督
    クロサワごっこ──黒澤明監督
    市川崑監督が僕に語ってくれたこと

あとがき

前書きなど

まえがき

 『ぼくが映画ファンだった頃』……変な題名をつけてしまいました。「もう映画は観ないのか」と言われそうですが、ほとんど毎晩DVDで映画を一本か二本観ています。「映画ファン」ではなくなっても「映画好き」は持続しているんです。
 往年の映画ファン(ぼくもその一人)は、映画雑誌を定期購読し、その中の新作映画情報に胸ときめかせ、封切りの日に映画館に駆けつけたものでした。
 あの頃はどこの町にも映画館があって、家から歩いて映画を観に行くのが日常茶飯事のような人がたくさんいました。
 ぼくが家から歩いて行った映画館は三軒。A館はアメリカ映画(たまにヨーロッパ映画)専門、B館は日本映画専門、C館は名画と謳われた戦前のヨーロッパ映画を深夜に観せてくれる。ぼくはA館で「家路」「黄色いリボン」など、B館で「生きる」「ゴジラ」など、C館で「商船テナシチー」「モンパルナスの夜」などを観ました。三軒めぐり歩けば観たい作品がほとんど観られたのですが、やがてA館はスポーツジムになり、B館は大型の食料品市場になり、C館はボーリング場になってしまいました。そんなわけで観る映画の本数が激減。
 当時の映画館は、ふらりと出かけて窓口に入館料を出せばチケットを渡してくれる。今は様子が変わって窓口あたりには機械が並んでいて、あちこちボタンを押したりしないとチケットが手に入りません。ぼくは今や老人の域に突入しているので、そんな新しいシステムは手に負えなくて映画館に行かなくなってしまった。映画ファンであることを放棄したようなものです。
 さかのぼって考えると、ぼくは小学生の頃に「チャップリンの黄金狂時代」「鉄腕ターザン」「ロビンフッドの冒険」を観て映画に興味を持ち、小学校卒業から中学に入る期間にジュールス・ダッシンの「裸の町」を観て興味が深まり、中学生でジョン・ヒューストンの「黄金」を観て興味はさらに深まり、その上に「映画って何て素晴らしいんだろう」と思ったんです、子どものくせに。
 それがぼくの映画ファン時代の始まりで、高校、大学に進むにつれて、観る映画の本数がどんどん増えてゆきました。
 学生時代は同級生たちと映画を観に行くことが多く、帰りに歩きながら今観た映画についてあれこれしゃべるのが楽しかったし、ついでに喫茶店に入って話の続きをするのも面白かった。
 話題は「誰々の拳銃の抜き方がカッコよかった」とか「色っぽいあの女優の名前は何ていうんだ」とか「誰々が言ったセリフの意味わかるか」とか「あの監督は、ほかにも何々を作ってるんだよな」とか、そんな他愛もないことばかりだったけれど、あの頃の会話がいつのまにか頭にインプットされていて、ずっと後に映画に関する文章を書くようになってから当時の会話が役に立つこともありました。
 大学は美術学校の図案科(今ならデザイン科)だったので、デザインとイラストレーションの基本が少し身につき、それが卒業して社会人になってから映画のポスターや映画雑誌の挿絵などを依頼されるきっかけになったようです。同じように映画関係の文章を書くことも少しずつ多くなってゆきました。
 最近になってスクラップブックを開いてみたら、(二席の対談は別ですが)映画関係の原稿をかなりたくさん書いていたことに気がついたんです。どれもぼくが映画ファンだった頃に書いたものです。
 それぞれコピーをとって並べてみると本になりそうな気がして、コピーの束を七つ森書館の上原昌弘さんにお目にかけました。
 押しつけたわけではないけれど、上原さんは乗ってくださって、この本が出来ました。
 以上がおかしな題名の由来です。

著者プロフィール

和田 誠  (ワダ マコト)  (

1936年大阪生まれ。多摩美術大学卒業。デザイナー、イラストレーター、エッセイスト、映画監督。デザイナーとしてはたばこ「ハイライト」のパッケージ・デザイン、イラストレーターとしては「週刊文春」の表紙、エッセイストとしては『お楽しみはこれからだ』などの映画に関わるエッセイで知られる。また、映画監督としては『麻雀放浪記』と『快盗ルビイ』で、それぞれ報知映画賞新人賞とブルーリボン賞を受賞した。そのほか、文藝春秋漫画賞、講談社出版文化賞、講談社エッセイ賞、菊池寛賞などの受賞歴がある。近著に『聞いたり聞かれたり』『ほんの数行』(ともに七つ森書館)、『ニャンコトリロジー』(河出書房新社)、『Book Covers in Wadaland』(アルテスパブリッシング)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。