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菅直人「原発ゼロ」の決意 菅 直人(著) - 七つ森書館
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菅直人「原発ゼロ」の決意 元総理が語る福島原発事故の真実

発行:七つ森書館
四六判
224ページ
並製
定価 1,400円+税
ISBN
978-4-8228-1495-3
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年2月
書店発売日
登録日
2013年12月19日
最終更新日
2015年1月29日
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紹介

3.11の首相として、語り部を続けるのが天命だ。
事故は起きないことになっていた──。あわや250キロ圏5000万人の避難、国家存亡の危機に。
日本社会の病根を照らし出した福島原発事故。地獄を見た内閣総理大臣がたどりついたのは、最も安全な原発は原発に依存しないこと、つまり脱原発の実現であった。「人間と放射性物質を生み出す原発は共存できない」と語る菅直人の、脱原発の決意。

目次

はじめに

第1章 脱原発の決意
  あの日、何が起きていたのか
  専門家なき専門家集団
  五時間後のメルトダウン
  水素爆発、次々と
  事故は起きないという前提
  最悪のシナリオ
  再生エネルギーの固定価格買取制度
  自然エネルギーの躍進
  水素燃料電池の可能性
  原子力大国アメリカ
  世界のエネルギー事情
  台湾の四・五・六運動
  使用済み燃料最終処分施設「オンカロ」
  暫定的安全基準
  NPTと青森県
  原子力ムラの圧力
   *脱原発ロードマップ 第一次提言
   *エコカンハウス
   *農地でソーラーシェアリング
   *難行するバイオマス活用
 
第2章 3・11の首相として語ることが、私の天命
  菅直人は日本を救ったのか否か
  神の御加護
  格納容器に穴が開く
  四号機核燃料用プール
  金勘定のまやかし
  英国原子力廃止措置機関
  メガバンクの融資
  最小不幸社会
  東電撤退問題
  「考えるな」ということ
  お門違いの「現場介入」
  政府・東電統合対策本部の設置
  「武器が足りません」
  官邸を支えた人びと
  海水注入と三つの誤報
   *バイオマス利用とメタン発酵
   *ロシアと天然ガスと東アジア・スマートグリッド
   *自然エネルギーを阻む原発

第3章 日本の病根を照らし出す 「国会事故調査委員会議事録」より
  最大の責任は国に
  災害対策本部長として
  避難区域の設定
  福島第一原発視察
  オフサイトセンター
  海水注入
  東電撤退問題
  原子力災害対策措置法
  国策としての原子力政策
  セカンドオピニオン
  情報伝達機能の不全
  政府・東電統合対策本部
  助言チーム
  アメリカの技術支援
  協力体制の構築
  国民への発信
  事態の予測と伝達
  年間二十ミリシーベルト
  ターンキー契約
  トランスサイエンス
  事故の教訓

はるか先を見すえて

前書きなど

語り部として 

 人には絶対に忘れられない出来事があります。私にとっては、二〇一一年三月一一日の東日本大震災と同時に起きた福島第一原子力発電所事故がそれです。私が総理の時に起きた福島原発事故は日本の存亡にかかわる最大級の危機であり、今もなお危機は継続しています。事故発生から数日のことをあらためて思い起こし、その後明らかになった当時の原子炉の状況と突き合せてみると、今でも身の毛がよだちます。
 事故の拡大は当時の認識以上に早く、地震発生からわずか四時間後、午後七時には東日本を中心に、国土の三分の一の領土が放射能で「占領」される危機が迫っていたことが分かっています。この事実を忘れてはなりません。まず、三月一一日の午後七時ごろには福島原発一号機の原子炉圧力容器内の水が蒸発して無くなり、核燃料が溶融するメルトダウンを起こしました。引き続いて溶融した核燃料は厚さ二〇センチの圧力容器の底を溶かして穴を開け、圧力容器の外に溶融した核燃料が流れ出るという世界で初めてのメルトスルー事故となりました。流れ出た核燃料が圧力容器を包み込むように設けられている格納容器の外まで出ていれば、東京を含む東日本は何十年も人が住めなくなる最悪の事態となっていました。事故対策マニュアルにない消防ポンプによる圧力容器への注水が、底部の穴を通して格納容器の底にたまった溶けた核燃料の上に降り注いだ結果、核燃料が冷えて固まり、かろうじて格納容器内に留まったことによって、最悪の事態は避けられました。
 しかし、その後も事故は拡大し、一一日の地震発生から一五日までのわずか一〇〇時間の間に一号機、二号機、三号機のメルトダウン、メルトスルーさらに一、三、四号機の水素爆発、二号機の破損と続き、さらに四号機横の使用済み燃料プールの水が無くなることによるメルトダウンの危機も重なりました。事故現場の人々の本当に命がけの努力と、それに加えて、いくつかの幸運な偶然という「神のご加護」があって、紙一重で東京を含む五〇〇〇万人の避難が必要となる最悪の事態は回避されました。
 このような歴史上最も過酷な福島原発事故を日本人は全員で体験しました。私は総理として福島原発事故に直面し、その渦中に身を置き、日本という国が成り立たなくなるという、本当の意味での恐怖を感じました。その思いは今も変わることなく私の体の中にとどまっています。
 福島原発事故が発生して三年近くが経過した今も、多くの人々が避難生活を余儀なくされており、福島原発事故自体も汚染水の拡大など、終息には程遠い状態です。多くの人は福島原発事故を忘れてはいません。しかし、政治家や大企業経営者のかなりの人たちが、福島原発事故が存在しなかったかのような発言をし、原発再稼働や新設に向けて動き出しています。私には全く理解できません。目の前の経済的利益を考えて、将来に大きな禍根を残そうとしているとしか思えません。戦争にしろ、原発事故にしろ、忘れることが再度惨禍を引き起こすことにつながることを歴史は教えています。
 総理を退任してから、国内はもとより、アメリカ、台湾など各地で当時の体験を話しています。それはあの原発事故に総理として直面した私の「語り部」としての義務だと考えたからです。多くの人と福島原発事故の体験を共有し、二度と原発事故を起こさないためには「原発ゼロ」しかないということを伝えたいからです。
 この本は私の原発事故体験、原発ゼロへの取り組み、自然エネルギー拡大などに関する講演をまとめたものです。それに、公開の席で行われた国会事故調査委員会の私に対する質疑の議事録もそのまま載せました。私に対してかなり厳しい質問が続きましたが、内容をよく読んでいただければ、やり取りの中から客観的な事実が見えてくると思います。
 福島原発事故を忘れないこと、それが原発ゼロへの出発点です。
 今回の出版でも、長年の友人、中川右介君にはお世話になりました。ありがとう。そして、いろいろ協力してくれる妻・伸子にも感謝。

  二〇一四年二月一日   菅 直人

著者プロフィール

菅 直人  (カン ナオト)  (

1946年、山口県生まれ。第94代内閣総理大臣。東京工業大学理学部応用物理学科卒業。衆議院議員、弁理士。96年、第一次橋本内閣の厚生大臣を務め、薬害エイズ問題を徹底究明、被害者に厚生大臣として謝罪。民主党代表、政調会長、幹事長を歴任。鳩山内閣で副総理、国家戦略担当大臣、財務大臣。著書に、『大臣』(岩波新書)、『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』(幻冬舎新書)などある。

上記内容は本書刊行時のものです。