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わたしのミステリー 逢坂 剛(著) - 七つ森書館
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わたしのミステリー

発行:七つ森書館
四六判
216ページ
並製
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-8228-1407-6
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年7月
書店発売日
登録日
2014年6月21日
最終更新日
2015年1月29日
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紹介

「私は、ハメットからもチャンドラーからも、多くのものを学んだ。乱暴な分け方をすれば、若いころから三人称の小説はハメットを意識し、一人称の小説はチャンドラーを意識しながら書いてきた」(「ハメットとチャンドラー」より)
 2014年に日本ミステリー文学大賞を受賞し、さらに活躍を続ける直木賞作家の逢坂剛。史上最高のミステリーは何かを論じ、警察小説の必読書をガイドするなど、逢坂ファン垂涎のエッセイや書評を収める。巻末には作家の大沢在昌、今野敏、評論家の小鷹信光、哲学者の木田元との対談も収録。

目次

はじめに 

第1章 海外ミステリーの醍醐味
     ハメットとチャンドラー 
     何と言ってもグレアム・グリーン 
     再読、三読に堪える翻訳ミステリー 
     今こそ必読の海外警察小説ベスト20 
     わたしのミステリー・オールタイム・ベスト10 
       *
     小鷹信光『アメリカ・ハードボイルド紀行』 
     諏訪部浩一『「マルタの鷹」講義』 
     石上三登志『名探偵たちのユートピア』 
     ロバート・バー『ウジェーヌ・ヴァルモンの勝利』 
     ジョルジュ・シムノン『ブーベ氏の埋葬』
     J・B・プリーストリー『夜の来訪者』 
     ジャック・リッチー『クライム・マシン』 
     ロブ・ホワイト『マデックの罠』 
     ジェフリー・ディーヴァー『クリスマス・プレゼント』 
     ジョン・ハート『ラスト・チャイルド』 

第2章 日本ミステリーの本領 
     乱歩のことども 
     ルパン対明智小五郎 
     捨てる神あれば… 
     マノ 雨野よ、永遠に 
     「オール讀物」とわたし 
     イオリンの恐ろしさ 
     藤原伊織氏の死を悼む 
     佐野洋氏を偲ぶ 
     クリヴィツキーが残したもの 
       *
     佐々木譲『制服捜査』 
     柴田よしき『桃色東京塔』 
     津島稜『封印 警官汚職』 
     大沢在昌『絆回廊 新宿鮫X』 
     佐々木譲『密売人』 
     由良秀之『司法記者』 
     柚月裕子『検事の本懐』 
     伊集院静『星月夜』 
     横山秀夫『64(ロクヨン)』 
     山平重樹『裁かれるのは我なり』 
     楡周平『再生巨流』 
     藤原伊織『シリウスの道』  
     池井戸潤『ロスジェネの逆襲』 
     池井戸潤『下町ロケット』 
     楡周平『修羅の宴』 
     貫井徳郎『微笑む人』 
     乃南アサ『風の墓碑銘(エピタフ)』 
     高殿円『トッカン 特別国税徴収官』 
     壇上志保『ガラスの煉獄』 
     川瀬七緒『147ヘルツの警鐘』 
     蓮見圭一『別れの時まで』 
     藤岡陽子『トライアウト』 
     誉田哲也『ジウ』 
     奥田英朗『沈黙の町で』 
     横関大『再会』 
     深山亮『読めない遺言書』 
     帚木蓬生『受命』 
     柴田哲孝『GEQ』 
     熊谷達也『銀狼王』 
     西澤保彦『赤い糸の呻き』 
     北方謙三『抱影』 
     深水黎一郎『人間の尊厳と八〇〇メートル』 
     原田マハ『楽園のカンヴァス』 
     誉田哲也『あなたが愛した記憶』 
     高城高『夜明け遠き街よ』
     玖村まゆみ『凸凹サバンナ』 

第3章 ミステリーの読みごたえ 
     対決! ルパンVS.ホームズ/大沢在昌 
     翻訳ミステリー対談/小鷹信光 
     哲学とミステリーの不思議な関係/木田元 
     警察小説よ、どこへゆく/今野敏 

前書きなど

はじめに

 エンタテインメント系の作家としては、エッセイ(というか雑文)の数が多い方だ、と思う。それには、いくつか理由がある。
 まず、本好きが高じて神田神保町に仕事場を構えたため、新刊古書を問わず書店や書籍の話題に、囲まれていること。加えて、神保町が本の町であると同時に、バラエティ豊かな食の町でもあるため、周囲に食べ物の噂が絶えないこと。
 さらに、若いころから草野球やギター、フラメンコ、映画、将棋など、小説執筆以外にいろいろなものに熱中し、それが単なる趣味を超えて現在まで、続いていること。
 こうした事情で、興味を引かれる話題に事欠かないことが、雑文の多い最大の理由だと思う。もっとも、格調高い専門のエッセイストではないから、人間の隠れた心理を洞察するとか、人生の機微を描き出してみせるとかいう、高尚なエッセイには縁がない。いわば、コーヒーを飲みながら雑談する読者諸氏に、話の種になるようなエピソードを提供する、といった体のものにすぎない。
 本書には、主としてミステリーに関する雑文、内外のミステリー系の小説の書評、ミステリーをテーマにした対談を、収録した。わたしの、ミステリーに対する考え方や見方、あるいは好き嫌いなどがあからさまに、出ていると思う。
 現役の作家は、自分の小説のための取材、資料の読み込みに忙しく、ひとさまの小説を読んでいる暇が、ほとんどない。したがって、コンスタントに新刊本に目を配り、おもしろい本を見つけて取り上げる、という書評の仕事はかなりきついものがある。ことに、新聞の書評委員を頼まれたときなど、どうしようかと悩むことが多い。それでも、もともと読書が好きで作家になったわけで、そうでもしなければますます読書量がへるから、それを食い止めるために引き受ける、ということになる。
 読んだ本のブンガク的、ガクシュツ的価値をうんぬんするのは、わたしの任ではない。わたしの読書の評価基準は、おもしろいかおもしろくないかの、二つに一つに尽きる。むろん、おもしろいという評価の中には、笑えるとか泣けるとかぎょっとするとか、知的刺激を受けたとか勉強になったとか、いろいろな要素が含まれる。ともかく、読んで損はなかったと思えるかどうかが、最大のポイントになる。
 その意味で、わたしはおもしろい本を発見し、紹介するという点については、いささか自信がある。まあ、中にはお口に合わないという読者も、おられると思う。そのときはおあいにくさま、ごめんなさいと謝るしかない。また、好みがかたよっているとのご意見も、当然あるだろう。しかし、そもそもかたよらないような好みなど、あるはずがないのだ。
 長いあいだ物書きを続けていると、同じテーマの雑文を二度、三度と書いてしまうことも、ないではない。収録するとき、テーマが重なるものはできるだけ、避けたつもりである。しかし同じテーマを書いても、底に流れる微妙なニュアンスの変化が、時の推移を正直に伝えることがある。そうした場合は、繰り返しになることをいとわず、そのまま残した。
 本書を手に取った読者のみなさんには、あくまでわたしの好みを知ることで、読書の楽しみを見つけていただきたい、と切望する。

版元から一言

逢坂剛の独善的ミステリー好き嫌い読本!

著者プロフィール

逢坂 剛  (オオサカ ゴウ)  (

1943年生まれ。中央大学法学部卒業後、博報堂に勤務しながら小説を執筆。『カディスの赤い星』で1986年に直木賞、87年に日本推理作家協会賞を受賞。2014年、日本ミステリー文学大賞受賞。〈百舌シリーズ〉〈岡坂神策シリーズ〉〈禿鷹シリーズ〉〈御茶ノ水警察署シリーズ〉〈イベリア・シリーズ〉などのミステリーや現代史のシリーズ作品がある。『さらば愛しきサスペンス映画』『ハードボイルド徹底考証読本』『わが恋せし女優たち』(いずれも七つ森書館)などの対談集もある。

上記内容は本書刊行時のものです。