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国家と音楽家 中川 右介(著) - 七つ森書館
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国家と音楽家

発行:七つ森書館
四六判
376ページ
上製
定価 2,800円+税
ISBN
978-4-8228-1386-4
Cコード
C0073
一般 単行本 音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年10月
書店発売日
登録日
2013年8月28日
最終更新日
2013年10月11日
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書評掲載情報

2013-12-29 毎日新聞
2013-12-15 東京新聞/中日新聞
評者: 堀内修(音楽評論家)
2013-11-10 日本経済新聞

紹介

ヒトラーに翻弄されたフルトヴェングラーとカラヤン、ムッソリーニに抵抗したトスカニーニ、スターリンに死の寸前まで追い詰められたショスタコーヴィチ――権力者と直面した音楽家たちの人生を描く、もうひとつの20世紀史。その時、何が奏でられたのか。戦争と革命を生きた音楽家たちが織り成す歴史ドラマ。

目次

はじめに 

第1章 独裁者に愛された音楽 
     ヒトラー政権
     ドイツを去った音楽家たち 
     フルトヴェングラーの抵抗 
     ヒトラーの誕生日をめぐる駆け引き 
     ナチ党員・カラヤン 
     バイロイトとの蜜月と軋轢 
     神々の黄昏 

第2章 ファシズムと闘った指揮者 
     スカラ座の独裁者 
     トスカニーニ、ニューヨークへ 
     トスカニーニとムッソリーニ 
     《トゥーランドット》世界初演をめぐって 
     バイロイト音楽祭 
     ファシストとの全面対決 
     パレスティナへ 
     ザルツブルクでの対決 
     ザルツブルクとの訣別 
     ルツェルンへの結集 

第3章 沈黙したチェロ奏者 
     修行時代とスペイン王家 
     第一次世界大戦 
     国王との対決 
     生涯最高の日の「第九」 
     クーデターと幻の「第九」 
     内戦と名演 
     亡命生活 
     復帰と沈黙 
     国連、ホワイトハウスへ 
     「第九」が歌われた日 

第4章 占領下の音楽家たち 
     天才ピアニスト
     コルトーの第一次世界大戦
     二つの祖国を持つ音楽家
     音楽がもたらした仏独の和解 
     ミュンシュ、指揮者になる 
     パリ陥落 
     占領下の音楽 
     パリ解放 
     戦後
     パリ管弦楽団 

第5章 大粛清をくぐり抜けた作曲家 
     一九一七年の作られた伝説
     栄光の日々 
     大粛清の序曲 
     失脚 
     復権 
     国歌をめぐる一幕 
     第二の危機 
     スターリンの死と交響曲第十番 
     カラヤンとの一期一会  

第6章 亡命ピアニストの系譜 
     ショパンの絶望 
     亡命者ショパン 
     パデレフスキの野心 
     首相になったピアニスト 
     パデレフスキの短い栄光 
     ルービンシュタインのパスポート 
     サンフランシスコでのポーランド国歌 
     ドイツへの敵意 
     ソ連との和解 

第7章 プラハの春
     チョコの独立とスメタナ 
     チェコ・フィルハーモニー 
     独立と首席指揮者ターリヒ 
     平和の終わり 
     ドイツ占領下の《我が祖国》 
     「プラハの春」音楽祭の始まり 
     一九六八年 
     ビロード革命 
     帰ってきた亡命者 
     守られた約束 

第8章 アメリカ大統領が最も恐れた男 
     対立候補にしたくない人間 
     アメリカの若き二人の英雄 
     雌伏の日々 
     赤狩り 
     頂点への道 
     アメリカ代表としてのバーンスタイン 
     若き大統領の誕生 
     政権交代の果実
     大統領との緊張
     二度の追悼コンサート
     世界を飛び回る指揮者にして平和運動家
     ニクソンとの対決
     物議を醸すスピーチ
     抗議の勲章辞退

エピローグ 禁じられた音楽
       カラヤン抜きで
       アンコールはワーグナー
       ワイマールの若者たち
       ラマラでのコンサート
       バイロイトでのコンサート

あとがき

参考文献 
CD一覧
略年表&索引 

前書きなど

はじめに

 この本は、音楽史に刻まれている大音楽家たちが、二十世紀という革命と戦争の時代に国家とどう対峙したかを描く、歴史読み物である。

 国家と音楽家――本来ならば対峙するものではない。だが、二十世紀という「戦争と革命の世紀」は多くの音楽家を国家と対峙せざるを得ない局面に追い込んだ。
 ある者は妥協した。ある者は屈服した。ある者は対立を避けて国外へ出た。闘い抜いた人もいるし、死の一歩手前にあった人もいれば、故国喪失者となった者もいる。
 「音楽に国境はない」と言われるが、そんな能天気なことは平和な時代だから言える。少なくとも、音楽家には国境がある。

 登場する国家は、ドイツ、イタリア、スペイン、フランス、ソ連、ポーランド、チェコ、アメリカ、そしてイスラエルの九カ国だ。独裁国家もあれば、自由と民主主義の国もあれば、社会主義国もある。
 登場する政治家は大物としてはヒトラー、ムッソリーニ、フランコ、スターリン、ケネディ、ニクソンで、彼らと対峙する音楽家として、フルトヴェングラー、カラヤン、トスカニーニ、カザルス、ショスタコーヴィチ、クーベリック、コルトー、ミュンシュ、ルービンシュタイン、バーンスタインたちが登場する。
 現代史や政治に詳しい方は、よく知っている人物や事件に、これほどまでに音楽家が関与していたのかと驚くかもしれない。その逆に、音楽について詳しい方は、音楽家たちがこれほどまでに政治に深く関わり翻弄されていたのかと驚くかもしれない。
 「音楽家から見た現代史」であり、「現代史の中の音楽家像」を描いたものだ。

 記述にあたっては、いつ・どこで・だれが・なにを・したについては、当然のことながら、一切、創作はない。だが、学術書ではないのでひとつひとつの情報の出典は記さず、巻末に参考資料一覧を載せた。また文中で触れた演奏会で録音されているものは、註番号を付け、巻末に紹介した。
 二十一世紀初頭―ナチ政権崩壊から七十年近くが過ぎ、ソ連崩壊からも二十年以上が過ぎた時点から、半世紀以上前の出来事、人物を批判することは、あまり意味はない。状況が違いすぎる。したがって、事実のみを記し、それぞれの音楽家たちの言動への評価は読み手に委ねたい。そのための材料を提供する。

著者プロフィール

中川 右介  (ナカガワ ユウスケ)  (

1960年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。「クラシックジャーナル」編集長。膨大な資料から埋もれた史実を発掘し、新たな歴史を構築する執筆スタイルで人気を博す。 著書に『カラヤンとフルトヴェングラー』『カラヤン帝国興亡史』『昭和45年11月25日』(以上、幻冬舎新書)、『巨匠たちのラストコンサート』(文春新書)、『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『クラシック音楽の歴史』『不滅の名作ミステリへの招待』(以上、七つ森書館)など多数。

上記内容は本書刊行時のものです。