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自然エネルギー白書2013 環境エネルギー政策研究所(編) - 七つ森書館
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自然エネルギー白書2013

発行:七つ森書館
A5判
320ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-8228-1372-7
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年5月
書店発売日
登録日
2013年4月9日
最終更新日
2013年5月10日
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書評掲載情報

2013-06-16 朝日新聞

紹介

太陽光に限定しない自然エネルギーの固定価格買取(FIT)制度の詳細が決定し、日本における自然エネルギーの本格的な導入は目前に迫っています。
状況の変化に伴い、今年度版の『白書』は昨年よりも48ページ増、図表は17点増。太陽光、風力、地熱、小水力、バイオマス、太陽熱など各分野の専門家が、カラー口絵4ページ、図表105点とともにくわしく解説し、提言を行っています。またFIT制度については特に第2章で詳しく解説しました。
 環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長の飯田哲也さんは「長く一部の人たちに独占されてきたエネルギーが、幅広い人たちによって担われる、社会の構造転換が起きようとしている事実が、歴史と世界の大波を創っている。日本の未来も、私たち一人ひとりの意思と行動で創ることができる。すでに、政策も技術も方法も私たちの手にあるのだから」(「はじめに」)と書いています。
 未来のエネルギー問題を考えるために、まさに必須のレポートです。 

目次

はじめに 加速する自然エネルギー革命

第1章 国内外の自然エネルギーの概況
    はじめに
    世界の自然エネルギー政策とトレンド
    日本の自然エネルギー政策
    日本の自然エネルギー・トレンド
    自然エネルギー100%――中長期シナリオ
    地域主体の自然エネルギーへ――コミュニティパワー

第2章 国内の自然エネルギー政策の動向
 第1節 国の自然エネルギー政策
      原発ゼロ社会の実現に向けて
      革新的エネルギー・環境戦略を巡って
      グリーンエネルギー革命
      電力システム改革
      気候変動政策
      自然エネルギー熱政策
 第2節 固定価格買取制度(FIT制度)
      概要
      FIT制度導入の経緯
      FIT制度の概要と課題
      FIT制度の実施状況
      今後の方向性―改善提案
      RPS制度の総括
 第3節 地域主導の自然エネルギー
      コミュニティパワーとは
      世界の地域エネルギー
      国内の地域エネルギー
      自治体の取組み
 第4節 自然エネルギー事業への取組み
      概況
      太陽光発電
      風力発電
      地熱エネルギー
      小水力発電
      バイオマス
      太陽熱
      一般電気事業者の取組み
      新電力の取組み
      協同組合の取組み
 第5節 産業および雇用
      概況
      太陽光発電
      風力発電
      バイオマスエネルギー
      地熱エネルギー
      小水力発電
      太陽熱
 第6節 自然エネルギー事業と金融
      概況
      市民出資
      地域エネルギーと地域ファイナンス
 第7節 自然エネルギー普及への取組み
      民間主導の取組みの重要性
      グリーン電力証書の普及状況
      グリーン熱証書への取組み
      排出量取引制度
 第8節 社会的合意形成
      はじめに
      風力発電
      小水力発電
      地熱発電
      バイオマス

第3章 これまでのトレンドと現況
 第1節 自然エネルギー電力分野
      概況
      太陽光発電
      風力発電
      小水力発電
      地熱発電
      バイオマス発電
      海洋エネルギーによる発電
      太陽熱発電
 第2節 自然エネルギー熱分野
      概要
      太陽熱
      地熱直接利用および地中熱
      バイオマス熱利用
 第3節 自然エネルギーによる燃料分野
      概況
      供給量
      製造施設の現状
      最近の動向
      バイオマスエネルギー利用の課題

第4章 長期シナリオ
 第1節 自然エネルギー100%を目指して
 第2節 世界自然エネルギー未来白書
 第3節 国内の中長期シナリオ
      NGOの中長期シナリオ
      風力発電の中長期シナリオ
      地熱エネルギーの中長期シナリオ
   
第5章 地域における導入状況とポテンシャル
 第1節 地域別の導入状況
 第2節 地域別の導入ポテンシャル
    
第6章 提言とまとめ
 第1節 自然エネルギー政策への提言
 第2節 おわりに

前書きなど

加速する自然エネルギー革命──認定NPO法人・環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也

 2012年は、日本がついに12年越しで自然エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)を導入した年として、歴史にしっかりと刻まれる年になるだろう。
 年末の総選挙で民主党から自民党へと政権交代が再び起きたが、この自然エネルギー政策は大きな影響を受けることはないと思われる。
 目を世界に転じると、「自然エネルギー革命」はますます加速している。かろうじて「最終便のバス」に乗り込めた段階に過ぎない日本は、これからどのように自然エネルギー市場を創り、どのようなエネルギーシフトを成し遂げていくのか。
 日本の自然エネルギーの「今」を切り取ったのが本書である。

■ 加速する自然エネルギー革命
 数年前から「人類史第4の革命」と評される自然エネルギーの飛躍的な成長は、ますます加速している。昨年(2012年)末までで風力発電と太陽光発電を加えた設備容量(3億8,000万kW)は、ついに原発(3億7,000万kW)を超え、2年後には風力発電だけで原発を上回ることは間違いない。
 これを牽引するのは、ドイツを筆頭とする欧州だ。昨年増えた電源の筆頭は太陽光発電、次いで風力発電であり、原発・石炭・石油はむしろ削減している。
 「シェールガス革命」が注目される米国でも、自然エネルギーは加速度的に拡大している。オバマ米大統領の今年の一般教書演説では、環境・エネルギー政策に関して、まず気候変動政策の強化、次いで風力・太陽光など自然エネルギーと省エネルギー、最後にシェールガス革命に触れており、原子力には一言も言及しなかった。オバマ米大統領の環境・エネルギー政策に関する姿勢は、安倍首相と正反対であり、しかも世界の良識をしっかりと踏まえている。
 最も驚異的な変化は中国だろう。風力発電は2006年から、そして太陽光発電は昨年から、それぞれ加速度的な拡大が始まっている。2015年の太陽光発電の導入目標は、昨年に、それまでの18万kWから100倍以上の2,100万kWへ、そして今年(2013年)に入って3,500万kWへとほぼ倍増させるという勢いだ。

■ 自然エネルギー「3つの革命」
 「人類史第4の革命」と喩えられる加速度的な自然エネルギーの拡大には、3つの側面がある。
 第1の側面は、自然エネルギーがエネルギーの中心となる「エネルギーシフト」だ。ほんの数年前までは考えられなかったことだが、21世紀半ばに自然エネルギー100%という見通しが、地域レベルはもちろん、デンマークやドイツといった国単位、そして世界全体でも実現できるというシナリオが次々に提案されるようになった。
 第2の側面は、自然エネルギー産業とそれへの投融資が飛躍的に拡大してゆく「緑の産業革命」だ。2000年にはわずかに1兆円に過ぎなかった自然エネルギーへの投融資が、10年後の2011年にはおよそ25兆円規模へと急拡大を遂げている。2020年には100兆円を超えることも予想されている。
 そして第3の側面は、「地域自立・小規模分散ネットワーク革命」だ。従来のエネルギー産業や電力産業は、典型的な「中央独占・大規模集中型」の産業構造だった。それが大変化を起こしている。形態としての分散ネットワークよりも、社会全体の変化に沿ったエネルギーの地域所有や自己決定という変化が決定的に重要である。

■ 日本で始まった変化
 昨年7月から自然エネルギー電力への固定価格買取制度が始まって1年にも満たないが、大きな変化が起き始めている。
 まず導入量だが、多くの人が事前に予想していた通り、事業化のスピードが圧倒的に素早い太陽光発電が急速に拡大している。3月末までの3四半期でおよそ250万kWの自然エネルギー電力ができる見通しだが、その8割を太陽光発電が占める見通しだ。次いで風力発電が38万kWと、これらだけで95%を占める見込みだ。
 さすがに昨年、太陽光を760万kW、風力を240万kW、合計1,000万kWを拡大したドイツには大きく水を空けられているが、日本でも確かに自然エネルギー拡大のキックスタートを切ったといえよう。
 この絶好の機会に、さまざまな事業者や金融業者がいっせいに太陽光発電ビジネスに走っている。中国地方だけでわずか半年の間におよそ3,000社もの事業者が自然エネルギー発電事業に参入したと報告されている。単純比例では、日本全体では10万社もの規模となる。もちろん、その多くが大企業がその目的のために作った「特別目的会社」(SPC)であろうが、それを割り引いても、新規参入ラッシュが起きている指標の一つといえよう。
 ただし、さっそく問題が生じている。
 その筆頭は、送電線の制約だ。送電線を独占してきた電力会社が自然エネルギーの拡大に消極的な姿勢のため、法律上は「接続義務」になっているにもかかわらず、現実には「例外規定」を駆使して、事実上の接続拒否が横行している。このままでは早晩、日本の自然エネルギー拡大は行き詰まるだろうから、早急な改善が求められる。長い目では発送電分離が必要だろうが、まずは電力会社に対する徹底的な情報公開と本当に中立な第三者機関による調停が必要だろう。
 また、農地法や建築基準法などさまざまな規制も障壁になっている。それぞれの規制は必要性と合理性から歴史的に定められてきたのであるから、単純に規制緩和を求めるのではないが、自然エネルギーの拡大を前提に既存の規制を大幅に見直すことが必要だろう。

■ コミュニティパワーと社会革命
 そして、最大かつ今後ますます大きくなる課題は、地域の参加と合意だろう。今、全国各地で、大企業によるメガソーラー用の土地の囲い込みが進んでいる。風力発電も同様である。しかし、自然エネルギーが地域分散型であり、かつ地域の資源を使う技術であるがゆえに、こうした地域外の企業による土地の囲い込みは、植民地的な開発と重なって見える。
 これに対して、地域のエネルギーは地域でまかなう「エネルギーの地産地消」という、どちらかといえば素朴な期待から始まって、やがて自ら地域のエネルギー事業を興す動きも続々と起きている。
 こうした動きは「コミュニティパワー」と呼ばれる。地域のエネルギー事業を自ら興し、地域の人たちが中心となってその計画を進め、その(経済的・社会的な)便益を地域社会が享受することを「コミュニティパワー3原則」と呼ぶ。
 このように、世界中で澎湃とわき起こり加速度的に進んでいる自然エネルギー革命が、ますます地域コミュニティによって担われていることは、最も重要な動きであろう。長く一部の人たちに独占されてきたエネルギーが、幅広い人たちによって担われる、社会の構造転換が起きようとしている事実が、歴史と世界の大波を創っている。
 日本の未来も、私たち一人ひとりの意思と行動で創ることができる。すでに、政策も技術も方法も私たちの手にあるのだから。

著者プロフィール

環境エネルギー政策研究所  (カンキョウエネルギーセイサクケンキュウジョ)  (

環境エネルギー政策研究所は持続可能なエネルギー政策の実現を目的とする、政府や産業界から独立した第三者機関です。地球温暖化対策やエネルギー問題に取り組む環境活動家や専門家によって設立されました。自然エネルギーや気候変動政策の推進のための国政への政策提言、地方自治体へのアドバイス、そして国際会議やシンポジウムの開催など、幅広い分野で活動を行っています。また、欧米、アジアの各国とのネットワーキングを活用した海外情報の紹介、人的交流など、日本の窓口としての役割も果たしています。地域エネルギー事業の支援において市民ファンドを活用した市民風車、太陽光発電事業なども発案し、それらを支援しています。

上記内容は本書刊行時のものです。