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新・仏教とジェンダー 女性と仏教東海・関東ネットワーク(編) - 梨の木舎
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新・仏教とジェンダー (シン・ブッキョウトジェンダー) 女性たちの挑戦 (ジョセイタチモチョウセン)

社会科学
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発行:梨の木舎
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ23mm
重さ 400g
326ページ
並製
定価 2,400円+税
ISBN
978-4-8166-1108-7   COPY
ISBN 13
9784816611087   COPY
ISBN 10h
4-8166-1108-8   COPY
ISBN 10
4816611088   COPY
出版者記号
8166   COPY
Cコード
C0015  
0:一般 0:単行本 15:仏教
出版社在庫情報
絶版
初版年月日
2011年12月
書店発売日
登録日
2011年12月5日
最終更新日
2024年2月26日
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紹介

本書はジェンダーを機軸にして、宗門の制度、社会へのヴィジョン、女性仏教者への教化活動、寺院内の平等な人間関係など女性仏教者による問題提起の書であり、女性を対等な構成者としてみなしてこなかった仏教界への異議申し立てである

目次

はじめに    
第1章 シンポジウム 
ジェンダーイコールな仏教をめざして
第2章 仏教と共に生きる女性たち
第4章 女性と仏教をめぐる小論
おわりに  

前書きなど

はじめに
川橋範子
本書は、「女性と仏教 東海・関東ネットワーク」の編集によって2004年に朱鷺書房から出版された『ジェンダーイコールな仏教をめざして 続女たちの如是我聞』の続編である。東海ネットワークは、1996年の春にいくつかの仏教教団に所属する女性たちが名古屋で始めたネットワークであり、この女性たちと交流あった東京近辺の女性たち
が翌年に立ち上げたのが、関東ネットワークである。両者は宗派や立場を超えて女性がつながるネットワークとして、情報交換や学びの場を持ち、ともに発言・行動し、仏教にかかわる女性たちを支えあう活動を続けている(ネットワークの詳しい軌跡は『ジェンダーイコールな仏教をめざして 続女たちの如是我聞』中の川橋による「まえがき」を参照されたい)。
 ジェンダーとは、社会・文化的な役割や規範としての性別を指す。私たちは、ジェンダーの縛りが生み出す性差別の問題が、現代日本の仏教の閉塞感や行き詰まりの大きな要因であると感じている。女性たちが日々経験するジェンダーの問題こそが、ネットワークに集うさまざまな背景を持つ女性たちをつなげてきた。
 本書には2つの柱がある。ひとつは、2008年7月2日に本願寺築地別院において、「女性と仏教 東海・関東ネットワーク」が全日本仏教会、国際仏教交流センター、国際宗教研究所などの後援を得て開催した公開シンポジウム「ジェンダーイコールな仏教をめざして」である。このシンポジウムではジェンダーを基軸にして、宗門の制度、社会へのヴィジョン、女性仏教者の教化活動、平等な寺院内の人間関係など多彩な議論が、日蓮宗、浄土真宗、天台宗、曹洞宗の女性仏教者によって展開された。シンポジウムの基調には、人は「生まれ」、つまり人種や階級やジェンダーによって差別されてはならないと説いた釈尊の教えがあった。すべての人が平等な場に立ち、世界に唯一の存在としての自己の尊厳を信じて生きていける世界への希求である。
 もうひとつは、同じく2008年の11月14日から17日にかけて全日本仏教会主催で開催された、第24回世界仏教徒会議(World Fellowship of Buddhists)日本大会でのシンポジウムである。この大会の基調テーマは、「仏教者の社会問題解決への貢献」であったが、15日午後には7つのテーマを掲げたシンポジウムが開かれ、そのテーマのひとつが、「ジェンダー」であった(この内容に関しては、本書中のウイポン・クアンゲアウさんの講演録でも述べられている。また、『週刊仏教タイムス』2009年1月1日、「覚醒する日本仏教 WFB大会シンポ出席者からの報告」川橋範子・枝木美香、および『中外日報』2008年9月23日「仏教とジェンダー再考 世界仏教徒会議日本大会に向けて」川橋範子、を参照)。
 近年欧米を中心に、仏教とジェンダーへの関心が高まっているが、両方のシンポジウムの背景には、国内でも仏教とジェンダーの問題に関する問題意識を高め議論の場を作り出そうとする意図があった。従来保守的といわれてきた伝統仏教教団におけるこのような変化は、女性を教団の対等な構成員とはみなしてこなかった仏教界に対する女性側からの異議申し立てを示している。女性の参画なしに現代仏教の活性化はありえないという認識が広まり、女性たちの声に仏教教団も耳を傾けなければいけなくなったのである。
 このように、女性たちが主体的に行動し発言することは、男性僧侶側にも覚醒をもたらし、閉塞感の漂う日本の仏教界を開いていくエネルギーにつながるはずである。不幸なことに、社会的弱者である人々が状況の是正を求めて声を上げると、力を持つ側に立つ人々から、「では何が問題でそれがどのように改善されることを要求しているのか、状況分析の見取り図と実行案を明確に示せ、でないとこちらにはわかりかねる」といわんばかりに、マイノリティにすべての説明責任を押し付けられることがある。しかし私たちは、強者の側に立つ男性僧侶たちにもこの問題を一緒に考えてもらいたい、と訴えてきた。また、性差別是正の方向に逆行するバックラッシュ発言も目にすることがある。たとえば、仏教界の女性たちはジェンダー平等など求めていないし現状への不満などないはずだ、という思い込みである。男性僧侶たちに、女性たちが抱える問題が見えず、教団を取り巻く社会が変わりつつあることが意識されていないとすれば残念である。
 シンポジウムのパネリストたちが語るように、ジェンダー平等と仏教の教えとが二律背反、矛盾対立するものではないことを示すメッセージはさまざまな仏教伝統の中に存在する。かりにも男性仏教者が、「仏教界として夫婦別姓には断固反対すべき」などと、世間に流通する時代錯誤的なバックラッシュ発言のお先棒を担ぐようなことは、とても妥当とは思えない。
 本書には、現代仏教の日常の現場を生き抜いてきた女性たちのさまざまな知恵と実践が書かれている。書き手たちは、仏教が伝えてきた差別を否定するメッセージを、現代人が理解できる言葉で社会に発信するさまざまな道筋を示している。一般に日本社会の女性たちのジェンダー平等運動は、宗教的な色彩が極めて薄い。私たちの運動が、彼女たちの運動ともつながり、外に向かって開かれたものになることを願っている。また、ここには女性たちの声をひとつに纏め上げようとする意図はない。多様なあり様とそれぞれの戦略があってしかるべきと考えるからである。女性たちは、仏教という宗教伝統の中から何を選び取って何を再構築・再創造したいと願っているのか。外部の目から見れば彼女たちのスコープは小さすぎるように見えるかもしれない。しかし、一見、寺院内の小さないざこざにみえる事象であっても、日本社会に構造的にあるジェンダー問題を同じように抱えている。私たちは、その中で仏教を作り直そうとする女性たちの多様な動きがあることを知ってほしいと思う。
 ネットワークが長年行ってきた宗派間の対話を通した学びは、より多くの人々に開かれたサンガのあり方について思索を深めることでもあった。たとえば、「妻帯」した男性僧侶と跡継ぎの子どものいるいわば「家族型仏教」を規範とし、世襲仏教を当然視するあり方は、そうではない生き方を選択した教団内の人々を排除し、生きがたくしてしまうのではないか。
 さらに、独身の女性僧侶と男性僧侶の配偶者である坊守や寺族といわれる女性たちとの違い、教団に属さない女性仏教者と「宗門人」である女性たちとの距離、世代間のギャップや、寺の格や地域差が生み出す格差を見過ごすことはできない。いわゆる女性間の「女女格差」を超えていかに共闘は可能になるのか。仏教と女性をとりまく現実が一枚岩ではないことにきちんと向き合い、それぞれが自己の立場を絶対化せずに連携していくことは
今後も課題であり続ける。
 ところで、2011年に東海ネットワークは結成から15周年をむかえる。15年の間には、さまざまな出会いがあった。「忙しい寺の日常から離れて、例会に集まるメンバーに話を聞いてもらうことで力をもらっている」と遠方から長年参加し続ける女性もいる。あるいは、問題を抱えてネットワークに来たが、もはやネットワークが必要でなくなって去っていった女性もいる。なによりも悲しかったのは、曹洞宗の女性僧侶で、前の本に力強い文章をいくつか寄せてくださった黒田随應さんが、50代半ばで急逝されたことである。著名な布教師であった黒田さんは一時期ある男性僧侶からのハラスメントに悩まされていた。私に向かって、「○○老師が夢の中にまで出てきたから蹴りをいれてやったわ!」と関西弁で言って、けらけらと笑っていた姿が忘れられない。
 嬉しい展開は、2000年から東京で活動を続けている「日本フェミニスト神学・宣教センター」と東海ネットワークのメンバーとの間に、2007年から3年間にわたって交流が続いていることである。日本フェミニスト神学・宣教センターは、現代社会における抑圧や差別に対して声をあげていくキリスト教の超宗派の集まりである。そこに集うメンバーたちは私たちと同じように、正統とされてきた権威に挑戦して聖書を読み直す営みを続けている。このように、ジェンダーの問題をめぐり宗教教団の境を越えた対話がますます広がっていくことが望まれる。
 本書の書き手には男性も含まれていることからわかるように、運動の中ではもちろん志のある男性僧侶たちとの連携も生まれている。ふたつのシンポジウムの企画は、仏教界のジェンダー問題に関する問題意識を共有する男性僧侶の方々の協力によって実現した。特に、岡野正純さんと池田行信さんには深く感謝を述べておきたい。また、『仏教タイム
ス』の工藤信人さんと『中外日報』の形山俊彦さんには、紙面上で私たちのネットワークに発言の場を与えていただいていることにお礼を申し上げたい。
 本書には、関東ネットワーク世話人の瀬野美佐さんが編集し、現在第11号まで発行されている会報『女たちの如是我聞』からの再録原稿もいくつか含まれている。同じく関東ネットワーク会員の枝木美香さんの働きなしには本書の企画は実現しなかった。細かい内容上の編集作業は東海ネットワーク会員の小林奈央子さんの助けを得ている。今回の執筆者には入っていないが、日ごろから私たちのネットワークに賛同と支援の声をよせてくださ
る方たちに、心からの感謝の言葉を捧げたい。 

著者プロフィール

女性と仏教東海・関東ネットワーク  (

仏教に縁のある女性たちが、ジェンダー平等とそのための改革を求めて宗派を超えて集まったネットワーク

上記内容は本書刊行時のものです。