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わたしは誰の子?
父を捜し求める日系二世オランダ人たち
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2006年11月
- 書店発売日
- 2006年11月10日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2024年2月27日
紹介
クラウディーネとナニー、そしてモリーは、第二次大戦中日本軍の占領下にあった「蘭印」(現インドネシア)で、日本人の父と蘭印系オランダ人(インドネシア人とオランダ人の混血)の母から生まれた。父とは戦後すぐ生き別れとなり、そののち母に連れられて見知らぬ祖国・オランダに渡る。彼女たちは、本当の父の、愛情はおろか存在すらも知らないまま育った。しかも、日本軍収容所体験者たちからは「敵の子」として蔑視されてきた。1990年前後、3人は自分が半分日本人であることを明らかにして、本当の父親を捜し始めた。「わたしは一体誰の子なのか」、「私は望まれて生まれた子か」、「父はどんな人だったのか」、「父は母を愛していたか」、さまざまな疑問が頭の中を駆け巡る。…… 本書は、人間としての存在価値を求めて苦悩する彼女たちの、心の旅の記録である。
目次
まえがき 父親を捜す日系オランダ人との出会い
第1章 モリーの物語
第2章 ナニーの物語
第3章 クラウディーネ・マサコ、そして母親
第4章 半分日本人でよかった
第5章 オランダからにのチューリップ
あとがき
前書きなど
敗戦により、父親たちはむなしく日本に帰国した。残されたオランダ国籍の母親たちは、インドネシアが動乱の後に独立すると、日本人の子を連れて未知の本国オランダに「引き揚げ」て、白人社会の中でできるだけ目立たないように、周囲に気をつかいながら暮らした。特に蘭印人たちには、自分たちの子が〝日本人の血を引いている〟ことを知られてはならなかった。引揚者のオランダ人と蘭印人たちは、「楽園」だった故郷の地を奪われ、家族や資産を失い、俘虜または抑留者として苛酷な体験をしたために、敵の日本人を憎悪していたからだ。子どもたちの多くは、本当の父の、愛情はおろか存在すらも知らないまま、場合によっては「敵の子」として肩身の狭い思いをし蔑視されながら、成人していった。
父親を捜す日系二世たちは機会あるごとにそれぞれの境遇を語ってくれた。私は彼らの話を聴き取ることに努めた。本書は、そうした多くの聞き書きの中から、赤裸々な事実の公表を私に許してくれたモリーとナニー、そしてクラウディーネとその母の、心の旅の記録である。
上記内容は本書刊行時のものです。