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学ぶ、向きあう、生きる 楠原 彰(著) - 太郎次郎社エディタス
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学ぶ、向きあう、生きる (マナブムキアウイキル) 大学での「学びほぐし(アンラーン)」──精神の地動説のほうへ (ダイガクデノアンラーンセイシンノチドウセツノホウヘ)

教育
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四六判
縦188mm 横128mm 厚さ18mm
重さ 297g
256ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-8118-0760-7   COPY
ISBN 13
9784811807607   COPY
ISBN 10h
4-8118-0760-X   COPY
ISBN 10
481180760X   COPY
出版者記号
8118   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年3月
書店発売日
登録日
2013年2月6日
最終更新日
2014年8月27日
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紹介

 自分の悲しみや無力さを中心に地球が回っているという「精神の天動説」ではなく、自分自身が世界とともに動いていて、動く世界のなかに存在しているのだという「精神の地動説」に気づくために──。
 アジアを歩き、東北の森に間伐に出かけ、マイノリティ(被差別少数者)をはじめとするさまざまな他者たちと教室で出会う。大学に多くの「現場」をつくりだして学生たちを揺さぶり、学びを解きほぐしてきた著者の最終講義。

目次

プロローグ 「精神の地動説」のほうへ

第1章 わたしの物語、他者の物語、〈みんな〉の物語 

1 わたし自身の物語――少年期から青年期の〈危機〉をめぐって
  少年時代の〈危機〉――非行
  前期青年期の〈危機〉――家の拒絶と自己惑溺
  システムの侵蝕力と「生き方の原理」のはざまで
2 「わたし」と他者の物語をわかちあう――大きな「みんなの物語」にあらがって
  利光徹との出会い
  「わたしの物語」が受容されるということ
  「他者の物語」と出会い、変わっていった学生たち

第2章 見えない隣人としてのマイノリティ

1 教室のなかのマイノリティ――見えない隣人と出会う
  見えない隣人たち
  総合講座「差別とアイデンティティ」
  教室のなかのマイノリティ1――セクシュアル・マイノリティ
  教室のなかのマイノリティ2――リストカッター
  教室のなかのマイノリティ3――在日韓国・朝鮮人
  私の隣人――ある難民家族
2 当事者であることを選ぶということ――カミングアウトをめぐる往復書簡
  K先生へ
  W君へ

3 人間の〈差別〉を考える10のテーマ――若者たちの挑発を受けて
  〈1〉私たちの社会は差別・排除によって成り立っている
  〈2〉私たち人間はまた、共存・共生を求めてたたかいつづけてきたのも事実である
  〈3〉偏見の相互受容から出発する
  〈4〉私たちの社会はかぎりなくマイノリティを生みだし、排除したり隔離したりする
  〈5〉なかなか見えない、感じられない構造的差別について
  〈6〉差別は複合的である
  〈7〉差別や偏見はどこから生まれるのか――差別の内と外
  〈8〉差別/被差別関係から自由になるということ――それは、まだるっこい日常の出会いのなかで
  〈9〉差別とアイデンティティ
  〈10〉市民社会がつくりだす新たな排除と差別

第3章 「関係の貧困」「孤絶の文化」から〈現場〉体験へ

1 日本の子ども・若者の自己評価の低さについて――「関係の貧困」と「孤絶の文化」
  人生は危機に満ちている――危機を乗り越えるための文化装置
  破壊と孤立の文化のなかで
  日本の子ども・若者は、いま――〈資料〉の紹介・読み解きとともに
  「心的外傷」からの回復
2 学びへの誘いとしての〈現場〉体験――わたしの大学での実践から
  読書会の時代(1970年代前半)――学生一人ひとりの経験は固有でみな異なっていた
  ワークショップの時代(1980年代)――学生たちとともに身体を他者・世界に向かって開こうと試みる
  スタディツアーの時代(1990年代)――アジアの〈現場〉を歩きながら考える
  インドツアーの継続と岩手の森での間伐体験(2000年代)――歩きだす若者たちとともに
  いま、大学は何をすべきか――学びの動機づけを回復するために

エピローグ 3・11後を生きる

前書きなど

 私たちには、出会っているのに見えない、見ようとしない隣人たちがいる。日頃目を合わせたり、挨拶を交わしたりしているのだが、その人たちの内面のつぶやきや叫びに、立ち止まって耳を傾けたりすることはまずない。街のなかでも、路上でも、飲み屋やレストランでも、電車やバスのなかでも……、だいたい自分と同じような考え、同じような経験や出自の人たちが集まっていると、何気なく思いがちである。大学のキャンパスとてそれは変わらない。

「ホモって気持ち悪いよ」、「そんなにアイツラ(在日韓国・朝鮮人)日本に文句があるなら、さっさと国へ帰りゃいいんだよ」、「イジメられっ子だって問題よ。空気読めないんだから。ムカツク」、「イジメられたくなかったら、フツーにすればいいんだよ」、「ガイジンって、とくに黒人って、なんとなく怖くない?」、「リスカ(リストカット)の子って、カマッテチャンよ」、「ひきこもりなんて、甘ったれのぜいたく病さ」……。

 教室で、廊下で、校庭で、学食で……、やさしい顔した学生たちが談笑しあっている。まるで隣に同性愛者も、在日コリアンも、留学生も、死にたくなるほどのイジメを受けてきた学友も、リストカットで苦しんでいる学生も、ひきこもり経験をもつ人も、一人もいないかのように。

 私たちが忙しすぎたり、ずぼらだったり、過度のストレスをかかえていて自分のことで精一杯だったり……ということもあるだろうが、根本には、一人ひとりみんなが違うことへの、また、一人ひとりみんな自分の知らない固有の違う経験をもっていることへの、謙虚でヒューマンな認識の欠落がある。

……2章[見えない隣人たち]より

著者プロフィール

楠原 彰  (クスハラ アキラ)  (

1938年、新潟県中蒲原郡の農村に生まれる。大学(新潟大学)・大学院(東京大学)で教育学を専攻。大学助手(東大)を経て、大学教員(専任國學院大學、多数の国公私立大学の兼任)として学生たちの学びと教育にかかわる。また、市民運動として反アパルトヘイト運動に参加してきた。90年代からはアジアやアフリカ諸地域を若者たちと歩く。
現在、國學院大學名誉教授、日本ボランティア学会運営委員。「地下水」同人。大学で出会った若者たちと岩手県紫波町の里山の間伐作業に通い続ける。農民詩人・真壁仁の研究ノートを制作中。
主な著作として、『自立と共存』(1976年、亜紀書房)、『アフリカは遠いか』(1981年、すずさわ書店)、『アフリカの飢えとアパルトヘイト』(1985年、亜紀書房)、『南と北の子どもたち─他者・世界へ』(1991年、亜紀書房)、『世界と出会う子ども・若者』(1995年、国土社)、『セカイをよこせ! 子ども・若者とともに』(1999年、太郎次郎社)などがある。
また、訳書(共訳)としては、いずれもパウロ・フレイレ(Paulo Freire)著の『被抑圧者の教育学』(1979年、亜紀書房)、『伝達か対話か』(1983年、亜紀書房)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。