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出版者情報
ネコ・かわいい殺し屋
生態系への影響を科学する
- 書店発売日
- 2019年4月9日
- 登録日
- 2019年2月8日
- 最終更新日
- 2019年3月29日
書評掲載情報
2019-06-22 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 高橋秀実(ノンフィクション作家) |
2019-06-09 |
読売新聞
朝刊 評者: 三中信宏(進化生物学者) |
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紹介
約9500年前に家畜化され、文明の伝播とともに世界中に広がったネコ。
人を魅了してやまない彼らの存在は、鳥類や哺乳類をはじめとする生物群にどのような影響をもたらすのか。
捕食による希少種の絶滅や、人や海棲哺乳類への病気の媒介、TNR(捕獲・不妊去勢・再放逐)の有効性など、野放しネコと環境との関わりを科学的に検証するとともに、各国で行われている対応策とその効果を紹介する。
ジャレド・ダイアモンド(『銃・病原菌・鉄』著者)、
ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス、
フォーブス誌ベストブック・トップ10(2016年、保全と環境)大絶賛!
目次
第1章 イエネコによる絶滅の記録
ナチュラリストの灯台守
ニュージーランドの固有鳥類とその絶滅
多産系肉食獣・イエネコの狩猟能力が与える打撃
判明していない絶滅前の分布
イエネコの破壊力――ほんの数年で起きた絶滅
第2章 イエネコの誕生と北米大陸での脅威
野生動物の生息地復元とエコロジカル・トラップ イエネコのルーツ――ヨーロッパヤマネコ
イエネコの進化と拡散
保全生物学の誕生
環境汚染物質と自然保護
絶滅種の14パーセントに関与
ソコロ島における外来種の影響と対策
野放しネコの影響を科学する
第3章 愛鳥家と愛猫家の闘い
野鳥フィールドガイドの誕生
イエネコと人間の関係史
ネコは社会制度のフィルター――ネコの待遇の変化
銃から双眼鏡へ――フィールドガイドの功績
自然界と人をつなぐバードウオッチング
バードウオッチングとネコの経済効果
屋外ネコと人の関係
野放しネコの実態と世話人
野放しネコに対する世話人の認識
第4章 ネコによる大量捕殺の実態
野鳥への脅威を初めて世に問うたアメリカ人
ナチュラリスト大統領の自然保護政策
法律と現状のミスマッチ
鳥類保護に立ち塞がる困難
野鳥個体群の変動とネコの捕食の影響
ネコの脅威は在来捕食者を超える
野放しネコの直接的影響
全米の野放しネコによる野生動物被害数
嵐の勃発――愛猫家らの反応
第六の大量絶滅
第5章 深刻な病気を媒介するネコ――人獣共通感染症
飼いネコから人に感染するペストの脅威
ネコひっかき病のバルトネラ菌
ネコも媒介する狂犬病
アメリカにおける狂犬病感染の主犯、ネコ
ネコ科動物から大拡散するトキソプラズマ症
「寄生生物操作仮説」の実証
人も発症するトキソプラズマ症
人への感染――妊婦に及ぼす危険と統合失調症
野生動物への影響――カラスと海棲哺乳類の事例
ネコ白血病のネコ科野生動物への感染
第6章 駆除 vs 愛護――何を目標としているのか
絶滅危惧種フエコチドリ
フエコチドリ保護のためのネコ狙撃事件
野放しネコの法的位置づけ
希少種保護のための二つの法律
野生化ネコに対する提案と炎上する議論
拒否された投票結果
オーストラリアのネコ問題
人道的駆除計画
固有動物相を大切にするオーストラリア国民
ニュージーランドの取り組み――キャッツ・トゥ・ゴー
自然保護のジレンマ
動物福祉と環境倫理
第7章 TNRは好まれるが、何も解決しない
動物愛護協会で譲渡を待つ子ネコ
ボランティアが支えるTNR活動
TNRへの期待、それに続く失敗と限界
動物倫理から見たTNR
不妊去勢手術
地域ネコのTNR活動の現場
殺処分からTNRへ――地域ネコ管理の転換
TNRを支える迷信
TNRが個体数減少に成功するための条件――高い不妊化率と移入ゼロ
TNR失敗要因とバキューム効果の有無
TNRのさらなる問題点――軽視される生態系
オレゴン州の捕獲ワナ――その後
第8章 鳥、人そしてネコにとって望ましい世界
野放しネコの影響をどう考えるか
野放しネコが減らない背景
ネコシェルターの実状
飼い主側の問題
関連団体やペット業界の役割
飼育許可制を目指す
野放しネコの捕獲排除を巡る科学と非科学
TNRの広がりとその効果への疑問
島の捨てネコを減らす――オレゴン州での事例
多様な団体の協同――ハワイの事例
TNRとネココロニーが容認される特例
野放しネコ対策を現実的に考える
野生化ネコ対策の成功事例と費用
致死的排除法と生物多様性への投資
自然に関心を持つことの重要性
第9章 どのような自然が待ち受けているのか?
対応の遅れがもたらす悲劇
大災害としての野放しネコ問題
乗り越えるべき二つの障壁
野放しネコの影響と私たちの未来
注
訳者あとがき
参考文献
索引
上記内容は本書刊行時のものです。