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「ビックリハウス」と政治関心の戦後史––––サブカルチャー雑誌がつくった若者共同体
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2024年7月25日
- 登録日
- 2024年5月23日
- 最終更新日
- 2024年8月28日
書評掲載情報
2024-09-07 |
毎日新聞
朝刊 評者: 永江朗(ライター) |
2024-08-24 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 小林哲夫(ジャーナリスト) |
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紹介
「政治に関心がない」とされがちな若者の第一世代。本当に彼らは政治や社会運動に関心がなかったのか? そして、なぜ現在に至るまで非政治的だとみなされてしまったのか? 糸井重里、橋本治、YMOなどが登場した伝説的サブカルチャー雑誌、『ビックリハウス』(1975―1985)から実証的に「若者」たちの心の内を明らかにする。各メディアで活躍する社会学の新鋭が「若者の政治離れ」の源流に迫る渾身の一冊。
目次
まえがき
第1部 問題意識・先行研究・方法と事例
1 はじめに――1970年代以降、日本人は本当に政治と社会運動に背を向けたのか?
1-1 消費社会と私生活主義、公的なものへの無関心
1-2 1960年代以降における社会意識と政治参加の動態
1-3私生活主義と政治への忌避を代表する存在としての「若者」
1-4.本書の構成
2 先行研究と分析視角――政治史・経済史・社会史的観点から
2-1 なぜ「雑誌」なのか――1970-80年代の「共同性」と「政治性」を考える
2-2 同時代における若者雑誌の政治性と共同性
2-3 戦後における読者共同体の「政治性」と「共同性」の変容
2-4 事例としてのビックリハウス――共同性と政治性の「挫折」?
3 事例、方法、分析視角
3-1 事例――雑誌『ビックリハウス』
3-2 方法――雑誌の計量テキスト分析と内容分析
3-3 分析視角――戦争、女性、ロック
第2部 戦後社会の価値変容――戦争経験、ジェンダー、ロックの視点から
4 語りの解放と継承のずれ――「戦後」と「安保」から遠く離れて
4-1 1970年代以降の反戦・平和運動と方法を巡る是非
4-2 雑誌『ビックリハウス』における戦争の語り
4-3 「戦後」と「安保」から遠く離れて
5 女性解放――運動が成す個人の解放、解放された個人への抑圧としての運動
5-1 同時期の雑誌上における女性運動表象の両義性
5-2 「個の解放」への真摯さと「性の解放」の挫折
5-3 運動がなしえた個人の解放、解放された個人への規制としての運動
6 「論争」から「私的」へ、「頭」から「心」へ――みんなで語るそれぞれのロック
6-1 『宝島』とロック、政治、カウンターカルチャー
6-2 『ビックリハウス』はロックをどう「論争」したか
6-3 「人それぞれ」の読者・編集者共同体
第3部 みんなの正しさという古い建前、個人の本音という新しい正義
7 社会運動・政治参加――規範性・教条主義に対する忌避・回避の「主体的な」顕在化
7-1 政治への関与を辞さないサブカル雑誌
7-2 『ビックリハウス』の分析
7-3 「べき」への忌避、「主体性」の尊重、「共同体」の隘路
8 差別が「率直さの表明」から「不謹慎さを競うゲーム」になるまで
8-1 マイノリティへの「あけすけさ」は運動か遊戯か
8-2 『ビックリハウス』はマイノリティと差別をどう捉えたか
8-3 差別が「あえて」の率直さから、不謹慎さを競うゲームになるまで
9 自主的で主体的な参加の結果「政治に背を向けた」共同体
9-1 「言葉遊び」のパロディ誌としてのビックリハウス
9-2 民主的な「参加」に基づく読者共同体としてのビックリハウス
9-3 自発的に参加した結果、社会・政治に背を向けた「大衆」
10 考察と結論
10-1 本書の知見がもつ普遍性
10-2 社会学・社会批評的な「世代論」「時代論」への反論
10-3 消費社会において、私生活を通じた公的関心の形成は可能か
おわりに
参考文献
上記内容は本書刊行時のものです。