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うつる 生命誌年刊号vol.81-83 中村 桂子(編) - 新曜社
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うつる 生命誌年刊号vol.81-83 (ウツル セイメイシネンカンゴウ)

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発行:新曜社
A5判
252ページ
並製
価格 2,000 円+税   2,200 円(税込)
ISBN
978-4-7885-1455-3   COPY
ISBN 13
9784788514553   COPY
ISBN 10h
4-7885-1455-9   COPY
ISBN 10
4788514559   COPY
出版者記号
7885   COPY
Cコード
C1045  
1:教養 0:単行本 45:生物学
出版社在庫情報
品切れ・重版未定
初版年月日
2015年11月
書店発売日
登録日
2015年10月15日
最終更新日
2022年8月19日
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紹介

◆移る、映る、遷る、写る
DNAの壮大な歴史を読み解き、生きることの本質を問うてきた生命誌が、発刊二十年を越えた今号で、次の扉へとうつるための特集を組みました。
 対談では、今秋公開の映画『水と風と生きものと』にも登場する、風の芸術家・新宮晋氏や絵本編集者の末盛千枝子氏、民俗学の赤坂憲雄氏、また幹細胞研究の西川伸一氏らと、社会と自然をつなぐ新しい知を語ります。海砂泥にすむギボムシから人の進化を探る研究報告ほか、日本の生命研究の基礎をつくった科学者たちが、自らの研究と人生を振り返るコーナーも必読です。

目次

うつる 目次
はじめに

語り合いを通して
◆新しい知のあり方を求めて 西川伸一×中村桂子
◆東北から明日の神話をつくる 赤坂憲雄×中村桂子
◆生命誌を編む三つの対話
I 自然との親密さを取り戻すように 伊東豊雄×中村桂子
II 風をあたかも見えるかの如くに 新宮 晋×中村桂子
III 美しいと思えることを語り継ぐ 末盛千枝×中村桂子

研究を通して
◆胎盤の多様化と古代ウイルス
  エンベロープタンパク質が結ぶ母と子の絆 宮沢 孝幸
◆熱帯雨林の花盛り
  ボルネオ熱帯雨林の一斉開花の要因を探る 竹内やよい
◆イトヨの種分化を追って
  性染色体の融合と種の分化 北野 潤
◆まばたきは何のためにするのか
  脳の情報処理とまばたきの関係を見る 中野珠実
◆形の多様性はお母さんのお腹の中で
  標本から発生、そして進化を知る 小薮大輔

人を通して
◆プロテアソームの発見から生命科学の中枢へ 田中啓二
◆葉緑体からゲノム時代をひらいて  杉浦昌弘
◆いまだ熱ショック応答を追い続ける日々 由良 隆

JT生命誌研究館 これまでとこれから
独自のコンセプトの具体化を更に豊かに 中村桂子
◆表現を通して生きものを考えるセクター
◆カエルとイモリのかたち作りを探るラボ
◆ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ
◆DNAから進化を探るラボ
◆チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ

あとがき
生命誌ジャーナル掲載号一覧

前書きなど

うつる はじめに
 「生命」と名詞で言い切ると、とても抽象的になり具体が見えて来ないことに気づき、動詞で考えるようになって一二年。生きものを特徴づけると同時に、私たちのその時の状況を表現する言葉を選んで毎年のテーマにしてきました。今年は「うつる」です。いつものように辞書を引くと、移・遷・映・写などの文字があります。そこにあるたくさんの意味を読みとり今の気持でまとめるなら、「本質は変わらないまま、次の次元・段階に入る」ということでしょうか。

 昨年は二〇周年記念号として、それまでをまとめ、次の扉をひらいたので、次は「うつる」です。

 ここには三つの思いがこめられています。一つは、生きもの研究のありようです。ゲノム研究が進み、生きることの全体が見えてくるかと思ったのですが、なかなかそうは行きません。すぐに役立つ答を出そうとするためにゲノム・データを統計的に扱って疾病のかかりやすさを見るというような大型プロジェクトが多いのです。脳細胞は、なぜ心臓細胞でなく脳細胞なのかというような本質的問いへと移れる時なのにと思います。

 二番目は社会です。東日本大震災とその中での原発事故という体験を生かし、人間が生きものであることを基盤に宮沢賢治の言う「ほんとうの賢さ」、「ほんとうの幸せ」を求める社会に移ると思っていたのですが、とんでもないことでした。軍事力での空威張りを選ぶ方へ移りそうです。違う方向への舵切りが必要です。

 そして三番目は生命誌研究館です。研究・表現を通してのこれまでの活動と共に次の方向を探っています。どの活動も、まさに新しい考え方、新しい方法・技術を探るところに来ているのです。幸い、二〇年間のまとめの活動をしたことによって館員の一人一人が、次へのステップを踏み出す時になっているという意識を持ち、考え始めています。

 実は、当初から非常勤顧問として毎年一回研究館を必ず訪れ、研究の話に耳を傾け、展示をていねいに見て下さっている高村薫さんが、「生命誌研究館を訪ねるたびに、これと似た空間は世界のどこを探してもないと感じる。生命科学が『生命誌』へと進化して身近ないのちと一気につながったように、研究館ではその最先端の研究と、私たちの驚きや感動がつながり、ともに38億年の時間に連なっている実感へと誘われる。」と言って下さいました。

 小さな組織ですが、「世界のどこにもない空間」を創り続けなければなりません。そのためには、止まっていてはダメです。まずは研究館を次へと進め、その力で研究全体、更には社会をも新しい段階へとうつしていきたい。それを求めて活動を続けます。

上記内容は本書刊行時のものです。