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楳図かずお論 高橋 明彦(著) - 青弓社
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楳図かずお論 マンガ表現と想像力の恐怖

発行:青弓社
A5判
縦216mm 横151mm 厚さ38mm
重さ 907g
520ページ
上製
定価 3,600円+税
ISBN
978-4-7872-9228-5
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年6月
書店発売日
登録日
2015年5月20日
最終更新日
2018年12月3日
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書評掲載情報

2015-09-13 朝日新聞
評者: 武田徹(評論家)
2015-06-28 毎日新聞

紹介

楳図かずおの作品に通底する恐怖・子ども・母といったモチーフを主題論・作品論・表現論・文献学を総合して読み解き、恐怖マンガの巨匠と称され、多くのマンガ家たちからの尊敬を集めながらも、一面的に批評されがちな楳図作品の評価をくつがえす大著。

目次

はじめに――楳図かずおと世界の秘密

第1章 楳図かずおの恐怖概念
 1 「恐怖マンガ」成立以前(1)――民俗性・怪奇性
 2 「恐怖マンガ」成立以前(2)――幻想性
 3 「恐怖マンガ」成立以前(3)――統合
 4 恐怖マンガ「口が耳までさける時」の恐怖と怪異
 5 恐怖モチーフ変遷説の再検討
 6 楳図かずおの認識論――恐怖とギャグの同質性
 7 《楳図神学》の存在論

第2章 わたしは真悟、内在する高度
 1 視覚体験としての高度(1)――東京タワー
 2 キカイからニンゲンへ(1)――内在的な平面
 3 視覚体験としての高度(2)――岩のドーム
 4 キカイからニンゲンへ(2)――ロボットの存在論
 5 ナレーションが仮想する未来の一点

第3章 子どもと暴力――「子供は遊んでばかりいたのかな?」
 1 『鉄コン筋クリート』における子どもと暴力
 2 暴力と他者
 3 言葉の啓示的機能
 4 子どもの隷属と自立
 5 「Rojin」――動的な視点変化
 6 「子供は遊んでばかりいたのかな?」

第4章 洗礼、その身体と記憶
 1 身体改造の系譜
 2 ストーリーの破綻や亀裂
 3 破綻はどこにあるのか(1)――日次のミス
 4 破綻はどこにあるのか(2)――鏡像の混乱
 5 テクストの二重性(1)――移植文脈と妄想文脈
 6 テクストの二重性(2)――破綻と見なされる原因
 7 最大の問題、記憶(1)――公然の秘密説
 8 最大の問題、記憶(2)――メビウス的な架空の起源
 9 母と娘の同一性、および和解について

第5章 ぬばたまの夢やは実在を思はする神の左手悪魔の右手――楳図かずおと世界の創造
 1 観念と実在の対立のなかで
 2 危機、あっけなく去る危機
 3 稚拙で自己中心的な予定調和
 4 夢のリアリティー、二つの可能性
 5 夢見ているのは誰なのか
 6 おぞましい子どもたち
 7 ぬばたまの絵本、フィクションと夢
 8 プラトニズムとその権化、影亡者

第6章 タマミの御霊――『赤んぼ少女』と鎮魂の問題
 1 諸本について
 2 タマミはモンスターである――誘導される読解
 3 タマミは悪魔である――かたちとこころ
 4 ホラー的展開の本質(1)――進行形と完了形
 5 ホラー的展開の本質(2)――現実と幻覚の境界
 6 十分な理由(1)――「タマミは女の子です」
 7 十分な理由(2)――秘密、知ることの衝撃
 8 本作における差別的契機――家族について、作者について
 9 ネガティブな気持ちを乗り越えていくこと
 10 完璧な子ども、聖なる暴力
 11 鎮魂のかたち――象徴化と個体化

第7章 楳図かずおのコマ割り理論
 1 マクラウドのコマ割り理論
 2 夏目房之介のコマ割り理論
 3 画面意識の実例――石森章太郎
 4 峠あかねのコマ割り理論
 5 楳図かずおと反復型
 6 楳図自身によるコマ割り理論
 7 画面意識の実際――楳図かずお

第8章 マンガにおける二つの省略――マンガ表現論の構造
 1 コマ割りによる運動表現
 2 コマ分類とショットの切り替え
 3 メッツによる映画の大連辞分類
 4 ショットの不確定性――連続かつ非連続というパラドクス
 5 いかにして二つの図像は同一物と認識されるのか――コマ交差同定の規準
 6 いかにして線は図像となるのか――意味の生成
 7 マンガ表現論の構造――生成と反意味

第9章 ペコの左手アクマの右手――描線論、または松本大洋『ピンポン』における超越と内在
 1 チャイナの左手――意味に収束しない描線
 2 目をつぶってラケット振りゃ――内在する描線と二・五グラムの超越
 3 ガムといったらやっぱり――批評とオーソドキシー
 4 頂点に立たなければ見えない風景――内在的超越か超越的内在か
 5 メタ・マンガとしての――また連れてきてくれるか?

第10章 復刻の形而上学――版の概念をめぐるマンガの諸問題
 1 復刻という言葉――複製文化としてのマンガ
 2 版・刷の区別とその実態
 3 多版的展開の本質
 4 版と刷の区別を保証する実体がないこと
 5 同一性と差異性(異同)の概念
 6 文字の校合、その形相と質料
 7 諸版の異同の本丸――原画とその諸様相
 8 マンガ研究のために――物質性と理念性

第11章 イアラ、典拠と出来事、言葉と反復
 1 典拠(1)――大仏造建
 2 典拠(2)――天明の飢饉
 3 典拠(3)――千利休
 4 典拠(4)――おくのほそ道
 5 典拠論の射程
 6 典拠と史実の規範性
 7 可能世界とフィクション(1)――神の真理と人間の自由
 8 可能世界とフィクション(2)――神の自由と人間の自由
 9 「わび」の構造――フィクションと世界の不完全性
 10 書き替えられる歴史――可能世界に回収されない複数性
 11 反復する出来事――言葉と反復可能性
 12 再会と自由――マンガ、そのありふれた奇跡

参考文献一覧

初出一覧

あとがき

楳図かずお作品目録

楳図かずお年譜考略

索引(人名、書名、語句)

著者プロフィール

高橋 明彦  (タカハシ アキヒコ)  (

1964年2月、新潟県生まれ。東京都立大学大学院博士課程退学。金沢美術工芸大学教授。専攻は日本近世文学・出版史、楳図かずお研究。共著に『ホラー・ジャパネスクの現在』(青弓社)、『近世奇談集成1』(国書刊行会)など。個人サイトに「半魚文庫」。

上記内容は本書刊行時のものです。