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ヴァージニア・ウルフ再読
芸術・文化・社会からのアプローチ
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2011年12月
- 書店発売日
- 2011年12月15日
- 登録日
- 2011年10月24日
- 最終更新日
- 2021年1月20日
紹介
脇役や端役に至るまで、完璧な人物創作を行なったヴァージニア・ウルフ。
「意識」に焦点を合わせた手法により、内面を描出された登場人物たちには、ウルフが生きた同時代の文化や精神の受容が反映されている。作家が生きた時代の社会、文化、国家、人生や個人的な繋がりなど、ひとりの作家を取り巻くさまざまなものを考慮に入れ、ウルフの作品から当時の文化や社会の断片を探り出し、「モダニティ」の姿を浮き彫りにする。
目次
I 『灯台へ』
第1章 ヴァージニア・ウルフの創作におけるG. E. ムアの思想的影響
──『灯台へ』再読
1 ムアとブルームズベリー・グループ
2 『倫理学原理』とラムゼイ氏の哲学
3 「灯台行き」のムア哲学による考察
4 ムア哲学と灯台
第2章 『灯台へ』に見られる「有意味形式」理論
1 ブルームズベリー・グループの芸術活動
2 「有意味形式」理論とは
3 リリーの絵画制作について
4 リリーのカンヴァス上での「有意味形式」について
5 創作における美学的アプローチとしての『灯台へ』
第3章 カーマイケルのアヘン常用と循環する文化
――「ポピーがダリアの間に種を播いた」
1 ウルフと『灯台へ』におけるアヘン言説
2 カーマイケルの人生とアヘン常用
3 アヘンを媒体とする文化の融合
4 循環する文化
II 『波』
第4章 『波』における母性についての一考察
――スーザンをめぐって
1 『波』、そしてウルフと母性
2 スーザンに見られる母性
3 スーザンと帝国主義
4 母性からの逸脱
5 母性から両性具有へ
第5章 自己への探求
――『波』におけるロウダの存在
1 『波』とヴァージニア・ウルフ
2 ロウダについての描写
3 ロウダにおける「水溜まり」の描写について
4 「水溜まり」の描写に見られる離人症的兆候
5 ロウダに描かれる自己喪失の過程
6 創作におけるウルフ自身の自己への探求
III 『ダロウェイ夫人』
第6章 『ダロウェイ夫人』に見られるイングリッシュネスの内と外
1 「意識の流れ」から「文化的読み」へ
2 イングリッシュネスの内側の視点
3 イングリッシュネスの外側の視点
4 イングリッシュネスの内と外の間で
5 イングリッシュネスの未来を内包するエリザベス
第7章 『ダロウェイ夫人』に見るスノッブと英国社会
――ヒュー・ウィットブレッドをめぐって
1 『ダロウェイ夫人』におけるヒュー・ウィットブレッドの存在
2 スノッブと階級
3 外見の誇示――外へ向かうベクトル
4 保護、保存――内へ向かうベクトル
5 スノッブ、モダニズム、ナショナル・アイデンティティ
第8章 『ダロウェイ夫人』に見る階級
――クラス・クライマー、ウィリアム・ブラッドショーが意味するもの
1 『ダロウェイ夫人』と大戦間の英国社会
2 作品に表現されるブラッドショー
3 嫌悪の対象となるブラッドショー
4 教養人への劣等意識
5 クラス・クライマーに見る英国社会の緩み
第9章 二つの文化の狭間で
――ピーター・ウォルシュに見られるアングロ・インディアン像
1 英国社会の細部を反映するピーター・ウォルシュ
2 インド高等文官としてのピーター・ウォルシュ
3 文化の狭間でのアングロ・インディアンのアイデンティティ
4 ハイブリッドな価値観と同質性への挑戦
Ⅳ その他
第10章 『ジェイコブの部屋』における〈固い物体〉の意味
1 〈固い物体〉への執着
2 「荒野〔ム ーア〕」の描写について
3 荒野〔ム ーア〕の堆積物について
4 「存在の瞬間」と〈固い物体〉の関係
第11章 創作、女性参政権運動、サフラジェット
――『自分だけの部屋』に読み取れるウルフの素振り
1 ウルフにおける創作と女性運動
2 『自分だけの部屋』に見られる創作と女性参政権運動
3 「社会派」フェミニズムと「同権派」フェミニズムの間で
4 ウルフが描く戦闘派サフラジェット
5 ウルフにおける創作と社会参加
第12章 「教育のある男性の娘たち」の女性参政権運動とサフラジェットへの眼差し
1 ウルフと女性参政権運動、そして『三ギニー』
2 「教育のある男性の娘たち」の表象とサフレジズムの影
3 「教育のある男性の娘たち」のサフレジズム
4 サフラジェットへの眼差し
5 フェミニスト・パシフィズムへ
版元から一言
(社)日本図書館協会 選定図書
上記内容は本書刊行時のものです。