書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
パリのモスク
ユダヤ人を助けたイスラム教徒
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2010年7月
- 書店発売日
- 2010年7月15日
- 登録日
- 2010年6月16日
- 最終更新日
- 2021年1月18日
紹介
1940年から44年にかけて、パリはナチス・ドイツに占領され、ユダヤ人はいつ拘束され強制収容所に送られるかと恐怖のうちに暮らしていました。ユダヤ人だけでなく、ドイツ人以外のすべての人々の自由が制限される中で、ユダヤ人を助けようと危険をおかすような人はほとんどいません。
そのような日々に、ユダヤ人をかくまい危険なパリから脱出させるため力をつくした人々がいます。誰だったのでしょう。パリのどこで、そんなことが可能だったのでしょうか。当時も今も聞いた人の誰もが意外に感じ驚くであろう場所、それは――
この本は、これまでほとんど語られることのなかったイスラム教徒のユダヤ人救出活動に光をあて、その勇気と信念、献身を讃えるために書かれました。
前書きなど
日本の読者のみなさんへ
ひとりの人間のいのちを救うならば、それは全人類を救ったのと同じ。
イスラム教とユダヤ教、そのどちらにも、この同じ教えがあります。きびしい対立関係にあると多くの人が信じこんでいる、この二つの宗教のどちらにも。ムスリム(イスラム教徒)とユダヤ人の不和は長いあいだ続いていて、ともすれば、これまでずっとそうであったかのように思いがちです。
しかし、この本を書こうと調べていくうちに、北アフリカのムスリムとユダヤ人は、お互いを兄弟姉妹として、いく世もともに平和に暮らしてきたことを知りました。ユダヤ教とイスラム教はもともとはおだやかに共存していた――これがこの本で伝えたかったことの一つです。ふたたびそのようになったら、どんなにいいでしょう。
この本が遠く日本でも読まれることを、とてもうれしく思っています。日本にはムスリムもユダヤ人も少ないと思いますが、それでもなおここに語られた事実は、つよく心をうつことでしょう。パリの大モスクで、ムスリムが他の人の苦しみを思い、勇気をもって行動した――実際にあったこのお話が、世界を友愛でむすぶ助けになることを願っています。
カレン・グレイ・ルエル
デボラ・ダーランド・デセイ
版元から一言
いま、なぜこの歴史を伝えるのか。「訳者解説」より以下をご紹介します。
===
ホロコーストが滅ぼした生命はおよそ600万人といわれる。いまこの瞬間も戦争の中で滅ぼされる生命がある。しかし、それでも希望はある。
この本に書かれているような出来事は、60余年前のパリで移民のイスラム教徒、フランス人、ユダヤ人の間にだけ起こったのではない。これまで世界のいたるところで、戦争や災害や権力の重圧に痛めつけられた人々のあいだにあったことだと思う。語り継がれなかった幾多の物語があり、今このときも苦しみの中にある人々に人知れずさしのべられている手があるはずだ。ひとりの人間のいのちを救う人々がいる。この本をはじめ、ベルカーニの映画、アネットさんの文章はそのことを確信させてくれる。
===
本はオールカラー、絵本装丁です。
映画の上映については本書のご案内をお読み下さい。
上記内容は本書刊行時のものです。