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後ろから読むエドガー・アラン・ポー
反動とカラクリの文学
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2007年6月
- 書店発売日
- 2007年6月20日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2021年2月17日
紹介
ポーには、すでに現存するものから、事の始まりを説明する傾向がある。
晩年の宇宙論『ユリイカ』(1848年)を軸に、ポーの作品の社会性や政治性、文化的言説をたどり、アメリカ・ルネッサンス期を照射する。
作品の「カラクリ」を披露することで、読者に作品の読み方を誘導し、物語の虚構性を暴露するポーのメタフィクション性を浮き彫りにする。
目次
序
■第I部 物語作家の挑戦~カラクリをしかけるポー
▼第1章 はじめに『ユリイカ』ありき~単純さへの熱望
1 破滅への道
2 真実へいたる道
3 神の心臓
4 神のプロット
5 『ユリイカ』による改訂
▼第2章 楽園物語~詩人の夢
1 宇宙論から楽園物語へ
2 楽園喪失~「エレオノーラ」
3 幻想のヴァージンランド~「ウィサヒコンの朝」
4 人工庭園~「アルンハイムの地所」
5 理想の構成美
▼第3章 冒険物語~アーサー・ゴードン・ピムの反転する世界
1 長編小説をめぐる評価のズレ
2 虚と実のあやうさ
3 偶然に翻弄される世界
4 無意識界への急降下
5 裏返された白いページ
▼第4章 美女物語~精神と肉体の相克
1 死の恐怖と書くこと
2 創造と狂気~「約束ごと」「ベレニス」「モレラ」
3 精神と肉体の相克~「ライジーア」と「アッシャー家の崩壊」
4 恐怖と美
▼第5章 推理小説~芸術と大衆のはざま
1 推理小説の誕生
2 物語と批評の融合~「モルグ街の殺人」
3 富と芸術の融合~「マリー・ロジェの謎」と「黄金虫」
4 ゴシック小説への回帰~「盗まれた手紙」
5 推理小説から宇宙論へ
■第II部 北部文壇への挑戦~反動からアメリカ文学創生へ
▼第6章 「眼」をめぐる物語I~「私」の住処は頭か胴体か?
1 ポーと超越主義
2 エマソンの超越~消える肉体/残る眼
3 「ある苦境」~消えない肉体
4 「悪魔に首を賭けるな」~消えた頭部
▼第7章 「眼」をめぐる物語II~信頼できない自己
1 「私」を見つめる「私」
2 「アッシャー家の崩壊」~個人主義とナルシシズム
3 「ウィリアム・ウィルソン」~一つではない自己
4 「群衆の人」~理解されない自己
5 読まれざるテクスト
▼第8章 「眼」をめぐる物語III~見つめ返す眼
1 「ライジーア」~宇宙を映す眼
2 「告げ口心臓」~濁った眼
3 「黒猫」~えぐられた眼
4 介在する自己意識
▼第9章 ふたたび『ユリイカ』へ~収縮する宇宙/膨張するアメリカ
1 『ユリイカ』の雑多な言説
2 物質と精神の完全なる変換可能性
3 認識のコペルニクス的旋回
4 アメリカの叙事詩
版元から一言
(社)日本図書館協会 選定図書
■書評……日本経済新聞(2007年7月15日)
『図書新聞』「2007年上半期読書アンケート」巽孝之氏選(2007年7月28日)
『英語青年』伊藤詔子氏(2007年11月号)
「アメリカ学会会報」No.167 鵜殿えりか氏(2008年7月号)
『アメリカ文学研究』No.45 西山智則氏(2008年)
上記内容は本書刊行時のものです。