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アメリカの小学校ではこうやって英語を教えている 英語が話せない子どものための英語習得プログラム ライミング編
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2008年9月
- 書店発売日
- 2008年9月30日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2024年2月19日
重版情報
7刷 | 出来予定日: 2015-01-15 |
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紹介
●アメリカの小学校で英語教育にたずさわって20年
……メキシコとの国境に近い、アメリカの公立小学校。生徒はメキシコからの移民の子どもが98%をしめる。スペイン語が母国語の彼らにとって英語は外国語。その小学校で働く教師たちはみな、英語が話せない・読めない・書けない子どもたちに英語を習得させようと必死になっている。 リーパーすみ子はそういう小学校で20年間、日本人でありながら、図書館司書の資格をもつ教師として子どもの英語教育にたずさわってきた。
●フォニックスでは伸びなかったので、注目された新しい理論
……日本の英語教育ではいま、フォニックスが大きな注目を集めている。リーパーすみ子が勤めた小学校にもフォニックスは導入された。しかし、子ども達の英語力は伸び悩んだ。そこで取り入れられたのが、フォネミック・アウェアネスという英語初心者むけの新しい理論。アメリカでは、いま多くの小学校が、この理論にそって子ども達を徹底的に指導している。そのあとフォニックス/リーディング/スペリングへと進めることで、子どもたちの英語力は実際に伸びている。
●まずは耳からきたえよう……
フォネミック・アウェアネスの最初の一歩は、耳をきたえること。子ども達は、英語のリズム、英語の音をくり返し、くり返し口にし、耳で聞き、目で見て英語に馴染んでいく。そのときに使われるのが、ことば遊び。king/ring/sing など同じ音で終わるライミングや、sumiko sits in the seat. など同じ音ではじまるアリタレーションがふんだんに入っている歌・詩・絵本が、教室で大活躍。子ども達は楽しみながら耳を育て、英語力を伸ばしていく。
☆☆☆日本で初めて紹介される画期的な英語教育の本。
・・・ライミングカード付きですから、あなたの教室でもすぐに使えます。
・・・あなたもきっと、リーパーすみ子の教室をたずねてみたくなりますよ。
目次
はじめに──アメリカで英語教育にたずさわって20年
1 アメリカの英語教育 最初の一歩はフォネミックアウェアネス
2 アメリカの赤ちゃんはこうやって英語をおぼえていく
3 小学生たちが毎日のように使うライミング
4 さあ、ライミングで遊んでみましょう
5 絵本にもライミングがいっぱい お手持ちの絵本をもう一度見直してみましょう
6 ライミング応用編 いろいろなレッスンプラン
7 アリタレーション、早口言葉、そして絵本の紹介
8 音素と発音 ヘレン・ケラー式に口の開け方をきちんと学びましょう
9 フォネミック・アウェアネスの7つのステップ
まとめ
ライミングカード
前書きなど
アメリカで英語教育にたずさわって20年
私は、アメリカの小学校で20年間、ライブラリアンとしてリテラシー(識字)教育にかかわってきました。
私が働いていたニューメキシコ州アルバカーキー市では、ライブラリアンはみな教員免許をもったスペシャリストの教師として扱われます。待遇も教師と同じです。
最後の15年間勤務したD小学校は、低所得者地域にあり、生徒たちの98%はヒスパニック系で占められていました。国境を接するメキシコから来た生徒が多いのは言うまでもありませんが、コロンビア、ベネズエラ、さらにはカストロの支配から逃れてきたキューバ出身の生徒たちの顔もありました。
1クラス20人の生徒のうち、30%ぐらいの子どもはアメリカで生まれたヒスパニックの2世、3世で、彼らは家庭でも英語で生活しています。けれども、あとの70%ぐらいの子どもは、家へ帰れば親や祖父母とスペイン語で話すという環境で、アメリカにやってきたばかりで英語がほとんどわからないという生徒も、クラスのなかに常時2、3人はいました。
アメリカでは、十数年前から移民の数が急激に増えています。そこでアメリカ政府は、少数民族である移民の子どもたちがもっている文化を尊重しようと、母国語と英語の両方を使うバイリンガル教育を推進する政策を取ってきました。世界市場の変化とイラク戦争の影響で、最近はアラビア語や中国語も台頭してきましたが、もっとも多いのはスペイン語と英語のバイリンガルです。
どこの土地に行ってもヒスパニック系が町中にぐっと増えてきていて、本当に驚かされます。スペイン語しか話せない人が多いため、スペイン語が話せるということが、銀行、電話会社などで職を得る有利な条件のひとつになってきています。 ニューメキシコ州でも、移民の生徒たちが増えるのにつれて、英語が“読めない・書けない”生徒たちになんとかして読み書きの力をつけさせなければならないと、10年ほど前から郡や州の教育部門が一緒になって、いろいろな試みをしてきました。
私が勤めていた小学校では、朝9時から10時までの1時間、あらゆるスペシャリストたちが教室に出向き、クラス担任を手助けして、徹底的な少人数国語(英語)教育を実施。私も9時から10時までは図書室ではなく教室で、英語教育にたずさわることになりました。
試行錯誤の結果、私たちの学校で取り入れられた英語教育の理論が、ライミング(韻文)を使って耳をきたえていくことから始める「フォネミック・アウェアネス=音素認識」と、ていねいに読んでいく精読に徐々に導いていく「ガイデッド・リーディング」です。この2つの理論を取り入れたことで、嬉しいことに、わが校の全国試験の結果は実際に上がっていきました。
日本の友人に、アメリカでの私たちの取り組みについて話したところ、「そういう学習法なら、日本の子どもたちも、楽しみながら英語を読んだり書いたりできるようになるのに……」と言われたのが、本書が誕生するきっかけです。
本書では、まず、アメリカの生徒たちが徹底的に学ばされた「フォネミック・アウェアネス」のなかから、英語を聞く耳を育て、読むこと、書くことにつなげていくライミングを土台とした理論をご紹介いたします。アメリカで実際に行なわれ、成功を収めている英語教育の理論を、日本の英語教育にも役立てられるよう考えて書きました。
私がアメリカで学んだ英語教育の理論と、具体的な方法を、日本の先生方、そしてご家庭のお母様、お父様方にも役立てていただき、新しい視点から英語教育を見直していただければ幸いです。
上記内容は本書刊行時のものです。