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『のだめカンタービレ』の人間像―<音楽の愉しみ>と「調和」 幸津國生(著) - 花伝社
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『のだめカンタービレ』の人間像―<音楽の愉しみ>と「調和」 (ノダメカンタービレノニンゲンゾウオンガクノタノシミトチョウワ)

文芸
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発行:花伝社
四六判
上製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-7634-0725-2   COPY
ISBN 13
9784763407252   COPY
ISBN 10h
4-7634-0725-2   COPY
ISBN 10
4763407252   COPY
出版者記号
7634   COPY
Cコード
C0010  
0:一般 0:単行本 10:哲学
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2014年12月18日
最終更新日
2014年12月19日
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紹介

 『のだめカンタービレ』には、のだめと千秋という主人公のカップルのクラシック音楽を学んで成長していく姿が、ラブストーリーとともに描かれている。その恋愛物語は、ふたりが同じく音楽の専門家になることを目指すという形で音楽に関わるということによって生じている。
 千秋が専門分野としての音楽に取り組んでいるのに対して、のだめの関心事は「自由に楽しく」ピアノを弾くことだ。のだめは、このことで専門分野としての音楽に対して、〈音楽の楽しみ〉とは何か、という問題を提起している。
 千秋は、「2台のピアノのためのソナタ」のレッスンで、飛んだり跳ねたりするのだめの演奏ぶりにダメを出したり、のだめの演奏に合わせられるのは「オレ様ぐらいだ!」と彼女に自信満々に接したりする。しかし本当は、のだめの演奏に魅せられており、そのことによって〈音楽の楽しみ〉にひたり、音楽にあらためて感動する。
 二人のラブストーリーの背景には、音楽の歴史的蓄積としての「調和」の理念がある。『のだめカンタービレ』で見られるのは、この理念を音楽の本質とし、クラシック音楽確立の時代の音楽観を乗り越えて、ふたたび古代(ピュタゴラス派)以来の伝統的音楽観へとかえる、音楽観の先祖がえりである。
 現代日本社会における「調和」の理念の実現を音楽によって具体的に示すものとして「のだめ音楽会」の例がある。『のだめカンタービレ』をきっかけに、一般人にとってクラシック音楽の本質についての認識は〈音楽の楽しみ〉における「調和」を経験することによって変化した。
 以上の考察に加え、巻末には、文献資料として、ピュタゴラス派の音楽観およびクラシック音楽確立の時代におけるピュタゴラス派の音楽観についての解釈(ヘーゲル)を付けて読者の参考になるようにした。

目次

第1章 本書の問い
第2章 近代日本の西洋文化受容におけるクラシック音楽の在り方
第3章 クラシック音楽の本質についての認識
第4章 音楽の歴史的蓄積としての「調和」の理念
第5章 「調和」をめぐる音楽観の先祖がえり
第6章 千秋の音楽活動
第7章 のだめの音楽活動
第8章 物語の到達点
第9章 「調和」の理念の実現
第10章 本書の問いへの答え

著者プロフィール

幸津國生  (コウヅクニオ)  (

1943年 東京生まれ
東京大学文学部卒業 同大学院人文科学研究科博士課程単位取得
都留文科大学勤務をへて、ドイツ・ボーフム大学ヘーゲル・アルヒーフ留学(Dr.phil.取得)現在 日本女子大学名誉教授

【著書】
『哲学の欲求─ヘーゲルの「欲求の哲学」』1991 
『現代社会と哲学の欲求─いま人間として生きることと人権の思想』1996
『意識と学─ニュルンベルク時代ヘーゲルの体系構想』1999
『「君死にたまふことなかれ」と『きけ わだつみのこえ』・「無言館」─近代日本の戦争における個人と国家との関係をめぐって』2001
『時代小説の人間像─藤沢周平とともに歩く』2002
『茶道と日常生活の美学─「自由」「平等」「同胞の精神」の一つの形』2003
『『たそがれ清兵衛』の人間像─藤沢周平・山田洋次の作品世界』2004
『ドイツ人女性たちの〈誠実〉─ナチ体制下ベルリン・ローゼンシュトラーセの静かなる抗議』2005
『『隠し剣 鬼の爪』の人間像─藤沢周平・山田洋次の作品世界2』2006
『一般人にとっての『般若心経』─変化する世界と空の立場』2007
『古典落語の人間像─古今亭志ん朝の噺を読む』2008
『哲学の欲求と意識・理念・実在─ヘーゲルの体系構想』2008
『『武士の一分』・イチローの人間像─藤沢周平・山田洋次の作品世界3+「サムライ野球」』2009
『『冬のソナタ』の人間像─愛と運命』2010
『『宮廷女官チャングムの誓い』の人間像─人間としての女性と歴史』2011
『「貢献人」という人間像─東日本大震災の記録・藤沢周平の作品世界を顧みて』2012
『〈追悼の祈り・復興の願い〉の人間像─ 東日本大震災と『般若心経』』2013
【編書】
『ヘーゲル事典』(共編)1992
『縮刷版 ヘーゲル事典』(共編)2014

上記内容は本書刊行時のものです。