版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊 ラノベ
悲田院長吏文書 長吏文書研究会(編) - 部落解放・人権研究所
.

悲田院長吏文書

B5判
719ページ
函入
定価 32,000円+税
ISBN
978-4-7592-4048-1
Cコード
C3021
専門 単行本 日本歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2008年5月
書店発売日
登録日
2015年8月22日
最終更新日
2015年8月22日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

長吏文書研究会編『悲田院長吏文書』は、神戸市立博物館所蔵の古文書群1200点を収録したもので、大坂四ケ所「非人」のうち最も古く、かつ最大規模を有する四天王寺悲田院の長吏家(頭)に伝蔵された「非人」集団内部の関係史料集である。
 これらの文書群は、そのすべてが大坂の「非人」に関係するものであり、その内容も、「非人」の由緒、公役、番株・番役、風聞探索、仲間統制、人別・人口、相続・跡式、キリシタン類族改、賃貸、宗教など、生活全般にわたるものである。その他、四ケ所関係や在方非人番関係史料も含まれている。
 したがって、『悲田院長吏文書』は、たんに「非人」研究のみならず、警察史、法制史、都市社会史、家族史、風俗史などの研究にとって第一級の史料集であるといえよう。本書の活用により、それらの方面の歴史研究が大いに発展・深化することが期待される。

目次

発刊にあたって   (社)部落解放・人権研究所
刊行によせて    神戸市立博物館
凡例 
目次
細目次
解 説

一 由緒 
二 四天王寺支配 
三 天王寺村支配 
四 人別・人口 
五 類族改 
六 相続・跡式・代勤届など 
七 宗教 
八 仲間統制 
九 垣外での生活
一〇 公役
一一 風聞探索
一二 番株と番役 
一三 賃貸 
一四 四ケ所関係 
一五 在方非人番関係 
一六 町触・口達 
一七 雑件

前書きなど

 「長吏」とはどのような存在か
 江戸の場合、浅草の車善七を筆頭に、品川松右衛門、深川善三郎、代々木久兵衛、以上四人の「非人頭」がおり、町奉行の支配下にあって、清掃事業や番人その他の雑業に従事していた。この「非人頭」に相当する“役職”を、大坂では「長吏」と呼んでいる。
 「長吏」は、古代から中世の初頭(平安~鎌倉時代)にかけては、寺院の財政や行事を担当する役職名だった。それが、中世の後半(室町~戦国時代)には、神社や寺院に属する職人集団の頭を「長吏」と呼ぶようになり、しだいに被差別民衆の頭を意味するようになった。江戸時代の関東では、かわた集団そのものを「長吏」、その頭である弾左衛門は「長吏頭」と称している。「長吏」という言葉には、元々「頭」という意味が含まれているので、「長吏頭」という言葉は、“屋上に屋を架す”に等しいが、“被差別”の状況に対する抵抗感が、その背景にあったのだろう。
 大坂の場合、「非人」身分の頭を「長吏」と称している。また、四天王寺悲田院・鳶田・道頓堀・天満の四ヶ所に居住していたので、「四ヶ所」とも呼ぶ。江戸にも四人の「非人頭」がおり、「四ヶ所非人」とも称することがあったので、その点は似通っている。しかし、その系譜については、江戸と大坂とではかなり異なる。
 江戸の車善七・品川松右衛門は、元々「口入れ屋」と称する“人足派遣業者”だったと推定されるが、江戸の「非人」組織は、その仕事に注目した町奉行が、窮民対策の一環として、善七や松右衛門を利用したことに端を発する。そして、町奉行から江戸市中に流入してくる窮民たち(後には「野非人」と呼ばれることになる)の支配を任されたのが、「非人頭」の起源となる。
 大坂の場合は、窮民に粥を施したり、行倒人の看病をしたり等、四天王寺の福祉政策が発端のようで、その一端を担う役職が「長吏」だったのではないかと推定される。これについては、『悲田院文書』(清文堂出版)の「由緒」の項に収録された諸史料をご参照願いたい。いずれにせよ、大坂の場合、「長吏」の元々の意味合いが残された役職名であったということができる。その大坂の「長吏」の中で、最も歴史が古く、勢力も絶大であったのが「悲田院長吏」である。 
(中尾健次著 本史料集解説編より)

著者プロフィール

寺木 伸明  (テラキ ノブアキ)  (編著

桃山学院大学教授 主著に『部落の歴史 前近代』、『近世身分と被差別民の諸相-<部落史の見直し>の途上から』(以上 解放出版社)、『被差別部落の起源-近世政治起源説の再生』(明石書店)

中尾 健次  (ナカオ ケンジ)  (編著

大阪教育大学教授 主著に『部落史50話』、『江戸社会と弾左衛門』、『弾左衛門 大江戸もう一つの社会』(以上 解放出版社)、『江戸の大道芸人』(三一書房)

上記内容は本書刊行時のものです。